「アクセス数やリード数は把握しているのに、なぜ顧客がその行動を取ったのかまでは分からない」「資料請求は増えているのに、比較検討や商談につながらない」「マーケティングと営業で、同じ顧客を見ているはずなのに温度感の認識が違う」。
こうした違和感がある場合、顧客を属性やCVの有無だけで捉えていることが一因かもしれません。
顧客理解をマーケティングファネルに当てはめるポイントは、「誰なのか」に加えて、「今どの検討段階にいるのか」「何をしているのか」「なぜその行動をしているのか」を整理することです。
同じ企業・同じ担当者でも、課題に気づいたばかりの段階と、複数サービスを比較して社内稟議を進めている段階では、必要な情報も取る行動も大きく異なります。ファネルを単なるCV管理表ではなく、顧客の現在地と心理を理解するためのフレームとして使うことで、コンテンツ、広告、営業、商品企画までつなげやすくなります。
インティメート・マージャーがこれまで実施してきたセミナーでも、顧客理解を深める際には、定量・定性の両面から顧客の解像度を高め、「誰に・いつ・何を届けるか」を設計することの重要性が議論されてきました。また、営業領域では、リード数だけではなく、顧客の検討タイミングや熱量を捉える必要性も見えてきています。
本記事では、顧客理解とマーケティングファネルの関係を整理し、認知から比較・具体検討・購入まで、各段階で何を見ればよいのかを実務視点で解説します。
- 要点サマリー
- 顧客理解×マーケティングファネルとは?
- なぜ顧客理解にマーケティングファネルが必要なのか
- 認知・情報収集・比較・購入で顧客理解はどう変わる?
- 認知段階の顧客理解|「何に困っているか」を把握する
- 情報収集段階の顧客理解|「何を知ろうとしているか」を捉える
- 比較検討段階の顧客理解|「何を基準に選ぶか」を捉える
- 具体検討・購入段階の顧客理解|「なぜ止まるのか」まで見る
- マーケティングファネルの顧客分析では「定量」と「定性」を組み合わせる
- セミナーで見えてきた顧客理解のポイント|データ統合より先に考えたいこと
- マーケティングファネルから「売れる理由」「買わない理由」を見つける
- 顧客理解をマーケティングファネルに落とし込む5ステップ
- AIはマーケティングファネルの顧客分析にどう使える?
- 顧客理解×マーケティングファネルの実務チェックリスト
- まとめ|ファネルを「数字の管理」から「顧客理解」へ変える
- FAQ
要点サマリー
- マーケティングファネルは、顧客を一方向に動かすための図ではなく、現在の検討段階を整理するための仮説フレームとして使えます。
- 顧客理解では、属性だけでなく「検討段階」「行動」「心理・背景」の3つを合わせて確認することが重要です。
- 認知・情報収集・比較検討・具体検討・購入では、顧客が知りたいことや必要な情報が異なります。
- 定量データは「何が起きているか」を捉え、定性データは「なぜ起きているか」を考える材料になります。
- ファネル分析の目的は数字を眺めることではなく、段階ごとの顧客課題を仮説化し、コンテンツ・商品・営業施策へ反映することです。
顧客理解×マーケティングファネルとは?
