広告の法務チェックで確認すべき項目|景品表示法・著作権・表現規制を整理

プライバシー・Cookie規制
著者について

「広告クリエイティブが完成したので法務へ確認を依頼したら、一番強く訴求していた表現を修正することになった」。

「コピーを直したら画像も修正が必要になり、さらにLPにも同じ表現が残っていた」。

「生成AIで広告案を短時間に何十本も作れるようになったのに、公開前の確認が追いつかない」。

広告制作の現場では、このようなことが起こります。

広告の法務チェックというと、「NGワードを確認する」「法務担当者へ最後に見てもらう」と考えがちです。しかし、実際に確認する対象は広告コピーだけではありません。

商品・サービスの内容、効果を示す根拠、価格、比較条件、画像・動画の権利、口コミ・PR表現、LP、業界固有の広告規制まで含めて確認する必要があります。

IMデジタルマーケティングニュースが蓄積してきた過去セミナーでも、生成AIを広告・PRへ使う際には、他人の作品との類似、権利者からの指摘、ユーザーの違和感などを制作後に確認する必要性が議論されてきました。

また、広告制作のAI活用が進むほど、制作そのものよりも、「訴求軸を誰が決めるか」「ブランド・商品表現を誰が確認するか」「誰が最終承認するか」という人間側の判断設計が重要になります。

結論から言えば、広告の法務チェックとは、広告表現だけを見る工程ではなく、「表示する主張」と「その根拠」と「使用する素材・権利」と「適用されるルール」を公開前に対応付ける工程です。

この記事では、景品表示法、著作権、ステルスマーケティング規制、生成AI広告、薬機法などを中心に、マーケティング担当者が法務へ相談する前に整理しておきたいポイントを解説します。

なお、本記事は広告法務に関する一般的な実務情報を整理するものであり、個別の広告表現について適法性を判断する法律相談ではありません。実際の広告公開時は、商品・業界・表現・媒体・配信地域などに応じて、自社の法務担当者や弁護士等の専門家へ確認してください。

要点サマリー

  • 広告の法務チェックと広告媒体による審査は別の工程です。
  • 景品表示法では、品質・効果・価格・取引条件などを実際以上に見せる表示へ注意が必要です。
  • 効果・性能を訴求する場合は、コピーを作ってから根拠を探すのではなく、根拠と表示を対応させます。
  • 画像、動画、音楽、第三者の投稿などは著作権・商標・肖像等の権利確認が必要です。
  • 生成AIを利用しても法務チェックが不要になるわけではなく、類似性・権利・商品との整合性を人間が確認します。
  1. 広告の法務チェックとは?
  2. 確認項目2:効果・性能の根拠を説明できるか
  3. 確認項目3:価格・割引・無料などの条件が正確か
  4. 確認項目4:No.1・最大・最短・比較表現に根拠があるか
    1. 確認事項
  5. 確認項目5:口コミ・UGC・インフルエンサー施策で広告性が伝わるか
  6. 確認項目6:画像・動画・文章・音楽の著作権を確認したか
  7. 確認項目7:商標・ロゴ・人物写真など第三者の権利を確認したか
  8. 確認項目8:生成AIで作った広告素材に権利・表現上の問題がないか
  9. 確認項目9:商品・業界固有の広告規制を確認したか
  10. 確認項目10:広告だけでなくLPまで同じ条件で確認したか
    1. 広告とLPで確認したいこと
  11. 法務へ相談する前に「表現と根拠のセット」を作る
  12. 法務チェックをリスク別に分ける
  13. AIで広告の法務チェックを支援できること・できないこと
  14. 差し戻し内容を次回の広告制作へ戻す
    1. 残しておきたい情報
  15. 広告公開前の法務チェックリスト
    1. 商品・サービス
    2. 効果・性能
    3. 実績・比較
    4. 価格・条件
    5. 口コミ・PR
    6. 著作権・第三者権利
    7. 生成AI
    8. LP
    9. 承認・記録
  16. まとめ:広告の法務チェックは「禁止表現を探す作業」ではない
  17. 広告の法務チェックに関するよくある質問
    1. 広告の法務チェックとは何ですか?
    2. 広告の法務チェックでは何を確認すればよいですか?
    3. 景品表示法で広告担当者が注意すべきことは何ですか?
    4. 広告で他社の画像やSNS投稿を使ってもよいですか?
    5. 生成AIで作った広告画像なら著作権の確認は不要ですか?
    6. 広告媒体の審査に通れば法務チェックは不要ですか?
    7. 広告の法務チェックはいつ行うべきですか?

