生成AIの普及により、企業の情報収集や比較検討のあり方は大きく変わり始めています。従来は検索エンジンで複数の記事や比較サイトを見比べ、候補を絞り込む流れが一般的でした。しかし現在は、対話型AIやAI検索を使って候補を整理し、比較軸を確認し、評判や導入事例を確認してから問い合わせに進むケースが増えています。
その結果、企業に求められるSEO対策も変化しています。単に検索順位を上げるだけではなく、AIに正しく理解され、信頼できる情報源として参照され、比較検討の候補に入るための情報設計が重要になっています。
2026年7月2日に開催されたセミナー「生成AI時代に“選ばれる企業”の共通点とは LLMO/AEO実践チェックリスト2026」では、インティメート・マージャー代表取締役社長の簗島と登壇者によるディスカッションを通じて、AI検索・LLMO/AEOの現在地、AIに選ばれる企業やコンテンツの特徴、企業が今取り組むべき実践ポイントが整理されました。
この記事では、セミナー内容をもとに、BtoB企業のマーケティング担当者、SEO担当者、コンテンツ担当者、営業企画担当者が確認すべきLLMO/AEO対策の考え方と実践チェックリストを解説します。
要点サマリー
- AI検索の普及により、PVだけではコンテンツの影響力を測りにくくなっています。
- AI検索時代は、検索流入だけでなく、AI回答内での引用・推薦・比較候補化が重要になります。
- AIに選ばれやすい情報には、一次情報、第三者評価、鮮度、文脈、構造化された説明が必要です。
- SEOとLLMO/AEOは対立するものではなく、正しい情報をWeb上に整備するという点で連動します。
- 企業はまず、自社情報がAIに読まれやすい状態になっているかを確認する必要があります。
AI検索・LLMO/AEOの現在地
AI検索や対話型AIの利用が広がることで、ユーザーがWebサイトに訪問する前の行動が変化しています。これまでユーザーは、検索結果から複数の記事や比較ページを開き、情報を読みながら候補を絞り込んでいました。しかし現在は、AIに質問し、候補、比較軸、評判、導入事例、注意点まで整理してから、必要なページだけを確認する動きが増えています。
この変化により、メディアや比較コンテンツではPVが減少するケースが見られます。一方で、必ずしもユーザー数や問い合わせ数が同じ割合で減っているとは限りません。セミナー内でも、PVは減っている一方で、資料ダウンロードや問い合わせなどの行動は維持・増加しているケースについて議論されました。
これは、ユーザーがいなくなったのではなく、情報収集の「寄り道」がAIによって圧縮されていると考えると理解しやすくなります。つまり、AI検索時代に見るべきなのはPVだけではありません。自社がAI上でどのように言及されているか、比較候補に入っているか、問い合わせや資料請求につながっているかまで含めて確認する必要があります。
LLMO/AEOとは何か
LLMOとは、Large Language Model Optimizationの略で、大規模言語モデルに自社やサービス、コンテンツを正しく理解・参照してもらうための情報設計を指します。AEOとは、Answer Engine Optimizationの略で、AI検索や回答エンジンにおいて、ユーザーの質問に対する回答として選ばれやすくするための考え方です。
どちらも従来のSEOを置き換えるものではありません。SEOで整えてきた検索意図への対応、専門性、信頼性、内部リンク、構造化された情報は、AI検索時代にも重要です。ただし、AI検索では「ページに訪問してもらう」だけでなく、「AIの回答内で参照される」「比較候補として推薦される」「正しい文脈で説明される」ことが新たな評価軸になります。
| 項目 | 主な目的 | 重視されるポイント |
|---|---|---|
| SEO | 検索結果で上位表示され、流入を獲得する | 検索意図、見出し構成、専門性、内部リンク、ページ品質 |
| AEO | AI検索や回答エンジンで回答として扱われる | 質問への明確な回答、FAQ、定義、比較表、簡潔な説明 |
| LLMO | 大規模言語モデルに正しく理解・参照される | 一次情報、第三者評価、文脈、網羅性、信頼できる出典 |
| ブランドSEO | 企業名・サービス名・カテゴリ名で想起される | 指名検索、評判、導入事例、比較候補化、ブランド文脈 |
AIに選ばれる企業の共通点
セミナーでは、AIに選ばれやすい企業やコンテンツの特徴として、一次情報、第三者評価、情報の鮮度、文脈の明確さが重要だと整理されました。AIは単に文字量が多いページを参照するわけではありません。ユーザーの質問に対して、根拠があり、文脈が分かりやすく、信頼できる情報を参照しやすくなります。
一次情報がWeb上に整備されている
まず重要なのは、自社が発信すべき情報をWeb上にきちんと出していることです。AIに選ばれる以前に、AIが参照できる情報が存在しなければ、自社は候補に入りにくくなります。
