「データはあるはずなのに、なぜ施策に使えないのか」。
CRMには顧客情報がある。
MAにはメールや資料ダウンロードの履歴がある。
Web解析には流入や閲覧データがある。
営業担当者は商談で顧客の本音を聞いている。
カスタマーサクセスには導入後の問い合わせや利用状況が蓄積されています。
それでも会議では、
「どの顧客を優先するべきか」
「なぜこの施策が成果につながったのか」
「次に何を変えるべきなのか」
がなかなか決まりません。
さらにAI活用を求められるようになると、「そもそもAIに渡すデータはどれなのか」「営業とマーケティングで顧客の定義が違う」と、新しい問題が表面化することもあります。
こうした企業では、データそのものが不足しているとは限りません。
データはある。しかし、部署・担当者・ツールの間で意味と使い方が分断されている。
これが、社内のデータ活用が進まない大きな理由の一つです。
インティメート・マージャーが関わった2025年のセミナーでも、マーケティング側には「獲得したリードが営業にフォローされない」「施策成果が売上につながったかわからない」という悩みがあり、営業側には「マーケティングから来るリードの質が低い」「独自の顧客開拓に頼らざるを得ない」という悩みが整理されていました。
一見すると「営業とマーケティングの仲が悪い」という問題にも見えます。
しかし、根本にあるのは、見ているデータ、言葉の定義、KPI、判断タイミングがそろっていないことです。
この記事では、データ活用が進まない企業に共通しやすい状態と、部門分断・属人化を改善する具体的な手順を解説します。
要点サマリー
- データ活用が進まない原因は、データ不足より「目的・定義・責任・成果情報」の分断にある場合があります。
- データを一か所へ集めるだけではなく、「何の判断に使うデータか」をそろえることが重要です。
- 属人化の改善には、分析方法だけでなく、判断基準・更新ルール・例外処理まで残します。
- 営業・マーケティング・CSの成果情報を双方向で戻すことで、データが「記録」から「改善材料」へ変わります。
- AI活用を広げるほど、データの定義・責任範囲・承認ルールの共通化が重要になります。
- 社内のデータ活用が進まないとは、どのような状態か
- 共通点1:ツールから始めて、目的が後回しになっている
- 共通点2:データはあるが「誰の何のデータか」がわからない
- 共通点3:「顧客」「リード」「成果」の定義が部門ごとに違う
- 共通点4:部門ごとにKPIが最適化されている
- 共通点5:営業の結果がマーケティングへ戻らない
- データは「上流から下流」だけでなく「下流から上流」へ戻す
- 共通点6:「あの人に聞かないとわからない」が多い
- 共通点7:ダッシュボードが「報告資料」になっている
- 共通点8:AIを入れてからデータ整備を考えている
- データ活用が進まない企業と進みやすい企業の違い
- 改善策1:全社データ統合より「一つの問い」から始める
- 改善策2:データ棚卸しを「システム名」ではなく「判断」で行う
- 改善策3:共通データ辞書を作る
- 改善策4:部門ごとのKPIを一つ上の事業KPIでつなぐ
- 改善策5:営業・CSの「定性情報」を戻す
- 改善策6:属人化を「操作」ではなく「判断」からなくす
- 改善策7:会議を「レポート確認」から「意思決定」に変える
- 改善策8:AIは標準化した後に横展開する
- 2026年、AI導入が進むほど「組織設計」が重要になる
- 2026年改訂のDX推進指標から見ても「共通認識」が重要
- データガバナンスは「禁止ルール」ではなく、活用するための土台
- 社内データ活用を改善する8ステップ
- 最初の90日で全部統合しようとしない
- 社内のデータ活用チェックリスト
- まとめ:データ活用の壁は「データ」より「接続」にある
- 社内データ活用に関するよくある質問
社内のデータ活用が進まないとは、どのような状態か
データ活用が進んでいない状態は、「分析ツールを導入していない状態」とは限りません。
むしろ実務では、ツールもデータもあるにもかかわらず、次の行動が変わっていない状態が問題になります。
| 状態 | 表面的には | 実際の問題 |
|---|---|---|
| CRMがある | 顧客情報を蓄積している | 営業以外が参照しない |
| MAがある | 行動データを取得している | 営業アクションとつながらない |
| ダッシュボードがある | KPIを可視化している | 数字を見ても判断ルールがない |
| AIを導入した | 分析が速くなった | 担当者ごとに入力データ・使い方が違う |
| 会議でデータを見る | データドリブンに見える | 毎回数字の定義確認から始まる |
データを持っていることと、データによって組織の意思決定が変わることは別です。