広告の法務チェックとは?

広告の法務チェックとは、広告として公開するコピー、画像、動画、LPなどについて、関係する法令、権利、業界ルール、自社基準に照らして問題となる点がないかを公開前に確認する工程です。

ここで最初に整理しておきたいのが、法務チェックと媒体審査は同じものではないということです。

確認 主な目的 主な確認事項
マーケティング・制作確認 事実・商品・ブランドとの整合 商品情報、訴求、価格、ブランド表現
法務チェック 法令・権利リスクの確認 景品表示法、著作権、業界規制など
媒体審査 媒体ポリシーへの適合確認 禁止・制限コンテンツ、LP、技術要件など

媒体審査を通過したからといって、広告の適法性が保証されるわけではありません。

反対に、社内法務が承認した広告であっても、媒体独自の広告ポリシーにより不承認となる場合があります。

2026年4月に改定された国内インターネット広告の業界ガイドラインでも、広告主体と広告内容の責任、広告掲載判断、リンク先、広告であることの明示、第三者の権利、表現規制などが広告掲載実務の論点として整理されています。クの前に確認すること|何を、誰に、どこで広告するのか

広告コピーを1行ずつ確認する前に、その広告の前提条件を整理します。

確認項目 確認すること
商品・サービス 何を広告するのか
対象者 一般消費者向けか、法人向けか
業界 医薬品、化粧品、金融、不動産など固有規制があるか
配信地域 国内のみか、海外にも配信するか
表現 効果、価格、比較、実績など何を訴求するか
素材 画像、動画、音楽、第三者コンテンツを使うか
遷移先 LPや商品ページで何を表示するか

たとえば同じ「効果を訴求する広告」でも、一般的な業務支援サービスと、化粧品・医療関連の商品では確認すべき規制が異なります。

また、景品表示法は一般消費者の自主的・合理的な選択を保護するための表示規制であるため、BtoB商材だから一律に同じ扱いになる、あるいは一律に対象外になると決めつけず、実際の取引・表示対象に応じて適用関係を確認することが重要です。:商品・サービスを実際以上に良く見せていないか

広告表現で最も基本的な確認事項の一つが、品質、性能、内容、効果などを実際以上に良く見せていないかという点です。

消費者庁は、景品表示法上の優良誤認表示について、商品・サービスの品質、規格その他の内容を、実際より著しく優良であるかのように示す表示や、事実に反して競合より著しく優れていると示す表示を禁止しています。故意ではなく誤って行った表示でも、要件に該当すれば規制対象となり得ます。広告表現

  • 効果・性能を強く訴求している
  • 導入による改善結果を示している
  • 「最高」「圧倒的」など優位性を強調している
  • 競合より優れていることを示している
  • 実績数値を一般化している
  • 一部条件の成果を全利用者に当てはまるように見せている

重要なのは「この単語は使ってはいけない」という禁止語リストだけで判断しないことです。

同じ言葉でも、広告全体の文脈、根拠、注記、商品実態によって判断は変わります。

確認項目2:効果・性能の根拠を説明できるか

「○%改善」「業務時間を短縮」「効果が高い」といった効果・性能表示を使う場合は、その裏付けとなる根拠を確認します。

消費者庁の不実証広告規制に関するガイドラインでは、合理的な根拠と認められるためには、資料が客観的に実証された内容であることに加え、広告で表示した効果・性能と、その資料によって実証された内容が適切に対応していることが必要とされています。資料が「存在する」だけでは十分とは限りません。

広告表現 確認したいこと
○%改善 何と何を比較し、対象・期間・条件は何か
導入企業○社 集計対象、期間、重複の扱い
最短○日 どの条件で達成できるのか
No.1 調査主体、対象、期間、比較範囲、調査方法
利用者満足度○% 調査対象、質問内容、回答数、実施時期

実務では「コピーを作る→根拠を探す」ではなく、「使える根拠を確認する→表現可能な範囲を決める」という順番にすると、後工程での大幅な差し戻しを減らしやすくなります。

確認項目3:価格・割引・無料などの条件が正確か

商品・サービスの価格や取引条件について、実際より有利に見せる広告にも注意が必要です。

景品表示法では、価格その他の取引条件について、実際より著しく有利である、または競争事業者より著しく有利であると一般消費者に誤認される表示が有利誤認表示として規制されています。クで確認したい項目

