ハイブリッドクッキー時代のマーケティング戦略 – 感性マッチングと個別IDが導く新しい潮流
2024年8月20日、株式会社インティメート・マージャーと株式会社ソケッツの共催によるデジタルマーケティングセミナーが開催されました。本セミナーでは、サードパーティークッキー規制の影響と、ポストクッキー時代におけるマーケティング手法について議論が交わされました。
共催企業のご紹介
まず、セミナーを共催した2社についてご紹介します。
株式会社インティメート・マージャーは、アドテクノロジー領域のDMP(データマネジメントプラットフォーム)の提供・運用・開発を行っている会社です。国内最大級のデータを活用し、オンライン・オフライン問わずマーケティング施策の支援を行っています。
株式会社ソケッツは、エンターテインメント業界で培ってきた知見を活かし、感性AIや感性マーケティングの分野で事業を展開しています。記事の分析から読者の感性を捉え、適切な広告をマッチングさせるサービスを提供しています。
サードパーティークッキー規制の影響
セミナーの冒頭では、サードパーティークッキー規制の現状と影響について議論がなされました。GoogleのChromeブラウザにおける規制は一旦撤回されたものの、Safari(iOS)やEdge(Windows)など他のブラウザでは既に規制が実施されており、広告効果の低下など大きな影響が出ているとのことです。
インティメート・マージャー社の簗島氏は、「iPhoneユーザーは相対的に購買力が高く、ECサイトでの購入頻度も高い傾向にある。そうしたユーザーにリーチできなくなるのは痛手」と指摘。規制の影響は看過できないものであり、ポストクッキー時代に向けた対策が急務だと訴えました。
感性マッチングと個別IDの可能性
セミナーの後半では、ポストクッキー時代のマーケティング手法として、感性マッチングと個別IDの活用について議論が交わされました。
ソケッツ社の大山氏は、従来のコンテキストマッチとは一線を画す「感性マッチング」の有用性を指摘。「単に特定のキーワードが含まれているかどうかではなく、記事全体の文脈や読者の感性を理解することが重要」と述べ、同社の感性AIを活用することで、読者の感性に合わせた広告配信が可能になると説明しました。
一方、インティメート・マージャー社の簗島氏は、サードパーティークッキーに依存しない個別IDの活用について言及。「ブラウザ単位ではなくユーザー単位でデータを蓄積・活用することで、クッキーに頼らないマーケティングが可能になる」と述べ、同社の個別IDソリューション「IM-UID」の優位性をアピールしました。
データ活用の重要性
セミナーを通して、改めてデータ活用の重要性が浮き彫りになりました。サードパーティークッキーの利用が制限される中、自社で保有するファーストパーティーデータの活用や、外部データの有効活用がますます重要になってくるでしょう。
また、生成AIの発展により、大量のクリエイティブ制作が容易になりつつあります。しかし、AIに任せきりになるのではなく、感性データや行動データなどを活用し、ターゲットに合わせたチューニングを行うことが肝要です。データとAIを適切に組み合わせることで、より効果的なマーケティングが実現できるはずです。
まとめ
サードパーティークッキー規制への対応は待ったなしの状況です。従来の手法に固執するのではなく、感性マッチングや個別IDなど新しいアプローチにもチャレンジしていく必要があります。自社に合った打ち手を模索しつつ、データ活用力を高めていくことが、ポストクッキー時代を勝ち抜くカギとなるでしょう。
セミナー登壇者のお二人からは、データ活用の可能性について示唆に富む発言が数多く聞かれました。ハイブリッドクッキー時代のマーケティング戦略について、考えを新たにする良い機会となったのではないでしょうか。