マーケティングファネルとは、顧客が商品やサービスを認知し、情報収集、比較検討などを経て購入・契約へ進む過程を段階的に整理する考え方です。
ただし、実際の顧客が必ず上から下へ一直線に進むわけではありません。特にBtoBでは、担当者が情報収集したあとに検討が止まったり、新しい決裁者が加わって再び比較を始めたり、予算の都合で数か月後に検討が再開したりすることがあります。
そのため、顧客理解にマーケティングファネルを使う場合は、「顧客をこの順番に進める」と考えるのではなく、「現在どの段階にいて、何を考え、何を必要としているのかを整理する」ことが重要です。
顧客理解は、次のように整理すると実務へ落とし込みやすくなります。
顧客理解 = 顧客属性 × 検討段階 × 行動 × 意識・背景
- 顧客属性:業種、企業規模、職種、役職など
- 検討段階:認知、情報収集、比較検討、具体検討、購入・契約など
- 行動:検索、記事閲覧、資料閲覧、セミナー参加、問い合わせ、商談など
- 意識・背景:課題、期待、不安、比較基準、買う理由、買わない理由など
「製造業のマーケティング担当者」という属性だけでは、何を伝えるべきかは決まりません。その担当者が「課題を調べ始めた段階」なのか、「3社を比較している段階」なのか、「上司への説明材料を探している段階」なのかによって、必要なコミュニケーションは異なるからです。
なぜ顧客理解にマーケティングファネルが必要なのか
顧客属性だけでは「今、何を求めているか」が分からない
ペルソナやICP、企業属性は顧客理解の重要な要素です。しかし、それだけでは顧客の現在の検討状況までは分かりません。
同じ企業・同じ職種でも、半年前には課題を認識していなかった人が、現在は社内プロジェクトの担当者として具体的なサービス比較を進めていることもあります。
属性は比較的変化しにくい情報ですが、検討度や関心テーマは時間とともに変化します。
ファネルという時間軸を加えることで、「誰か」だけではなく、「今、その人がどのような状態か」まで考えられるようになります。
同じ行動でも意味が異なることがある
例えば「料金ページを見た」という行動があったとします。
すでに導入候補を絞って価格比較している顧客かもしれません。一方で、単に相場を知りたいだけかもしれません。競合企業の担当者が調査している可能性もあります。
行動データだけを見ると、「料金ページ閲覧=検討度が高い」と判断したくなります。しかし、顧客理解を深めるには、その前後にどの情報へ接触したか、どのような課題を抱えているか、何を比較しているかまで確認する必要があります。
既存記事「顧客理解を深める5つの方法」では、行動データだけでは見えない顧客理解について詳しく整理しています。
BtoBでは購入直前にも複数の検討プロセスがある
BtoBでは、担当者本人が「欲しい」と感じた時点で購入が決まるとは限りません。
情報収集担当者、利用部門、上司、決裁者、購買部門など、複数の関係者が意思決定に関わることがあります。そのため、問い合わせや商談をファネルの終点として扱ってしまうと、その後に起きている顧客側の検討プロセスを見落とします。
インティメート・マージャーが参加した営業関連セミナーでも、「商談は増えているのに受注率が上がらない」という課題が取り上げられました。そこで見えてきたのは、入口のリード獲得だけではなく、顧客の検討タイミングや、商談後の社内検討まで含めてプロセスを捉える必要性です。
つまりBtoBのファネルでは、単に「認知→問い合わせ」と見るのではなく、顧客社内の意思決定まで顧客理解の対象にすることが重要になります。
認知・情報収集・比較・購入で顧客理解はどう変わる?
顧客理解をマーケティングファネルで整理する場合、各段階について「顧客の状態」「知りたいこと」「確認するデータ」「次に提供すべき情報」をセットで考えます。
| 段階 | 顧客の状態 | 顧客が知りたいこと | 確認したい情報・データ | 企業側の主な対応 |
|---|---|---|---|---|
| 認知・課題認識 | 違和感や課題はあるが、解決策が明確ではない | 何が問題なのか、同じ課題は他社にもあるのか | 検索テーマ、記事閲覧、アンケート、問い合わせ内容、営業現場の声 | 課題整理、用語解説、問題構造を理解できるコンテンツ |
| 情報収集 | 解決方法や選択肢を調べ始めている | どんな方法があるか、自社には何が合うか | 検索クエリ、閲覧コンテンツ、資料閲覧、ウェビナー参加テーマ | 方法論、チェックリスト、導入手順、選択肢の整理 |