  • 表示価格
  • 割引前価格
  • 割引率
  • キャンペーン期間
  • 無料となる範囲
  • 初回限定条件
  • 最低契約期間
  • 追加料金
  • 自動更新条件
  • 適用対象

特に「今だけ」「半額」「無料」「○円~」といった訴求では、顧客が実際にその条件を利用できる範囲を確認します。

広告の大きな文字では「無料」と書いているのに、LPの下部で重要な有料条件が初めてわかるような場合は、広告とLPを一体として確認することが重要です。

確認項目4:No.1・最大・最短・比較表現に根拠があるか

BtoB広告でも、実績や優位性を伝えるために、No.1、最大、最短、業界初などの表現を使いたくなることがあります。

ここで確認すべきなのは、「強い言葉だから使わない」ということではなく、その広告から読み取れる意味を客観的に説明できるかです。

確認事項

  • 何についてNo.1なのか
  • 比較対象は何か
  • 調査時期はいつか
  • 調査方法は何か
  • 対象市場を恣意的に狭めていないか
  • 広告上の表現と調査結果が一致しているか
  • 必要な注記を広告上で確認しやすく表示しているか

競合商品との比較を行う場合も、「事実に基づく比較」と「競合より優れている印象を作る表現」を分けて確認します。

比較広告やNo.1表示は個別条件によって判断が変わるため、訴求の中心に据える場合は、制作完了後ではなく企画段階で法務へ確認するほうが現実的です。

確認項目5:口コミ・UGC・インフルエンサー施策で広告性が伝わるか

SNS広告では、広告らしさを抑え、通常投稿に近いフォーマットで伝える方法があります。

過去セミナーでも、縦型動画広告ではオーガニックコンテンツに近い形式を取り入れたクリエイティブが利用されていることが紹介されていました。

一方、「広告に見えないこと」そのものを目的にすると、別の法務論点が生まれます。

消費者庁のステルスマーケティング規制では、事業者が表示内容の決定に関与した広告・宣伝であるにもかかわらず、一般消費者が事業者による表示だと判別することが困難な表示が規制対象になります。規制対象となるのは、原則として表示内容の決定に関与した広告主側の事業者です。ケース

  • 商品提供をした人のSNS投稿
  • 報酬を支払って依頼したレビュー
  • 社員や関係者の口コミ
  • 広告主が投稿内容を指定したSNS投稿
  • 口コミ風の広告クリエイティブ
  • 「お客様の声」の掲載

すべての口コミやUGC風コンテンツが直ちに問題になるわけではありません。

重要なのは、誰が内容決定へ関与したのか、対価や依頼関係はあるのか、一般消費者から広告・宣伝であることを認識できる状態かを確認することです。

確認項目6:画像・動画・文章・音楽の著作権を確認したか

広告制作では、コピー以外にも多くの第三者コンテンツを使います。

  • 写真
  • イラスト
  • 動画
  • 音楽・BGM
  • 記事本文
  • グラフ・図表
  • 他社Webサイトのスクリーンショット
  • SNS投稿
  • 商品画像

文化庁は、他人の著作物を利用する場合、そもそも著作物に当たるか、保護対象か、保護期間が満了しているか、著作権法上の権利制限規定に該当するかなどを確認し、それらに当てはまらない場合は原則として権利者の許諾を得る必要があるという確認フローを示しています。また、著作者人格権、肖像権その他の権利、利用条件等も確認が必要となる場合があります。すること

  • 誰が作った素材か
  • 自社が利用する権利を持っているか
  • 広告・商用利用が許可されているか
  • 改変が許可されているか
  • 利用期限・媒体制限がないか
  • 二次利用できるか
  • 制作会社との契約で権利関係を整理しているか

「インターネット上に公開されているから使える」「SNSに投稿されているから広告へ転載できる」とは限りません。

プロジェクト内の編集ガイドでも、自社制作素材の優先、第三者素材の許諾確認、適切なライセンスを持つ素材の利用を基本方針としています。

確認項目7:商標・ロゴ・人物写真など第三者の権利を確認したか

著作権とは別に、他社ブランド、ロゴ、人物などを広告へ使う場合は追加の確認が必要です。

特許庁によると、商標権者は指定商品・役務について登録商標を使用する権利を専有し、一定の類似範囲で第三者の使用を排除できます。一方、商標権の効力が及ばない場合も法定されているため、第三者の商標を広告へ表示しただけで一律に侵害となるわけではありません。実際の利用方法に応じた確認が必要です。もの

