こちらが、見ていないだけかもしれない。
既存ターゲットの外側へ。外部データが示した約79.7万UIDを「購買見込み」と早合点せず、検証候補に変える。

導入|配信先を絞り続けるほど、新しい顧客を見失っていないか
広告配信で成果が出た年代、地域、興味関心に予算を寄せる。限られた広告費を使う以上、自然な判断です。ただし、その判断を繰り返すうちに「今までCVした人と似ている人」にばかり広告が届き、まだ出会っていない顧客が後回しになっているかもしれません。
例えば、化粧品通販で「エイジングケア」という商品カテゴリを中心に訴求しているとします。商品名で検索する顕在層の広告成果は測りやすい一方、「毎日の生活を整えたい」「肌のケアを習慣化したい」といった周辺関心を持つ人は、まだカテゴリ名で検索していない可能性があります。
ここで試したいのが、IM-DMPの外部データと、データ・ディスカバリー・エージェント(DDA)を使い、従来のターゲット設定の外側にいる人を探すアプローチです。これは、自然な言葉でデータに問いかけ、顧客層の特徴を分析したり施策の仮説を整理したりするAIエージェント群です。
概念図:対象の関心カテゴリ該当と購買意向は異なります。
CPAが高騰する背景と、ターゲット固定化の落とし穴
獲得CPAの悪化にはさまざまな要因があります。入札競争、クリエイティブの摩耗、LPの訴求、季節性、CV計測の変化などです。したがってCPA悪化の原因を、ターゲットの固定化だけに決めつけてはいけません。

それでも、広告で接する顧客像が長い間変わっていないなら、一度見直す価値があります。たとえば「過去の購入者に多い属性」と「まだ接点を持てていないが、近い課題を抱えるかもしれない属性」は必ずしも同じではありません。前者だけを最適化するのではなく、後者の探索枠を設ける発想です。
一般的な広告管理画面でも、CVしたユーザーの傾向は確認できます。しかし、外部サイトでの関心やほかの生活カテゴリとの関わりまでを同じ軸で理解できるとは限りません。だからこそ、外部データを補助線にします。
外部データから、どのように潜在顧客を発見するのか

属性だけでなく、興味関心の組み合わせを見る
生活者像を理解するとき、性別や年代の構成比だけでは、広告訴求のヒントとして不十分な場合があります。例えば同じ年代でも、食事の時短に関心が高い人と、日常の美容習慣に関心が高い人では、商品に期待する価値が異なるかもしれません。
そこで、対象セグメントの規模、年代構成、特徴的な興味関心カテゴリを同時に確認します。比較対象となる一般層を設定して、単に多い項目と、その集団で相対的に特徴的な項目を分けて見るのがポイントです。
潜在顧客を発見するIM-DMPの活用例
IM-DMPに定義された「健康・医療」関心セグメントを基軸として、その外側にある生活テーマの関心層をDDAで探索しました。「健康・医療」関心は健康食品の購入経験や購買意向を示すものではなく、オンライン上の関心カテゴリです。分析結果を起点に、新しい広告訴求の候補を考えます。
検証に用いた質問の要旨(読みやすいよう再構成):
「健康・医療関心セグメントに該当しない人の中から、コスメ、子育て・料理、介護・福祉の関心の組み合わせを満たすUIDを抽出してください。各グループの規模と重複を確かめ、実際に新しい候補がどれだけいるかを示してください。」
実測結果:健康・医療関心セグメントの外側に見つかった候補
| 候補グループ | 交差条件(健康・医療関心セグメント非該当) | UID規模 |
|---|---|---|
| A:美容に関連する関心 | コスメ関心×30〜49歳女性 | 42,859 |
| B:日常生活に関連する関心 | 子育て×家事・料理関心×30〜49歳 | 424,621 |
| C:生活・将来に関連する関心 | 介護・福祉関心×45〜59歳 | 346,117 |
3グループのUID重複を除くと、合計796,925 UID。対象期間は2026年9月8日〜10月5日、地域限定なし、比較に用いたDMP母集団は約9,245万UIDです。基軸となる「健康・医療」関心セグメントは約611万UIDでした。約79.7万UIDはその規模の約13%に相当しますが、実際の広告で届く人数が13%純増することを示すわけではありません。
3群には重複があるため棒の合計とユニーク合計は一致しません。健康・医療関心セグメント非該当/全国対象。
注意したいのは、推定ブラウザ数をそのまま実際の配信可能人数や購買見込み人数と見なさないことです。また、興味関心から健康状態などのセンシティブな個人特性を断定しません。
実データから見つかった3つの候補層
これら3グループは、実測したオンライン関心と推定年代を組み合わせたものです。例えばグループBでは、健康・医療関心セグメントの外に424,621 UIDの候補が見つかりました。これは「子育て当事者」や「健康食品を買う見込み客」の人数ではありません。関心カテゴリへの該当から、生活上のニーズを仮説として考えるための集団です。