| 比較検討 | 複数の方法・サービス・商品を比較している | 違い、判断基準、自社との適合性 | 比較ページ閲覧、事例、料金・機能情報への接触、商談内容 | 比較軸、事例、導入条件、向いているケース・向かないケース |
| 具体検討 | 候補を絞り、社内で導入可否を判断している | 費用対効果、リスク、運用方法、社内説明材料 | 商談記録、質問、失注理由、検討テーマ、関係者・決裁プロセス | 導入シナリオ、FAQ、判断材料、社内共有しやすい情報 |
| 購入・契約 | 最終判断を行う | なぜこの選択肢を選ぶべきか、導入後に何が起きるか | 受注・失注データ、決定理由、導入障壁、最終質問 | 不安の解消、期待値調整、導入後の具体像の提示 |
認知段階の顧客理解|「何に困っているか」を把握する
認知段階では、顧客自身が問題を明確に言語化できていないことがあります。
例えば「リードは増えているのに商談化しない」「商品企画をしても反応が読めない」「広告の数字は見ているが顧客像が分からない」といった違和感です。
この段階で重要なのは、いきなり商品・サービスを説明するのではなく、顧客が感じている違和感を課題として整理することです。
認知段階で見るべき情報
- どのような課題系キーワードで検索されているか
- どの記事やテーマへの接触が増えているか
- 営業・問い合わせ窓口にどのような相談が寄せられているか
- アンケートやインタビューでどのような不満が語られているか
- まだ商品名を知らない人が、どのような言葉で課題を表現しているか
この段階では「商品を買う人」を探すよりも、「どのような問題を抱えている人がいるのか」を見つけることが顧客理解の出発点になります。
情報収集段階の顧客理解|「何を知ろうとしているか」を捉える
課題を認識すると、顧客は解決方法を探し始めます。
ここでは商品名だけではなく、「方法」「違い」「比較」「事例」「メリット・デメリット」といったさまざまな情報を調べます。
2026年には検索自体も変化しています。検索エンジン上でも、短いキーワードを何度も入力するだけではなく、AIを使って複数条件を含む質問を行い、そのまま追加質問しながら理解を深める情報探索が広がっています。
そのため企業側も、単一キーワードへの接触だけから顧客の意図を断定するのではなく、どのテーマを連続して調べているのかを見る必要があります。
「検索した=今すぐ購入」ではない
あるテーマについて検索していることは関心のシグナルになります。しかし、それだけで購入直前とは限りません。
情報収集段階では、次のような問いを立てて顧客を見ると整理しやすくなります。
- 課題を知るための情報を見ているのか
- 解決方法を探しているのか
- 複数の選択肢を調べ始めているのか
- 具体的な導入条件まで確認しているのか
行動をファネル上の文脈に置くことで、同じページ閲覧でも意味を解釈しやすくなります。
比較検討段階の顧客理解|「何を基準に選ぶか」を捉える
比較検討に入ると、顧客の関心は「何があるか」から「どれを選ぶか」へ移ります。
この段階で企業側が知りたいのは、単なる閲覧数ではありません。
顧客が何を比較軸としているのか、どの条件が決定を後押しし、どの条件が障壁になっているのかを理解することが重要です。
比較検討で確認したいこと
- 価格を重視しているのか
- 機能や性能を比較しているのか
- 導入実績・事例を重視しているのか
- サポートや運用負荷を不安視しているのか
- 社内説明のしやすさが判断材料になっているのか
- 競合との差をどのように認識しているのか
ここではWeb行動の定量データに加えて、商談記録、顧客インタビュー、アンケート自由回答、営業担当者が聞いた懸念などの定性情報が重要になります。
顧客が「何を買ったか」だけではなく、「なぜそれを選んだのか」を掘り下げたい場合は、以下の記事も参考になります。
顧客の「買う理由」を分析するには?購買動機をデータから見つける方法
具体検討・購入段階の顧客理解|「なぜ止まるのか」まで見る
問い合わせや商談まで進むと「かなり検討度が高い」と判断しがちです。
しかし、BtoBではここから先にも多くの障壁があります。
- 予算が確保できない
- 決裁者へ価値を説明できない
- 既存の運用を変える不安がある
- 他部署との調整が必要
- 導入時期が決まっていない
- 比較している他の選択肢との違いが分からない
過去のセミナーでも、展示会などでリードを獲得しても、営業側から連絡するタイミングでは顧客の熱量が十分ではないケースや、商談が増えても受注につながらないという現場課題が取り上げられています。
