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読書会で生まれた問いから、顧客理解・企画・伝達のAI活用を考えます。
Mia(ミア)と一緒に、問いを深めていきます。
AIが文章をつくれる時代に、なぜ「言葉」を学ぶのか
最近、読書会が新しい学びや交流の場として注目されています。
わたくしたち営業企画チームでも、同じ本を読み、それぞれの気づきを持ち寄る読書会を業務に取り入れています。
私たちの読書会は、本の内容を理解して終わりではありません。印象に残った一文を紹介し、なぜ気になったのか、仕事でどう活かせそうかを話し合う。そして最後に、次回までに実践することを一つ決めます。
今回取り上げたのは、ひきたよしあき氏の著書『博報堂スピーチライターが教える 5日間で言葉が「思いつかない」「まとまらない」「伝わらない」がなくなる本』(大和出版)です。
言葉を思いつく、考えをまとめる、相手に伝える。本書のメソッドを読みながら、私たちはある問いに行き着きました。
AIが言葉をつくってくれる時代に、マーケターは自分の言葉をどう磨いていけばいいのだろう?
そして、もう一つ。
本書のメソッドをデータとAIエージェントに掛け合わせたら、顧客理解やマーケティングの仕事を進化させられるのではないか?
このシリーズでは、読書会で生まれた気づきを手がかりに、明日から試せるAI活用と、その先にある業務変革の可能性を考えます。
「AIなら文章も企画書もつくれるよね。言語化を鍛える意味って、まだあるのかな?」
「……そもそも、その文章は誰の何を解決するために書くの?」
「たしかに。文章の前に、問いを考える必要があるんだね!」
「便利になったからこそ、どんな問いを持つかが目立つのかも。」
AIが得意な仕事と、人が担うべき仕事
読書会では「言葉がすぐ出てこないのは、語彙の量だけではなく、引き出す練習が足りないのでは」という話や、「AIに頼るほど、自分の考える力まで手放してしまわないか」という問題意識が出ました。
大切なのは、AIに仕事を任せないことではありません。どの力を自分で育て、どこをAIに支援してもらうかを選ぶことです。
| 業務の場面 | 人が担いたいこと | AIが支援できること |
|---|---|---|
| 顧客理解 | 相手に関心を持ち、問いを立てる | 議事録から発言や論点を抽出する |
| 仮説づくり | 自分の思い込みに気づき、仮説を選ぶ | 別の説明や反証を提示する |
| 企画立案 | 誰をどう変えたいか判断する | 切り口を広げ、案を比較する |
| 伝達・改善 | 相手の反応を受け止め、言葉を磨く | 原稿の比較案・検証案をつくる |
この役割分担なら、AIが仕事を奪うかどうかという問いから一歩進みます。人間が大事にしたい能力を磨きながら、AIを使って実践の回数と質を高めることができます。
「AIが出した顧客インサイトを、そのまま正解だと思ったら?」
「思い込みを、別の思い込みに置き換えるだけかもしれないね。事実と仮説を分けるよ!」
「そう。AIは反証を出す相手にもできるから。」
読書会から生まれた「4つの実践」
今回の学びを、マーケティング実務で試せる4つの仕事に置き換えました。大規模なシステム導入は必要ありません。まず手元にある資料から始められます。
① 観察する:顧客の「3つの言葉」を拾う
読書会では、長い会話を全部覚えようとするより、相手が繰り返した3つのキーワードを捉えるとよいのでは、という意見が出ました。商談議事録やアンケートでも、「要約すると何だったか」だけでなく、「相手が何を何度も口にしていたか」を取り出してみます。
AIに議事録を渡し、重要な発言を3つの論点に整理してもらう。発言の根拠と、確認したい追加質問も添えてもらう。これだけで次の商談の聞き方が変わるかもしれません。
② 想像する:一人の相手に向けて仮説を立てる
「伝える一人を具体的にイメージする」という本の学びは、データ活用を考えるときにも示唆的です。最初に人が相手を想像し、「何に困っているのだろう」と仮説を立てる。その後、AIとの対話や利用できるデータで確かめます。
とくに面白かったのは、商談議事録をもとにしたAIペルソナへの問いかけから、自分の考える「良い提案」の定義そのものを見直す可能性が生まれたことでした。良い提案は、美しく仕上がった提案書でしょうか。それとも状況の変化に合わせ、一緒に提案を磨き続けてくれることなのでしょうか。
「議事録からAIペルソナをつくると、思わなかった疑問が返ってくることがあるんだ!」
「でも、それが実際のお客さんの本音とは限らないよね。」
「うん。だから、お客さんへの次の質問を増やすために使うんだね。」
③ 発想する:言葉の切り口を変えてみる