  • 競合企業の社名
  • 他社サービス名
  • ロゴ
  • 商品パッケージ
  • 有名人・モデルの写真
  • 顧客企業のロゴ
  • 導入企業としての掲載

「比較のために使う」「取引実績として掲載する」といった目的があっても、掲載方法や契約内容によって確認事項は変わります。

第三者の社名・ロゴ・人物を広告の訴求材料として使用する場合は、法務・広報・契約担当者へ確認する工程を設けておくと安全です。

確認項目8:生成AIで作った広告素材に権利・表現上の問題がないか

生成AIは、広告コピー、画像、動画の制作スピードを大きく高められます。

一方、制作スピードが上がるほど、「作れたものをそのまま公開しない」運用が重要になります。

インティメート・マージャーの過去セミナーでは、生成AIクリエイティブのリスクとして、他人の作品との酷似、権利者からのクレーム、ユーザーが抱く違和感などが取り上げられていました。

文化庁も、生成AIと著作権について、個別具体的なケースの判断が必要であることを前提に、「AIと著作権に関する考え方」やチェックリスト・ガイダンスを公表しています。この考え方自体が特定のAI利用について確定的な法的評価をするものではない点にも注意が必要です。リエイティブで確認すること

  • 特定の既存作品に酷似していないか
  • 実在人物に似すぎていないか
  • 既存ブランドのロゴ・キャラクターが混入していないか
  • 商品そのものを誤って描写していないか
  • 事実ではない実績・評価を生成していないか
  • 利用するAIサービスの商用利用条件を確認しているか
  • 入力した素材に必要な利用権限があるか
  • 最終成果物を人間が確認しているか

生成AIを利用したこと自体を理由に一律に違法・適法と判断するのではなく、実際に生成された成果物と利用方法を確認します。

確認項目9:商品・業界固有の広告規制を確認したか

一般的な広告チェックだけでは足りない商品・業界があります。

領域 追加で確認する代表的な規制 主な確認例
医薬品・医薬部外品・化粧品等 医薬品医療機器等法など 効能・効果・性能の表現
医療機関 医療法・医療広告ガイドライン 広告可能事項、治療・実績等の表示
金融 金融分野の法令・自主規制 利益、リスク、手数料等
不動産 不動産関連法令・表示規約 物件、価格、取引条件等
懸賞・プレゼント 景品表示法の景品規制 景品額、提供方法、条件

たとえば厚生労働省は、医薬品、医薬部外品、化粧品、医療機器などについて、名称、製造方法、効能、効果または性能に関する虚偽・誇大な広告を、明示的・暗示的を問わず規制しています。また、医師等が効能・効果・性能を保証したと誤解されるおそれのある表現も規制対象として整理しています。告については医療法上の広告規制も別途存在し、厚生労働省は2026年3月にWebサイト等の広告事例解説書を第6版へ更新しています。系だから全部薬機法」「医療だから同じルール」と一括りにせず、商品区分や広告主体に応じて適用されるルールを確認してください。

確認項目10:広告だけでなくLPまで同じ条件で確認したか

広告コピーだけを法務へ送り、LPを別工程にすると、同じリスク表現がLP側に残る場合があります。

広告とLPで確認したいこと

  • 商品・サービス名が一致している
  • 価格・キャンペーン条件が一致している
  • 広告の効果表現とLPの説明が一致している
  • 根拠・注記を確認できる
  • 広告主体がわかる
  • 重要な取引条件を確認できる
  • 第三者素材の利用条件を確認している
  • 業界固有の必要表示を確認している

広告プラットフォーム側でも広告の遷移先は独立した審査対象になります。Googleでは2026年7月から遷移先URLに関する一部ポリシーが更新されるなど、媒体ルールも継続的に変更されています。法務チェックとは別に、公開直前に利用媒体の最新ポリシーを確認することが必要です。チェックを制作フローへ組み込む

法務チェックで差し戻しが多い場合、「法務が厳しい」ことだけが原因とは限りません。

制作が完成してから初めて法務へ見せるフローそのものに改善余地がある場合があります。

工程 確認すること 成果物
企画 商材・業界・ターゲット・リスク 企画概要
訴求設計 効果、実績、価格、比較を使うか 訴求軸一覧
根拠確認 訴求を裏付ける情報があるか 根拠資料
制作 承認範囲内でコピー・画像を作る 広告案
一次チェック 担当者が共通項目を確認 チェックリスト
法務確認 高リスク表現・権利を確認 修正・承認記録
最終確認 修正版とLPの一致を確認 最終版
媒体審査 媒体ポリシーを確認 審査結果
記録 根拠・差し戻し理由を保存 判断ナレッジ

