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議事録を、顧客への次の良い質問をつくるための材料に変えます。
Mia(ミア)と一緒に、問いを深めていきます。
議事録はあるのに、なぜ顧客理解が深まらないのか
商談の議事録はAIで短時間に作成できるようになりました。次回のアクション、担当者、期限まで、整理された記録が手に入ります。それでも「結局、このお客様は何をいちばん気にしていたのだろう」と迷うことはありませんか。
要約は、会話の全体像を掴むには便利です。一方で、相手が何度も口にした言葉、少し言いよどんだ箇所、自分の理解と食い違う発言が、きれいに整理される過程で目立たなくなる場合もあります。
わたくしたち営業企画チームでは、ひきたよしあき氏の『博報堂スピーチライターが教える 5日間で言葉が「思いつかない」「まとまらない」「伝わらない」がなくなる本』を社内読書会で取り上げました。印象に残った一文と仕事への応用を話すなかで、あるメンバーが注目したのが、会話を全部覚えるより、3つの言葉を拾うという考え方でした。
話が長い相手でも、繰り返し現れる言葉を捉えれば、慌てずに相手を見る余裕が生まれるかもしれない。それが読書会での学びです。今回はその発想を、AIを使った商談議事録の分析へ応用します。
「議事録をAIでまとめたら、すごく読みやすくなったよ!」
「でも、お客さんが何度も繰り返した言葉は残っている?」
「あっ、結論は残っていても、その言葉は消えているかもしれないね。」
「何を言ったかだけでなく、どう繰り返したかも見てみよう。」
「3つの言葉」から関心事を仮説化する
読書会では「キーワードを拾い、後から文章にする」「何度も使われる言葉に注目する」という実践案が出ました。これをマーケティングに応用するなら、議事録に現れる言葉を機械的に数えるだけでは足りません。
たとえば、ある法人向けサービスの商談で「現場」「手間」「判断」が繰り返されたとします。この3語だけで相手の課題は断定できません。しかし、「現場の作業が増えると困る」「新しい取り組みを誰が判断するか」という仮説をつくり、次に確認したい質問へと発展させられます。
| 抽出した言葉(架空例) | あり得る解釈 | 確認したい質問 |
|---|---|---|
| 現場 | 現場の受け入れが重要なのかも | 現場のどの工程が負担になりますか? |
| 手間 | 新しい業務の追加を懸念しているのかも | 増やしたくない作業は何ですか? |
| 判断 | 施策の決裁条件が曖昧なのかも | 誰がどの情報をもとに判断しますか? |
この表の右側は、まだ確かめていない仮説です。キーワードを拾う目的は、相手の本音を断定することではなく、質問を良くすることにあります。
「3回出てきた言葉は、1回だけの言葉より必ず重要?」
「そうとは限らないね。相手が否定した言葉や、こちらが繰り返し聞いた言葉もあるから。」
「その区別まで残せば、もっと役に立ちそう。」
今日から試す:議事録を「3つの関心事」に整理する
まずは自分が確認してよい商談議事録を1本用意します。企業名・氏名・個人情報・非公開の数値などを匿名化し、社内のAI利用ルールで認められた環境だけを使用してください。
ステップ1: AIに渡す前に、自分が感じた相手の関心事を3つ書きます。これが比較の基準になります。
ステップ2: AIに原文から繰り返し登場する言葉と特徴的な発言を抽出させます。発言箇所の引用・要約根拠を添え、こちらの質問に誘導されていないかも確認します。
ステップ3: 3つの論点に整理し、各論点に複数の説明を付けます。
ステップ4: 自分のメモとAIの分析を比較します。一致した点よりも「自分が落とした論点」に注目します。
コピペして試せる指示文