読書会では「〇〇という考え方」と言い換えるだけで企画の方向が変わる、という話が盛り上がりました。AIに30案出させることはできます。しかし、案が多いことと、顧客の役に立つ企画があることは別です。
たとえば「データ活用セミナー」を「顧客の思い込みを検証するという考え方」で捉え直したら、誰を招き、何を見せ、参加者にどんな体験を届けたいかが変わるかもしれません。
④ 伝える:形容詞より、相手の「動き」を描く
「すごい」「便利」「効率的」は、使いやすい一方で、読み手によって受け取り方が違います。本の学びから、抽象的な言葉をいったん外し、相手が何をできるようになるかを具体的に描く練習を考えました。
生成AIの文章を完成品にせず、相手がイメージできる表現へと磨く。そのうえで広告やメールの反応を検証します。
まずは一つ、個人の仕事で試してみよう
最初からAIエージェントを開発する必要はありません。まずは、翌日の仕事で一度だけ次の問いを試してみるのはどうでしょうか。
手順1: 自分が今困っている仕事を一つ選びます。たとえば「商談相手の本当の課題を理解できているか不安」。
手順2: AIを使う前に、自分の仮説を3行書きます。「相手が困っていること」「そう思う根拠」「未確認のこと」です。
手順3: 匿名化した資料をAIに渡し、反対の解釈を求めます。
そのまま試せる指示文
私はマーケティング担当者です。以下に、自分が考えた顧客課題の仮説と、匿名化した商談メモを示します。私の仮説を肯定するだけでなく、①発言で裏付けられる点、②思い込みの可能性、③別の説明が成立する点、④相手に確認したい質問を整理してください。事実と推測は必ず分けてください。
手順4: AIの回答から気になる問いを一つ選び、実際の顧客やチームメンバーと確かめます。
この最小の一往復こそ、AIを「答えを出す道具」から「考えるための相手」に変える入口になります。
「まず何から試す?」
「明日の打ち合わせメモを使って、僕が見落とした質問を3つ出してもらうよ!」
「機密情報は匿名化して、使ってよい環境か確認してね。」
個人の工夫が、AIエージェントによる業務変革につながる
一度のやり取りで役に立った指示文も、忙しい日々のなかでは忘れてしまいがちです。そこで将来考えられるのが、仕事の流れとAIをつなぐ仕組みです。
たとえば、許可された議事録が保管されると、AIエージェントが関心事を抽出し、未確認の仮説を整理する。担当者はその内容を確認して商談に臨み、実際に確かめた内容を記録する。次の分析ではその確認結果を参照する。こうした仕組みをつくれば、個人の気づきをチームで再利用しやすくなります。
ただし、データ取得・保存・権限管理・誤推論の確認・実行承認などの設計が必要です。この記事は、その仕組みが導入済みであることや成果が実証されていることを示すものではありません。
「良かった指示文をチームで共有して、毎回の仕事の流れに組み込めたら便利だね!」
「便利そう。でも、勝手に顧客へのメールを送るところまでは任せない方がよさそう。」
「まずは情報を集める・整理するまで。判断や送信は人が確認するんだね!」
まとめ:AIで言葉をつくる前に、誰のための言葉かを考える
読書会では、同じ本から異なる学びが生まれました。だからこそ、自分の見方が唯一のものではないと気づけます。AIにも似た役割を期待できるのではないでしょうか。
AIに代わりに考えてもらうだけではなく、AIとの対話で自分の考えを揺さぶり、現実の顧客との対話で確かめる。まずは「観察する」「想像する」「発想する」「伝える」のどれか一つから始めてみてください。
「AIが書いた文章がきれいなら、それだけで価値がある?」
「誰のどんな困りごとを解決できるか、そこまで考えて初めて価値になるんだね!」
「じゃあ、次は手元の仕事で確かめよう。」
本文中の実践法・事例表は読書会からの応用案であり、書籍の原文ではありません。
参考情報
- ひきたよしあき『博報堂スピーチライターが教える 5日間で言葉が「思いつかない」「まとまらない」「伝わらない」がなくなる本』大和出版、2019年。著者公式:https://smilehikita.com/books/44/
- オシロ株式会社「ブッククラブ(読書会)の実態調査」2025年5月29日。https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000082.000053812.html

iM(アイム)くん|IMマーケティングニュースのデータ活用ナビゲーター
好奇心旺盛で、いつも前向き。「まずやってみよう!」がモットーなんだ!
IM-DMPをはじめとするデータやAIの活用方法を、マーケティングの身近な課題や具体例を交えながらわかりやすく解説するよ。
冷静で分析が得意なパートナー・Mia(ミア)と一緒に、データから新しい仮説やインサイトを発見し、マーケティングの次のアクションにつなげていくんだ!