インティメート・マージャーの広告運用関連資料でも、AIによるクリエイティブ支援を使う場合、先に訴求軸を決め、ブランド・営業・法務など必要な視点で承認を通し、その後の検証結果を次回の判断基準へ戻すフローが整理されています。

法務へ相談する前に「表現と根拠のセット」を作る

法務チェックを効率化するうえでおすすめなのが、コピーだけを送らないことです。

項目 記載例
使用したい表現 広告上で実際に使うコピー
意味 顧客へ何を伝えたいのか
根拠 調査・実績・契約・仕様等
対象 誰についての結果か
条件 期間・環境・対象範囲
掲載場所 広告、LP、動画等
確認したい点 法務へ判断してほしい論点

これだけでも、「使えますか?」という抽象的な問い合わせより、確認する論点を絞りやすくなります。

法務チェックをリスク別に分ける

すべての広告について同じ重さの法務確認を行うと、公開速度が落ちやすくなります。

そこで、自社内でリスク分類を作る方法があります。

リスク例 広告内容 確認方法の例
承認済み商品説明のサイズ・形式変更 担当者による標準確認
新規コピー、価格、顧客事例 一次チェック+必要に応じ法務
効果、No.1、比較、第三者権利 法務確認
専門確認 医療・医薬品等の規制領域 専門家を含め確認

これは法令上の公式な分類ではなく、自社で確認フローを設計するための一例です。

AIで広告の法務チェックを支援できること・できないこと

広告制作量が増えると、人間が一件ずつゼロから確認することには限界があります。

AIは一次チェックの支援に利用できます。

AIで支援しやすいこと 人間が確認すること
効果・最上級表現の抽出 法的に問題となるか
数値表現の抽出 根拠が十分か
社内ルールとの照合 例外を認めるか
過去差し戻しの検索 今回も同じ判断か
広告とLPの差分抽出 重要な不整合か
第三者名・商標候補の抽出 利用可能か
修正案の生成 正確性・ブランド・法務上採用できるか

AIによる法務チェックは、「問題なし」という最終判定を自動で得るためのものではなく、人間が確認すべき場所を絞り込むための支援として利用するほうが現実的です。

プロジェクト内の広告AI運用資料でも、自動化が進むほど、人間側には訴求軸、ブランド整合、商品表現、承認ルール、差し戻し基準を設計する役割が残ると整理されています。

差し戻し内容を次回の広告制作へ戻す

同じ法務指摘が毎月繰り返されている場合、個別クリエイティブではなく運用フローを改善する段階です。

残しておきたい情報

  • 元の表現
  • 指摘された論点
  • 確認した法令・ルール
  • 使用した根拠資料
  • 修正後の表現
  • 承認者
  • 承認日
  • 再利用できる条件

インティメート・マージャーの運用資料でも、問題が発生してから証跡を集めるのではなく、社内承認や外部パートナーへの指示、変更履歴などを平時から残し、法務相談が必要になる条件をあらかじめ決めておく考え方が整理されています。

差し戻しを単なる修正作業で終わらせず、「次回から現場判断できるもの」と「今後も法務へ確認するもの」を分けていくことが重要です。

広告公開前の法務チェックリスト

商品・サービス

  • 広告する商品・サービスの内容を正確に把握している
  • 誰向けの広告か確認している
  • 業界固有の広告規制がないか確認している
  • 配信地域による規制差を確認している

効果・性能

  • 実際以上に優良であるような印象を作っていない
  • 効果・性能を裏付ける資料がある
  • 広告の主張と根拠資料の内容が対応している
  • 特殊な条件での成果を一般化していない
  • 顧客事例を一般的な成果のように見せていない

実績・比較

  • No.1等の調査条件を確認している
  • 実績数値の集計条件を確認している
  • 比較対象と比較条件が明確である
  • 古い実績を現在も有効なものとして表示していない
  • 必要な注記が確認しやすい

価格・条件

  • 表示価格が最新である
  • 割引前価格の根拠を確認している
  • キャンペーン期間が正しい
  • 無料となる範囲を説明できる
  • 追加料金・契約条件を確認している
  • 広告とLPの条件が一致している