たとえば、サービスの特徴、導入事例、料金や利用条件、よくある質問、競合との違い、対応できる課題、顧客の声などが十分に整備されていない場合、AIは別の情報源や競合情報をもとに回答を生成する可能性があります。
特にBtoB領域では、検討期間が長く、複数の関係者が意思決定に関与します。そのため、単なるサービス紹介だけでなく、導入前の不安、比較検討時の論点、導入後の活用イメージまで説明するコンテンツが重要です。
第三者評価やレビューが存在する
AIにとって、企業が自社について説明している情報だけでなく、第三者による評価も重要な判断材料になります。セミナー内でも、第三者の声やレビュー、事例、評価情報がAIに参照されやすい情報として議論されました。
これは人間の購買行動とも近い考え方です。企業が「自社サービスは優れている」と説明するだけではなく、実際に利用した企業の声、導入背景、活用成果、改善してほしい点などがあることで、情報の信頼性が高まります。
ただし、単に口コミやレビューの数を増やせばよいわけではありません。誰が、どのような文脈で、なぜ評価しているのかが分かる情報であることが重要です。AI検索時代には、量だけでなく、質、鮮度、文脈が問われます。
情報が新しく、継続的に更新されている
生成AIやAI検索の領域は変化が速いため、古い情報のまま放置されたコンテンツは参照されにくくなる可能性があります。特に、ツールの仕様、検索結果の表示形式、AI回答の傾向、広告やSEOの実務ポイントは、数カ月単位で変化することもあります。
そのため、LLMO/AEO対策では「記事を作って終わり」ではなく、定期的な更新が必要です。公開日、更新日、最新情報の追記、FAQの見直し、古い表現の修正を行い、AIにも人間にも現在の情報として理解されやすい状態を保つことが大切です。
AIが読み取りやすい構造になっている
AI検索時代のコンテンツでは、文章の構造も重要です。長文で情報を詰め込むだけでは、AIがどこをどの文脈で参照すべきか判断しにくくなります。
たとえば、定義、比較、手順、チェックリスト、FAQ、表、箇条書きなどを使い、情報のまとまりを明確にすることが有効です。セミナー内でも、質問と回答のまとまりを作る構造や、AIが引用しやすい情報単位を意識したコンテンツ設計が紹介されました。
これは読者にとっても有効です。AIに読み取られやすい情報は、多くの場合、人間にとっても理解しやすい情報です。LLMO/AEO対策は、AIだけを意識する施策ではなく、読者にとって分かりやすい情報整理でもあります。
PV減少をどう捉えるべきか
AI検索時代に入ると、コンテンツ担当者やメディア運営者はPV減少に不安を感じやすくなります。AIが検索結果や記事の内容を要約することで、ユーザーがサイトに訪問しなくなるのではないかという懸念です。
実際、情報収集型のコンテンツでは、PVが減る可能性があります。しかし、PV減少だけを見て「コンテンツの価値が下がった」と判断するのは早計です。重要なのは、ユーザー数、資料ダウンロード数、問い合わせ数、商談化率、指名検索、AI上での言及などを合わせて見ることです。
AIによって情報収集の工程が圧縮されると、サイトに来るユーザーは減る一方で、より検討度の高い状態で訪問する可能性があります。つまり、これからのコンテンツ評価では、単純なPVよりも「意思決定にどれだけ関与したか」を見る必要があります。
| 従来重視されやすかった指標 | AI検索時代に追加で見るべき指標 |
|---|---|
| PV | AI上での言及数、引用数、比較候補化 |
| 自然検索流入 | 指名検索、ブランド名検索、カテゴリ名検索 |
| 平均順位 | AI回答内での表示文脈、推薦理由 |
| 記事クリック数 | 資料DL、問い合わせ、ウェビナー申込、商談化率 |
| 直帰率 | 検討度の高い流入かどうか、CVに近い行動があるか |
LLMO/AEO実践チェックリスト2026
ここからは、BtoB企業が自社のLLMO/AEO対策状況を確認するためのチェックリストを整理します。すべてを一度に完璧に行う必要はありません。まずは自社の現状を把握し、優先度の高い項目から着手することが重要です。
チェック1:AI検索で自社がどう表示されるか確認している
- 自社名、サービス名、カテゴリ名でAIに質問したときの回答を確認している
- 競合と比較したときに、自社が候補に入るか確認している
- AIの回答内で、自社の説明が正しいか確認している
- 古い情報や誤った情報が表示されていないか確認している
- 複数のAIサービスで回答傾向の違いを確認している
まず行うべきことは、AI上での自社の見え方を確認することです。検索順位だけではなく、AIが自社をどう説明しているか、どの競合と並べているか、どの情報源をもとに回答しているかを見る必要があります。