共通点1:ツールから始めて、目的が後回しになっている
データ活用プロジェクトで起こりやすいのが、
「CRMを入れよう」
「BIを導入しよう」
「生成AIを使おう」
から始めることです。
しかし、本来最初に決めるべきなのは、
「どの業務判断を改善したいのか」
です。
たとえば、
- 営業対象企業の優先順位を改善する
- 失注理由をコンテンツ企画へ反映する
- 広告から受注まで追えるようにする
- 既存顧客の解約兆候を共有する
と目的が違えば、必要なデータも変わります。
2025年のセミナーでも、AI活用では明確な目的を持ち、独自データを利用しながら人とAIの役割分担を考える重要性が整理されています。
共通点2:データはあるが「誰の何のデータか」がわからない
データサイロとは、部署やシステムごとにデータが分断され、他部門から十分に参照・利用できない状態を指します。
BtoB企業では、たとえば次のように分かれます。
| 部門 | 持っているデータ |
|---|---|
| マーケティング | 広告、Web閲覧、資料DL、ウェビナー |
| インサイドセールス | 架電、返信、アポイント |
| 営業 | 商談、提案、案件、失注理由 |
| CS | 問い合わせ、利用状況、解約理由 |
| 経営企画 | 売上、利益、LTV、予算 |
それぞれを見るだけなら価値があります。
しかし顧客の流れは部門で分かれていません。
一人の顧客がWebを見て、資料を読み、営業と話し、導入し、その後サービスを利用しています。
社内だけが部門ごとに分かれています。
2026年のセミナー資料でも、AI活用を前提としたCRM整備として、まずデータのサイロを解消し、構造化データとメール・通話などの非構造化情報を結び付ける考え方が示されています。
共通点3:「顧客」「リード」「成果」の定義が部門ごとに違う
データそのもの以上に問題になるのが、言葉の意味の違いです。
たとえば「良いリード」について、
マーケティングは「資料をダウンロードしている企業」と考え、営業は「今期中に予算がある企業」と考えているかもしれません。
この状態では、同じデータを見ても結論は一致しません。
最初にそろえたい定義
- ターゲット企業とは何か
- 有効リードとは何か
- 商談とは何か
- 有効商談とは何か
- 案件化とは何か
- 失注とは何か
- 休眠とは何か
インティメート・マージャーが関わった2025年セミナーで、「リードの質」に対する営業・マーケティングの認識差が相互不信につながる問題として整理されていたのも、この定義のずれと深く関係します。
共通点4:部門ごとにKPIが最適化されている
マーケティングはリード数。
インサイドセールスはアポイント数。
営業は受注額。
CSは継続率。
個別のKPIは必要です。
問題は、各部門が自部門の数字だけを改善しようとした結果、全体として顧客体験や収益が改善しないことです。
2025年のセミナーでは、営業・マーケティングが「質の高いリードから受注までの最適化」という共通ゴールを持ち、ターゲットリスト共有、顧客行動データの一元化、スコアリング、成果分析へつなげる流れが示されています。
個別KPIをなくす必要はありません。
個別KPIの上に、部門横断の共通KPIを置くことが重要です。
共通KPIの例
- 有効商談率
- 案件化率
- 受注率
- 商談から受注までの期間
- 受注後の継続率
共通点5:営業の結果がマーケティングへ戻らない
データ活用が止まりやすい最大のポイントの一つが、結果データの欠落です。
マーケティングから営業へは、
「この企業が資料をダウンロードしました」
という情報が渡ります。
しかし営業からマーケティングへ、
「実際にはこの課題で困っていた」
「今期は予算がなかった」
「別の機能が決め手だった」
という情報が戻らない。
するとマーケティングは、どの施策やコンテンツが本当に質の高い案件につながったのか学習できません。
2024年のセミナーでも、成果につながった顧客データを戻し、成果が出やすい条件と出づらい条件を分析してPDCAを回すところまで進めている企業はまだ多くなく、マーケティングと営業の成果情報が十分につながっていないという現場感が語られていました。
データは「上流から下流」だけでなく「下流から上流」へ戻す
2025年セミナーでは、次のフィードバックループが示されています。
営業活動・商談
↓
現場ノウハウのデータ化
↓
マーケティング施策へ反映
↓
顧客インサイト分析
↓
次の営業・マーケティング施策へ
データ活用は、ダッシュボードを見ることではありません。
結果を次の判断へ戻すところまでがデータ活用です。
共通点6:「あの人に聞かないとわからない」が多い
属人化は、特定担当者の能力が高い企業ほど見えにくい問題です。
たとえば、
- このExcelは○○さんしか更新できない
- このSQLは担当者しかわからない
