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抽象的な表現を、顧客が行動をイメージできる言葉に変えて検証します。
Mia(ミア)と一緒に、問いを深めていきます。
きれいな文章ができた。でも、読者が動かない
メルマガの件名やLPのリード文、広告コピー。生成AIを使うと、文章は驚くほど速く整います。しかし、「正しく書けているのに、読者の印象に残らない」「便利だと書いたのに、何が便利なのか伝わらない」という悩みは残ります。
わたくしたち営業企画チームでは、ひきたよしあき氏の『博報堂スピーチライターが教える 5日間で言葉が「思いつかない」「まとまらない」「伝わらない」がなくなる本』を題材に社内読書会を行いました。そこで特に印象に残ったのが、形容詞に頼りすぎず、相手に動きが見える言葉を選ぶという考え方です。
読書会では、「やばい」「すごい」のような簡単な言葉をつい使ってしまうこと、自分が感じたことを五感で具体的に説明する練習が話題になりました。別の回では、相手の行動を具体的に描くために動詞を意識したい、という意見も出ました。
この学びを、AIでつくったマーケティング文章の磨き方に応用します。
「AIにメルマガを書いてもらったよ! 文章もきれいで読みやすいんだ!」
「……そのメールを読んだ人は、何ができるようになるの?」
「『業務を効率化できます』と書いてあるけど、具体的には……」
「その続きこそ、読者が知りたいことかもしれないね。」
「すごい」「便利」から、体験が浮かぶ言葉へ
形容詞が悪いわけではありません。ただ、抽象的な褒め言葉を重ねると、書き手の評価ばかりが目立ち、読み手は自分の状況に置き換えにくくなります。
たとえば、次の表は架空のBtoBサービスの訴求例です。
| 抽象的な文章 | 行動を描いた文章 |
|---|---|
| AIで営業活動を大幅に効率化 | 商談メモから、次回確認したい質問を整理する |
| 顧客理解を高度化 | 繰り返された発言を拾い、見落とした課題仮説を考える |
| 企画をスピーディーに支援 | 課題を入力し、3つのコンセプト案を比較する |
| 使いやすい分析機能 | 別々の集計結果を並べ、違いを確認する |
右側が必ず高い成果を出すわけではありません。具体性を増すことで、読者が何をできるかを想像しやすくなる可能性がある、という訴求仮説です。実際にはサービスで実現できる機能・条件と一致しているかを先に確認する必要があります。
「『便利です』と言われたら、何を思い浮かべる?」
「人によって違うよね。『議事録から次回の質問を整理できる』なら、場面が浮かぶよ!」
「具体的にした分、実際にできることかどうかも確認しよう。」
動詞を増やすと、読者の行動が見える
読書会では「話の中に動詞を入れると、聞き手が行動をイメージしやすい」という考え方も話題になりました。マーケティング文章でも「分析」「最適化」「高度化」といった名詞だけでは、何が起こるかイメージしづらいことがあります。
「分析する」で終わらせず、「発言を拾う」「仮説を並べる」「別の可能性を確かめる」「次の質問を考える」といった動作へ分解してみます。
さらに、読み手を一人思い浮かべてみるのも有効です。読書会では、一人に向けてラブレターを書くように企画を考えると一般論から離れられる、という学びもありました。誰に何を届けたいのかを具体化すると、選ぶ動詞も変わります。
「『データ活用を最適化』って、ビジネスっぽくて良い言葉だと思っていたよ!」
「でも、誰が何をするの?」
「マーケターがデータから仮説をつくり、次の施策を試す。そう書いた方が伝わりそうだね!」
「それなら、読者も自分の仕事に置き換えやすい。」
今日から試す:AIで文章をレビューし、2案つくる
まず、既に社内で承認された製品事実やサービス説明と、改善したい文章を用意します。次のステップで試してみましょう。
ステップ1: 文章に含まれる抽象的な形容詞や名詞をAIに抽出してもらう。
ステップ2: 何ができるのか、誰がどう動くのかを具体化する。
ステップ3: 同じ製品事実の範囲で、訴求Aと訴求Bを作る。
ステップ4: 担当者が製品仕様・誤解の恐れ・語調をチェックする。
ステップ5: 適切な対象と計測条件でA/Bテストする。