つまり、ファネル後半では「問い合わせしたか」「商談したか」だけでなく、検討がどこで止まっているのかを理解する必要があります。
失注理由は顧客理解の重要なデータになる
受注顧客だけを分析すると、「売れる理由」しか見えません。
顧客理解を深めるためには、失注、離脱、保留といった結果も重要です。
- 必要性は感じていたが優先順位が低かった
- 価格ではなく運用負荷が障壁だった
- 担当者は評価したが決裁者へ価値を伝えられなかった
- 比較検討の途中で別の選択肢を選んだ
こうした「買わない理由」を整理すると、商品そのものを直すべきなのか、訴求を変えるべきなのか、営業プロセスを変えるべきなのかを判断しやすくなります。
マーケティングファネルの顧客分析では「定量」と「定性」を組み合わせる
顧客理解では、数字だけ、声だけのどちらかに偏らないことが重要です。
| 観点 | 定量データ | 定性データ |
|---|---|---|
| 主に分かること | 何が、どの程度起きているか | なぜ起きた可能性があるか |
| 例 | 検索、閲覧、CV、商談、受注、購買など | インタビュー、自由回答、問い合わせ、営業メモ、顧客の発言など |
| ファネルでの役割 | どこで行動が変化・停滞しているかを確認する | 変化・停滞の背景にある心理や判断理由を考える |
| 注意点 | 行動理由までは断定できない | 一部の声を市場全体へ一般化しない |
例えば「比較ページから問い合わせへの遷移率が低い」という数字が分かったとしても、その数字だけでは理由は分かりません。
そこでインタビュー、自由回答、営業時の質問などを確認し、「違いが分かりにくい」「導入後のイメージが持てない」「価格より運用負荷が心配」といった仮説を作ります。
その仮説を再び行動データや追加調査で確認することで、顧客理解の解像度を高めていきます。
定性データと定量データそのものの違い・使い分けについては、以下の記事で詳しく解説しています。
セミナーで見えてきた顧客理解のポイント|データ統合より先に考えたいこと
顧客理解を高度化しようとすると、「データを統合したい」「ツールを導入したい」「AIで分析したい」という話から始まりやすくなります。
しかし、過去のセミナーでは、データの設計や統合そのものを目的にするのではなく、まず顧客理解を深め、あるべきコミュニケーションを描くことが重要だという議論がありました。
そこで整理されていた考え方が、「誰に・いつ・何を」です。
- 誰に:どのような顧客なのか
- いつ:どのような状態・タイミングなのか
- 何を:何を伝えると次の判断を支援できるのか
これはマーケティングファネルによる顧客理解にもそのまま接続できます。
例えば、「製造業のマーケティング責任者だから導入事例を見せる」という属性起点だけではなく、「現在は課題認識段階だから問題構造を説明する」「比較検討段階だから判断軸を示す」「社内検討段階だから決裁者向けの説明材料を渡す」というように、タイミングを加えて設計します。
顧客理解の目的は、顧客データを増やすことではありません。顧客の状態を理解し、次に必要な体験や情報を設計することです。
マーケティングファネルから「売れる理由」「買わない理由」を見つける
ファネル分析をCV率改善だけで終わらせず、商品開発や訴求改善にまでつなげる方法があります。
それが、各段階で「売れる理由」と「買わない理由」を整理することです。
| ファネル上の状態 | 確認したい「進む理由」 | 確認したい「止まる理由」 |
|---|---|---|
| 認知 | 課題を自分事として認識した理由 | 問題として認識しない理由 |
| 情報収集 | さらに調べたいと思った理由 | 関心が続かない理由 |
| 比較 | 候補に残した判断軸 | 候補から外した理由 |
| 具体検討 | 社内で検討を進める理由 | 保留・延期になる理由 |
| 購入 | 最終的に選んだ理由 | 失注・見送りになった理由 |
この整理を行うと、ファネルの数字が商品・マーケティング施策の仮説へ変わります。
例えば比較段階で離脱が多く、定性情報から「自社に合うか判断できない」という声が見えるなら、商品そのものよりも、対象企業・利用条件・事例の見せ方を見直す仮説が立てられます。
一方、購入直前に「運用負荷」が障壁として繰り返し現れるなら、商品仕様、オンボーディング、営業時の説明などを見直す余地があります。
顧客インサイトそのものを深掘りしたい場合は、以下の記事も参考になります。