チェック2:自社の一次情報がWeb上に整備されている
- サービスの特徴や対象顧客が明確に説明されている
- 導入事例や活用事例が公開されている
- よくある質問と回答が整備されている
- 料金、導入条件、利用シーンなどの検討材料が整理されている
- 競合比較で問われやすい論点に回答している
AIに正しく理解されるためには、自社発信の一次情報が必要です。情報が不足していると、AIは他社サイトや第三者サイトの情報をもとに回答する可能性があります。まずは自社が出すべき情報を不足なく整えることが出発点です。
チェック3:第三者評価や顧客の声を活用している
- 顧客の声やレビューを収集している
- 導入企業の課題、選定理由、活用成果を具体的に掲載している
- 第三者メディアや外部評価での言及を把握している
- 記事広告や外部寄稿など、自社以外の文脈で情報発信している
- 評判や評価情報を定期的に更新している
第三者評価は、AIにも人間にも重要な信頼材料になります。特にBtoB商材では、導入企業がなぜ選んだのか、どのように活用しているのか、どのような課題を解決したのかが意思決定の根拠になります。
チェック4:AIが読み取りやすい構造になっている
- 記事内で定義、比較、手順、FAQが整理されている
- 見出しだけで内容の流れが分かる
- 表や箇条書きを使って比較情報を整理している
- 1つの質問に対して、明確な回答が書かれている
- サービス名、カテゴリ名、課題名の表記が統一されている
AIに引用されやすいコンテンツは、情報のまとまりが明確です。長文記事であっても、定義、背景、比較、実践手順、FAQを整理することで、AIが回答に使いやすくなります。
チェック5:コンテンツの量産ではなく、質と独自性を重視している
- AIで作った一般論だけの記事を量産していない
- 自社の知見、顧客事例、調査、セミナー内容を反映している
- 既存記事の焼き直しではなく、独自の論点を入れている
- 検索上位記事の要約だけで終わっていない
- 読者が意思決定に使える具体情報を提供している
AI検索時代には、一般論のコンテンツは差別化しにくくなります。AIが要約できる情報だけを並べても、企業として選ばれる理由にはなりません。重要なのは、自社だから出せる一次情報や実務知見をコンテンツに反映することです。
チェック6:SEOとLLMO/AEOを分断せずに運用している
- SEO記事の見直し時にAI検索での見え方も確認している
- 検索順位だけでなく、AI回答内での文脈も確認している
- 記事、サービスページ、導入事例、FAQを内部リンクで接続している
- ブランド名やカテゴリ名での指名検索も確認している
- LLMO/AEOを単発施策ではなく、継続改善として扱っている
LLMO/AEOはSEOと別物として孤立させるべきではありません。むしろ、SEOで整備してきた情報構造をAI検索時代に合わせて拡張する考え方が重要です。
今すぐ取り組むべきことと、後回しでもよいこと
LLMO/AEO対策は新しいテーマであるため、すべてを一度にやろうとすると混乱しやすくなります。まずは、事業成果に近い部分から優先順位をつけて取り組むことが大切です。
今すぐ取り組むべきこと
- AI検索で自社名・サービス名・カテゴリ名を確認する
- AIの回答に誤りや古い情報がないか確認する
- サービスページ、導入事例、FAQを見直す
- 顧客の声や第三者評価を整理する
- 既存のSEO記事に一次情報や比較表、FAQを追加する
- PVだけでなく、資料DLや問い合わせへの影響を見る
後回しでもよいこと
- すべてのAIサービスごとに個別最適化しようとすること
- 根拠のない専用テクニックだけを追いかけること
- 一般論の記事を大量に増やすこと
- 構造化データだけでAIに選ばれようとすること
- PV減少だけを見てコンテンツ施策を止めること
AI検索の仕様や参照傾向は今後も変わります。そのため、特定のテクニックに依存しすぎるよりも、AIにも人間にも信頼される情報資産を整える方が中長期的に有効です。
BtoB企業が意識すべき「BtoA」という考え方
セミナー内では、BtoBやBtoCに加えて、BtoAという考え方も紹介されました。ここでいうBtoAとは、Business to AI、つまりAIに対して企業情報をどう届け、どう理解してもらうかという視点です。
これまで企業は、人間の読者や購買担当者に向けて情報を発信してきました。しかしAI検索時代には、AIが情報を収集し、要約し、比較し、候補を提示する役割を担います。つまり、企業は人間だけでなく、AIにも読み取られやすい形で情報を整える必要があります。
ただし、これはAIだけを意識した不自然なコンテンツを作るという意味ではありません。むしろ、AIが理解しやすい情報とは、人間にとっても分かりやすい情報です。誰に向けたサービスなのか、どの課題を解決するのか、他の選択肢と何が違うのか、どのような根拠があるのかを明確にすることが、BtoA時代の情報設計につながります。