あなたはマーケティング担当者の顧客理解を支援する分析者です。以下の匿名化済み商談議事録から、①相手が繰り返した単語・表現、②重要そうな発言、③話題が切り替わった箇所を抽出してください。その根拠となる原文を短く示し、顧客の関心事を3つの論点に整理してください。各論点について「確認できた事実」「考えられる解釈を2つ以上」「次回確認したい質問」を表にしてください。こちらが誘導した表現と相手が自発的に述べた表現は区別し、感情や本音は断定しないでください。
出力の確認ポイント: AIが架空の発言を作っていないか、原文に戻って確認します。「相手の本音」と見出しをつけていても、確証がなければ「仮説」と書き直します。
「AIが3つの論点にまとめてくれたよ。僕のメモと1つ違う!」
「その違いは、どの発言から生まれたの?」
「原文を見てみるよ。僕が重要だと思わず流していた可能性があるんだね。」
「逆にAIの読み違いかもしれない。両方を確かめて。」
文字起こしには残りにくい「反応」も観察する
読書会では、相手の「あっ」と「おっ」のような短い反応まで観察する面白さも議論しました。驚き、納得、戸惑いなどを捉えるヒントになるかもしれません。ただし、声の調子や前後の文脈によって意味は変わります。「あっ」なら必ず意外性がある、と決めつけるのは禁物です。
自動文字起こしには、声の強弱、表情、沈黙の質まで必ずしも正確に残りません。もし許可された録音や自分のメモがあるなら、「その場で相手がどう反応したように見えたか」を事実と解釈に分けて補足してみます。
| 記録するもの | 例 | 扱い方 |
|---|---|---|
| 観察事実 | 質問後、少し間があった | 原文・録音などで確認できる範囲を記録 |
| 自分の解釈 | 迷っているように感じた | 解釈であり断定ではないと明記 |
| 次の確認 | この点は判断しづらいですか? | 本人に質問して確かめる |
「相づちだけで『反対している』ってわかる?」
「わからないね。観察したことと、僕が感じたことを分けるよ!」
「それなら、観察力をAIに丸投げせずに済むね。」
次の可能性:顧客理解を蓄積するAIエージェントへ
一度だけ議事録を分析するなら、対話型AIへの指示で始められます。もし同じ分析を毎週、複数の商談で行いたくなれば、承認済みの議事録を取得し、発言根拠付きの分析を保存し、過去の質問と検証結果を参照する仕組みが考えられます。
AIエージェント化では、入力データの範囲、顧客ごとのアクセス権限、誤推論の修正、記録の保存期間、担当者の承認を設計する必要があります。便利さを求めて機密情報を無制限に取り込まないことが前提です。
「毎回の商談で3つの関心事を残せたら、お客さんの変化にも気づけそう!」
「でも、前回の『仮説』が今回『確定事項』として扱われないようにしてね。」
「確認できたことだけ更新するんだね!」
まとめ:会話の全部を覚えるより、次の良い質問をつくる
議事録が便利になったからこそ、重要な言葉に自分で気づく機会を失わないようにしたいものです。AIに3つの論点を抽出してもらい、自分の理解との違いを見つけ、相手に確かめる。この小さな実践が、顧客理解を一段深めるきっかけになります。
「議事録を短くまとめることがゴール?」
「違うよ。次の会話で、相手のことをもっと理解するためなんだ!」
「じゃあ、その3つの質問を持って会いに行こう。」
参考情報
- ひきたよしあき著『博報堂スピーチライターが教える 5日間で言葉が「思いつかない」「まとまらない」「伝わらない」がなくなる本』、大和出版、2019年。https://smilehikita.com/books/44/
- 本文中の実践法・事例表は読書会からの応用案であり、書籍の原文ではありません。

iM(アイム)くん|IMマーケティングニュースのデータ活用ナビゲーター
好奇心旺盛で、いつも前向き。「まずやってみよう!」がモットーなんだ!
IM-DMPをはじめとするデータやAIの活用方法を、マーケティングの身近な課題や具体例を交えながらわかりやすく解説するよ。
冷静で分析が得意なパートナー・Mia(ミア)と一緒に、データから新しい仮説やインサイトを発見し、マーケティングの次のアクションにつなげていくんだ!