コピペして試せる指示文
あなたはBtoBマーケティングの文章編集者です。以下の原稿について、①「便利」「高機能」「すごい」などの抽象的な表現、②誰のどんな行動か不明な文、③読者が誤解しそうな断定を抽出してください。次に、既に確認済みの製品事実だけを使い、読み手が「何をできるようになるか」を具体的な動詞で描く2案へ書き換えてください。案Aは課題共感、案Bは行動イメージを重視してください。元原稿にない機能、成果、数値、保証は追加しないでください。最後に、どの違いを検証するA/Bテストなのかも説明してください。
「AIが書き換えた文章なら、すぐ配信していい?」
「だめだね。機能を盛っていないか、約束していない成果を書いていないかを確認するよ。」
「そして、お客さんの目線でも読むこと。」
伝わったかどうかは、データで確かめる
文章を具体的にすると、わかりやすくなる可能性はあります。ただし、本当に効果があったかは別問題です。例えばメールなら、開封率だけでなくクリックやその先の行動も確認します。LPなら、ページ閲覧、CTAクリック、問い合わせなど、施策の目的に合う指標を選びます。
比較時には配信対象、配信タイミング、デバイス、配信量、他の変更点にも注意します。件名と本文と配信セグメントを一度に変えると、どの要因で反応が変わったのか判断しづらくなります。
| 目的 | 見たい指標例 | 読み違えへの注意 |
|---|---|---|
| メルマガを読み進めてもらう | クリック率、クリック先での行動 | 件名だけでなく配信対象も影響する |
| LPで検討を進めてもらう | CTAクリック率、フォーム到達率 | クリック増加が受注増を意味するとは限らない |
| 広告から関心を得る | CTR、遷移先の行動 | CTRだけ高くても成果とは限らない |
読書会での学びが正しかったかを、マーケティングの実務で確かめられるのも面白いところです。
「動詞を増やしたコピーの方が、きっと反応が良いはず!」
「……『きっと』は検証が必要だね。」
「そうだった。対象条件をそろえて、どちらが読者に届くか試してみるよ!」
AIエージェント化の可能性:文章の改善を学習ループにする
一度の文章レビューに慣れてきたら、承認済みの原稿、過去の配信結果、検証した訴求軸を安全に参照できる仕組みも考えられます。
AIエージェントが過去のテスト結果を整理し、次に試す表現仮説を提案する。人が確認して公開し、結果を次の企画へ戻す。こうした流れなら、文章の自動生成を超え、改善経験を蓄積する仕組みにつながります。
ただし、公開・配信・顧客データ参照を完全に自動化する前には、権限、誤配信防止、製品表現の承認、セグメント情報の管理、テスト設計を整える必要があります。ここで示しているのは今後の活用イメージであり、導入済み・検証済みの成果ではありません。
まとめ:きれいに書くより、相手が動ける言葉を選ぶ
本の学びを読書会で話し合い、マーケティングに置き換えると、AIが書いた文章を「完成品」にしないという姿勢が見えてきました。誰に何を届けるのかを考え、動きの見える言葉に変え、データで確かめる。文章を磨くことは、顧客理解を深めることとつながっています。
「今回、何を減らしたかったんだっけ?」
「中身のない『すごい』を減らしたかったんだ!」
「じゃあ最後に『すごく伝わる文章』って書かないでね。」
参考情報
- ひきたよしあき著『博報堂スピーチライターが教える 5日間で言葉が「思いつかない」「まとまらない」「伝わらない」がなくなる本』大和出版、2019年。https://smilehikita.com/books/44/
- 本文中の実践法・事例表は読書会からの応用案であり、書籍の原文ではありません。 コピー比較表は記事用の架空例であり、実測結果ではありません。

iM(アイム)くん|IMマーケティングニュースのデータ活用ナビゲーター
好奇心旺盛で、いつも前向き。「まずやってみよう!」がモットーなんだ!
IM-DMPをはじめとするデータやAIの活用方法を、マーケティングの身近な課題や具体例を交えながらわかりやすく解説するよ。
冷静で分析が得意なパートナー・Mia(ミア)と一緒に、データから新しい仮説やインサイトを発見し、マーケティングの次のアクションにつなげていくんだ!