顧客の行動だけでなく「なぜ買うのか」「なぜ買わないのか」まで深掘りしたい方へ
マーケティングファネルを整理すると、どこで顧客が進み、どこで止まっているのかは見えやすくなります。一方、その背景にある理由を理解するには、行動データだけでなく、顧客の声や意識を含む定性情報と、市場性・反応を確認する定量データを組み合わせる必要があります。
アーカイブ配信「AI×定性・定量データで『売れる理由』を見つける商品開発」では、AI、定性アプローチ、定量データを組み合わせ、アイデア発想から市場分析・市場検証まで進める考え方を紹介しています。
顧客理解をマーケティングファネルに落とし込む5ステップ
顧客が通る主な検討段階を定義する
まず、自社にとってのファネルを定義します。
必ずしも「認知・興味・比較・購入」という一般的な形に合わせる必要はありません。BtoBであれば、例えば次のように整理できます。
- 課題認識
- 情報収集
- 解決方法の比較
- サービス・商品の比較
- 問い合わせ・商談
- 社内検討・稟議
- 契約
自社の顧客が実際にどのような判断をしているかに合わせて設定することが重要です。
段階ごとの顧客の問いを書き出す
次に「その段階の顧客は何を知りたいのか」を言語化します。
- これは本当に解決すべき課題なのか
- どんな解決方法があるのか
- どの方法が自社に合うのか
- どの企業・商品を選べばよいのか
- 社内へどう説明すればよいのか
ここまで整理すると、コンテンツや営業資料に必要な情報も見えやすくなります。
各段階で確認できる行動データを整理する
記事閲覧、検索、資料ダウンロード、ウェビナー参加、問い合わせ、商談など、顧客の行動をファネルへ対応させます。
ただし「この行動をしたら必ずこの段階」と固定するのではなく、複数の行動を合わせて判断することが大切です。
定性情報から「なぜ」を仮説化する
行動が見えたら、次に理由を考えます。
顧客インタビュー、アンケート、問い合わせ内容、営業メモ、自由回答などから、次のような情報を集めます。
- 何を期待しているか
- 何に不安を感じているか
- 何を比較しているか
- なぜ検討を始めたのか
- なぜ検討を止めたのか
ここで重要なのは、定性情報をそのまま「事実」とするのではなく、仮説として扱うことです。
仮説を施策で検証する
最後に、仮説をコンテンツ、広告、商品、営業コミュニケーションなどへ反映し、顧客行動がどう変わるかを確認します。
「比較軸が分からないことが離脱理由ではないか」という仮説なら、比較表や判断基準コンテンツを作成します。
「決裁者へ説明できないことが障壁ではないか」という仮説なら、社内共有しやすい資料や費用対効果の説明を追加します。
顧客理解は、一度ペルソナやファネルを作れば完成するものではありません。
データを見る → 理由を仮説化する → 施策へ反映する → 結果を確認するという循環を続けることが重要です。
AIはマーケティングファネルの顧客分析にどう使える?
AIは、顧客理解そのものを代替するものではありませんが、大量の情報を整理し、仮説を作る補助として活用できます。
例えば、次のような使い方があります。
- 顧客インタビューや自由回答の分類
- 営業メモに共通する課題・不安の整理
- ファネル段階ごとの顧客質問の整理
- 売れる理由・買わない理由の仮説案作成
- 顧客セグメントごとの比較
- 検証すべき仮説の抜け漏れ確認
一方で、AIが生成した顧客像や理由を、そのまま実在顧客の事実として扱うべきではありません。
AIはあくまで整理・要約・仮説づくりを支援する存在です。実際の顧客行動、アンケート、インタビュー、購買データ、営業現場などと照合しながら判断する必要があります。
顧客理解×マーケティングファネルの実務チェックリスト
- □ 自社のファネルを実際の顧客の検討プロセスに合わせて定義しているか
一般的なファネルをそのまま使っている場合は、問い合わせ後の社内検討や稟議まで含めて見直します。 - □ 各段階で顧客が抱える質問を整理しているか
行動だけを定義している場合は、「この段階で何を知りたいか」を追加します。 - □ 顧客属性だけで施策を決めていないか
業種・役職だけでなく、検討段階や直近の行動も確認します。 - □ 行動データだけで顧客心理を断定していないか
インタビュー、アンケート、営業メモなどの定性情報を照合します。 - □ 定性情報だけで市場全体を判断していないか
検索、閲覧、CV、商談、受注などの定量データで仮説の広がりを確認します。 - □ 比較検討段階の判断基準を把握しているか