LLMO/AEO対策の実践ステップ
ステップ1:AI上での現状把握
まず、自社名、サービス名、カテゴリ名、主要課題名でAIに質問し、どのように回答されるかを確認します。自社が候補に出てくるか、説明は正確か、競合とどのように比較されているか、どの情報源が参照されているかを把握しましょう。
ステップ2:不足している情報を洗い出す
AIの回答を確認すると、自社情報の不足や誤解されやすい点が見えてきます。たとえば、導入事例が少ない、FAQが不足している、比較軸が整理されていない、第三者評価が少ないといった課題です。
ステップ3:一次情報を追加する
不足している情報が見えたら、一次情報を追加します。セミナー内容、顧客インタビュー、導入事例、調査データ、営業現場のFAQ、サポート問い合わせ内容など、自社だから出せる情報を記事やサービスページに反映します。
ステップ4:AIが引用しやすい構造に整える
追加した情報は、見出し、表、FAQ、箇条書き、比較軸などを使って整理します。特に、ユーザーがAIに質問しそうな問いに対して、明確に回答する形にしておくことが重要です。
ステップ5:定期的に回答変化を確認する
AI検索の回答は固定ではありません。モデルの更新、Web上の情報追加、競合の発信強化によって変化します。そのため、月次や四半期ごとに主要クエリでの回答を確認し、必要に応じてコンテンツを更新しましょう。
まとめ:AI検索時代は「選ばれるための情報資産」が問われる
AI検索時代において、SEOは終わるわけではありません。ただし、検索順位を上げて流入を獲得するだけでは不十分になっています。これからは、AIに正しく理解され、信頼できる情報源として参照され、比較候補として推薦されるための情報設計が求められます。
そのために必要なのは、特別な裏技ではありません。自社の一次情報を整えること、第三者評価や顧客の声を活用すること、情報を新しく保つこと、AIにも人間にも読み取りやすい構造にすることです。
PVが減っても、顧客が減ったとは限りません。情報収集の導線が変わっただけの可能性もあります。だからこそ、企業は従来のSEO指標に加えて、AI上での言及、引用、比較候補化、指名検索、資料DL、問い合わせ、商談化率まで見ながら、自社の情報資産を見直す必要があります。
LLMO/AEO対策は、AI検索だけのための施策ではありません。顧客にとって分かりやすく、社内で説明しやすく、AIにも参照されやすい情報を整える取り組みです。まずは、自社がAIにどう見えているかを確認するところから始めてみてください。
AI検索・LLMO/AEO対策を検討している方へ
インティメート・マージャーでは、AI検索時代における企業情報の見え方、LLMO/AEO対策、AIに参照されやすいコンテンツ設計、外部データを活用した顧客理解・情報発信の支援を行っています。
自社がAI検索でどのように表示されているか分からない、何から対策すべきか整理したい、既存のSEO記事やサービスページをAI検索時代に合わせて見直したい方は、ぜひ一度ご相談ください。
FAQ
LLMOとAEOの違いは何ですか?
LLMOは、大規模言語モデルに自社情報やコンテンツを正しく理解・参照してもらうための最適化です。AEOは、AI検索や回答エンジンでユーザーの質問に対する回答として選ばれやすくする考え方です。どちらもSEOと連動しており、検索順位だけでなくAI回答内での引用や推薦を意識します。
AI検索時代にSEOは不要になりますか?
SEOは不要になりません。ただし、検索順位や自然検索流入だけを見るのではなく、AI回答内での言及、引用、比較候補化、指名検索、問い合わせなどを含めて評価する必要があります。SEOはLLMO/AEOと統合して考えるべき施策になります。
AIに選ばれるために最初にやるべきことは何ですか?
まず、自社名、サービス名、カテゴリ名、主要な課題名でAIに質問し、どのように回答されるかを確認しましょう。そのうえで、情報の誤り、不足している導入事例、FAQ、比較軸、第三者評価を洗い出すことが重要です。
レビューや第三者評価はLLMO/AEOに有効ですか?
有効です。AIは企業の自己発信だけでなく、第三者の声やレビュー、導入事例、外部評価なども参照する可能性があります。特にBtoB領域では、顧客の声や導入背景、活用成果が信頼性の高い情報として機能します。
AI向けに記事を量産すれば効果は出ますか?
一般論の記事を量産するだけでは効果は期待しにくくなっています。AI検索時代には、一次情報、具体的な事例、顧客の声、独自調査、専門的な解説など、自社ならではの情報が重要です。量よりも、正確性、信頼性、文脈、更新性を重視しましょう。

「IMデジタルマーケティングニュース」編集者として、最新のトレンドやテクニックを分かりやすく解説しています。業界の変化に対応し、読者の成功をサポートする記事をお届けしています。