| 実測した関心の組み合わせ | AIが考えた潜在ニーズの仮説 | 広告で確かめる訴求 |
|---|---|---|
| A:コスメ×30〜49歳女性 | 美容習慣の延長で取り入れたいかもしれない | 美容・暮らしに合う取り入れ方 |
| B:子育て×家事・料理×30〜49歳 | 食卓との親和性や、自分のペースを重視するかもしれない | 「食卓になじむ」対「自分のペース」 |
| C:介護・福祉×45〜59歳 | 将来の生活や日々の習慣に関心があるかもしれない | 生活習慣を考えるきっかけ |
ここで右の2列は観測事実ではなく広告テストの仮説です。具体的な商品、利用者属性、実配信可能性を確認した上で広告テストに進めます。
データで確かめたことと、これから確かめることを混同しません。

見つけた顧客へ、どのような広告を届けるべきか
分析で特徴が見えても、すべてを一つの広告に詰め込む必要はありません。候補ごとに一つの仮説を置き、広告のコピー、画像、LPの見出しを連動させます。例えば商品機能に反応するか、生活場面に結びつけた訴求に反応するかを比べます。

そのとき大切なのは、新規ターゲットが従来ターゲットよりCPAで直ちに勝つことだけを求めないことです。認知段階にいる人は購入まで時間がかかる場合があります。短期のCVに加え、指名検索の変化、後日の自然流入、既存顧客との重複、新規獲得数の増分など、目的に応じた指標を設計します。
小さな検証の進め方: 対象群、比較群、期間、広告訴求、予算のルールをあらかじめ決める→実行する→CVだけでなく新規顧客への寄与を評価する→結果に応じて投資配分を変える。
新しいターゲットを探索するときの3つの注意点
まず、外部データを誰に対しても同じ粒度で使えるわけではありません。データの取得経路、利用目的、許諾・契約・媒体の制約を確認します。次に、推定オーディエンス規模と到達可能な広告在庫は区別します。最後に、過去に広告を出していない集団の潜在成果は、AIによる推定だけでなく実際の配信結果で確認します。
広告投資の判断基準を「既存の成果がよい人」から「新しい顧客を増やせる可能性がある人」へ広げる。そのための手がかりが外部データなのです。
まとめ|次の成長は、今まで狙っていない顧客の中にあるかもしれない
新規顧客のCPAが上がったとき、広告運用の設定を細かく改善するだけが選択肢ではありません。IM-DMPとDDAで顧客候補を探索し、その特徴をもとに仮説を作り、小さな実験で検証する。分析結果を広告予算の配分へつなげることが重要です。
番外編|iM(アイム)くんの休日
新規開拓はパン屋から
iM(アイム)くんは休日のパン屋で、まだ食べたことのないパンを探していた。いつも買うのはメロンパン。今日は「新しい顧客体験」に挑むという。
まだ誰も買っていない隠れた人気パンを見つけるんだ!
人気なら、誰かは買っているんじゃない?
じゃあ、いつも見逃していた棚を……あ、焼き立てクロワッサン!
発見したのは潜在顧客じゃなく、あなたの潜在食欲ね。
新しい発見は、いつもの選択肢の外側にある。

外部データとAIの活用を、東京・福岡の会場でご紹介します。各会場の出展内容は公式案内をご確認ください。
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iM(アイム)くん|IMマーケティングニュースのデータ活用ナビゲーター
好奇心旺盛で、いつも前向き。「まずやってみよう!」がモットーなんだ!
IM-DMPをはじめとするデータやAIの活用方法を、マーケティングの身近な課題や具体例を交えながらわかりやすく解説するよ。
冷静で分析が得意なパートナー・Mia(ミア)と一緒に、データから新しい仮説やインサイトを発見し、マーケティングの次のアクションにつなげていくんだ!