価格、機能、事例、運用負荷など、何が選定軸になっているかを確認します。 - □ 「買う理由」だけでなく「買わない理由」も収集しているか
失注、保留、離脱からも顧客理解の材料を集めます。 - □ マーケティングと営業で顧客の検討段階を共有できているか
「リード」「商談」といった社内ステータスだけでなく、顧客側の状態を共通言語にします。 - □ 分析結果を実際の施策へ反映しているか
分析レポートで終わっている場合は、コンテンツ、商品、営業資料など具体的な改善対象を決めます。 - □ 定期的にファネルの定義を見直しているか
検索行動、情報収集手段、営業プロセスが変化すれば顧客の検討行動も変わります。
まとめ|ファネルを「数字の管理」から「顧客理解」へ変える
マーケティングファネルは、CV数や商談数を管理するためだけのものではありません。
顧客理解の観点から見ると、ファネルは「顧客が今どの段階にいて、何を考え、次に何を必要としているか」を整理するためのフレームになります。
特に重要なのは、次の4点です。
- 属性だけでなく検討段階を見る
- 行動だけでなく、その背景にある理由を考える
- 定量データと定性データを組み合わせる
- 分析結果を商品・コンテンツ・営業施策へ戻す
ファネル上で顧客が止まっている場所を見つけるだけでは、「なぜ止まったのか」までは分かりません。
その理由を定性情報から仮説化し、定量データで確かめていくことで、「何を改善すれば顧客の意思決定を支援できるのか」が見えやすくなります。
AI×定性・定量データから「売れる理由」をさらに深掘りしたい方へ
顧客理解を商品企画や施策改善までつなげるには、顧客の言葉・悩み・買わない理由などの定性情報と、市場性・行動・反応を示す定量データを組み合わせ、「誰に、どんな価値を、なぜ提供するのか」を仮説として整理することが重要です。
アーカイブ配信「AI×定性・定量データで『売れる理由』を見つける商品開発」では、AIを活用したアイデア発想から、定性・定量データを用いた市場分析、市場検証までを実践的に紹介しています。
FAQ
顧客理解とマーケティングファネルはどのような関係がありますか?
マーケティングファネルを使うことで、顧客を属性だけでなく「現在どの検討段階にいるか」という時間軸から理解できます。認知段階と比較検討段階では顧客が知りたい情報が異なるため、段階ごとに心理・行動・必要な情報を整理することが重要です。
マーケティングファネルで顧客分析するときは何を見ればよいですか?
ファネルごとの人数やCV率だけではなく、検索・閲覧・資料請求・商談などの行動、その段階で顧客が抱える疑問、比較基準、離脱理由まで確認します。定量データと定性情報を組み合わせることで背景を考えやすくなります。
BtoBでもマーケティングファネルは使えますか?
使えます。ただし、問い合わせを終点にせず、商談、社内検討、稟議、契約まで含めて設計することが重要です。BtoBでは複数の関係者が意思決定に関与するため、顧客社内の検討プロセスまで考慮する必要があります。
カスタマージャーニーとマーケティングファネルの違いは何ですか?
マーケティングファネルは顧客の検討段階を大きく整理するのに向いています。カスタマージャーニーは、各段階での具体的な行動、接点、感情などをより詳細に整理する際に使われます。両者を組み合わせると顧客理解を深めやすくなります。
顧客行動だけを見れば検討段階を判断できますか?
行動だけで断定することは難しい場合があります。同じ料金ページ閲覧でも、比較検討、相場調査、競合調査など目的は異なります。前後の行動や顧客の声、営業情報などを組み合わせて仮説を立てることが重要です。
定性データと定量データはどちらを優先すべきですか?
目的によって使い分けます。定量データは「どこで何が起きているか」を捉えるのに適し、定性データは「なぜ起きているのか」を考える材料になります。一方だけで判断せず、相互に仮説を確認する使い方が適しています。
マーケティングファネルの顧客理解にAIは使えますか?
AIはインタビューや自由回答の分類、営業メモの整理、顧客課題の仮説化、売れる理由・買わない理由の整理などに活用できます。ただしAIの出力は仮説であり、実際の顧客データや調査結果と照合して判断する必要があります。

「IMデジタルマーケティングニュース」編集者として、最新のトレンドやテクニックを分かりやすく解説しています。業界の変化に対応し、読者の成功をサポートする記事をお届けしています。