口コミ・PR

  • 広告主が内容決定へ関与しているか確認している
  • 報酬・商品提供等の関係を確認している
  • 広告であることを一般消費者が認識できるか確認している
  • 口コミ内容を広告主側で改変していないか確認している

著作権・第三者権利

  • 写真・動画・音楽・文章の権利元を把握している
  • 広告・商用利用が認められている
  • 改変や二次利用の条件を確認している
  • 他社ロゴ・商標の使用方法を確認している
  • 人物写真等の利用条件を確認している
  • 顧客ロゴ・事例の掲載許諾を確認している

生成AI

  • 生成物を人間が確認している
  • 既存作品との不自然な類似がないか確認している
  • 実在人物・ブランドが意図せず生成されていないか確認している
  • 商品を事実と異なる形で生成していない
  • AIサービスの利用条件を確認している
  • 入力素材の利用権限を確認している

LP

  • 広告とLPの主張が一致している
  • 価格・キャンペーン条件が一致している
  • 根拠・重要条件を確認できる
  • 広告主体が確認できる
  • 業界固有の必要表示を確認している

承認・記録

  • 法務確認が必要になる条件を決めている
  • 最終承認者が決まっている
  • 根拠資料を保存している
  • 修正履歴を保存している
  • 過去の差し戻しを検索できる
  • 公開した最終版を保存している

まとめ:広告の法務チェックは「禁止表現を探す作業」ではない

広告の法務チェックというと、「使ってはいけない言葉を探す工程」だと思われがちです。

しかし実際には、それだけでは不十分です。

効果を訴求するのであれば、その根拠は何か。

価格を強調するのであれば、適用条件は何か。

口コミを使うのであれば、誰が内容決定に関与したのか。

画像を使うのであれば、誰が権利を持っているのか。

生成AIで作ったのであれば、最終成果物に第三者の権利や誤った商品表現が含まれていないか。

こうした「表現・根拠・権利・条件」の関係を一つずつ整理することが、広告法務の基本です。

そして、公開直前に初めて確認するのではなく、効果、No.1、比較、価格、第三者権利などリスクが高い訴求は、企画段階から法務担当者を巻き込むほうが大幅な作り直しを防ぎやすくなります。

AIによって広告コピーや画像を作るスピードはさらに上がっています。

だからこそ、確認を省略するのではなく、一次チェックはAIやテンプレートで効率化し、判断が必要な部分へ人間の時間を集中させる設計が重要になります。

IMデジタルマーケティングニュースのセミナー情報ページでも、2026年7月時点で、AIを使っても広告公開が遅れる背景を「法務チェックのボトルネックと体制づくり」から扱うアーカイブが案内されています。

広告の法務チェックを速くする方法は、確認を減らすことではありません。何を現場で確認でき、何を専門家へ相談し、どの根拠を残すかを先に決めることです。

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広告の法務チェックに関するよくある質問

広告の法務チェックとは何ですか?

広告コピー、画像、動画、LPなどについて、関係する法令や第三者の権利、業界ルールなどを確認する工程です。媒体独自の広告審査とは目的が異なります。

広告の法務チェックでは何を確認すればよいですか?

商品・サービスの実態、効果・性能の根拠、価格・割引条件、比較・実績表現、口コミ・PR、著作権や商標等の第三者権利、業界固有の規制、LPとの整合などを確認します。

景品表示法で広告担当者が注意すべきことは何ですか?

商品・サービスを実際以上に優れているように見せたり、価格・取引条件を実際以上に有利に見せたりしないことが基本です。効果・性能表示では、表示内容に対応する合理的な根拠も確認します。

広告で他社の画像やSNS投稿を使ってもよいですか?

インターネット上で公開されているという理由だけで自由に広告利用できるとは限りません。著作権などの権利や利用条件、必要な許諾を確認してください。

生成AIで作った広告画像なら著作権の確認は不要ですか?

不要にはなりません。既存作品との類似、第三者の権利、入力素材の利用権限、利用するAIサービスの条件などを確認する必要があります。個別ケースでは専門家への確認も検討してください。

広告媒体の審査に通れば法務チェックは不要ですか?

不要にはなりません。媒体審査は媒体独自の広告ポリシーへの適合確認であり、個別広告の適法性を保証するものではありません。広告主側でも必要な法務確認を行います。

広告の法務チェックはいつ行うべきですか?

最終公開前だけでなく、効果、No.1、比較、価格、第三者素材などリスクの高い訴求を使う場合は企画・構成段階で確認する方法が効率的です。

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