- 月次レポートの作り方が文書化されていない
- 営業スコアの基準を一人だけが知っている
- AIプロンプトが個人PCだけに保存されている
- 数値に異常があったときの判断方法が残っていない
といった状態です。
属人化を改善する際は、操作手順だけをマニュアル化しても十分ではありません。
残すべきなのは「判断の理由」
- なぜこの指標を見るのか
- どの数値なら異常と判断するのか
- どの条件なら施策を止めるのか
- 例外の場合は誰に確認するのか
- どの結果を次回の施策へ戻すのか
プロジェクト内のAI MarTech関連資料でも、本格活用には、データ統合だけでなく「誰が使うか」「どこで承認するか」「何で良し悪しを判定するか」「次回へどう反映するか」まで定義する必要性が整理されています。
共通点7:ダッシュボードが「報告資料」になっている
データを可視化しただけで、データ活用が進むとは限りません。
会議で、
「PVは10%増えました」
「商談は前月より減りました」
「メール開封率は上がりました」
と確認して終わるのであれば、それは報告です。
活用するには、
「なぜ変化したか」
「この結果から何を変えるか」
「誰がいつ実行するか」
まで決める必要があります。
2026年7月時点でデジタル庁が公開しているダッシュボード設計の実践ガイドでも、データの可視化によって関係者の共通認識を作り、意思決定の質を高め、行動につなげることが目的として示されています。
共通点8:AIを入れてからデータ整備を考えている
AIは、分断されたデータや曖昧な定義を自動的に正しく統合してくれる存在ではありません。
むしろAI活用が広がるほど、入力データの問題が拡大する可能性があります。
営業部門では「顧客」、マーケティング部門では「リード」、CSでは「契約企業」が別IDになっていれば、AIから見ても同じ企業として扱いにくくなります。
2026年のセミナー資料でも、AI活用を前提としたCRM整備として、データサイロの解消、重複コンタクトの名寄せ、表記ゆれの正規化、不要データの除外といった段階が整理されています。
一方、生成AIによってデータ分析そのもののハードルは下がっています。過去にはデータ基盤、分析人材、施策担当、意思決定者など複数の専門役割が必要だった分析も、AIによって一部工程を効率化しやすくなっています。
だからこそ、2026年以降は「分析できる人を増やす」だけでなく、誰が分析しても同じ前提データと判断基準を使える状態が重要になります。
データ活用が進まない企業と進みやすい企業の違い
| 観点 | 進みにくい状態 | 進みやすい状態 |
|---|---|---|
| 目的 | ツール導入が目的 | 改善したい業務判断が明確 |
| データ | 部署・ツールごとに保有 | 目的に応じ横断参照できる |
| 定義 | 部門ごとに異なる | 共通用語を定義している |
| KPI | 各部署の部分最適 | 共通事業KPIを持つ |
| 営業結果 | 営業内で終了 | マーケ・企画へ戻す |
| 分析 | 特定担当者に依存 | 手順・判断基準を共有 |
| レポート | 数字を報告 | 次のアクションを決定 |
| AI | 担当者ごとに利用 | データ・用途・承認を標準化 |
改善策1:全社データ統合より「一つの問い」から始める
データ活用を改善しようとすると、
「全システムを統合しなければならない」
と大規模プロジェクトになりがちです。
最初は一つの業務質問から始めるほうが実行しやすくなります。
例
- どの資料DL企業を営業が優先すべきか
- どの記事を読んだ企業が商談化しやすいか
- どの失注理由が多いか
- どの顧客が解約しやすいか
- どのウェビナー参加者が受注へ進んだか
問いが決まれば必要なデータも限定できます。
「データを統合する」ではなく、「この問いに答えるために必要なデータをつなぐ」と考えます。
改善策2:データ棚卸しを「システム名」ではなく「判断」で行う
| データ | 保有部門 | 何の判断に使うか | 更新責任者 |
|---|---|---|---|
| Web閲覧 | マーケ | 関心テーマ | マーケ |
| 資料DL | マーケ | 検討シグナル | マーケ |
| 架電結果 | IS | 営業優先度 | IS |
| 商談結果 | 営業 | 案件品質 | 営業 |
| 失注理由 | 営業 | 施策・商品改善 | 営業 |
| 問い合わせ | CS | 顧客課題 | CS |
この表を作るだけでも、「持っているが誰も使っていないデータ」「同じ内容を複数部署で管理しているデータ」が見つかります。
改善策3:共通データ辞書を作る
大げさなシステムは必要ありません。
まず共有ドキュメントで、
- 項目名
- 意味
- 算出方法
- 更新頻度
- 管理部門
- 利用目的
を整理します。
たとえば「商談化率」という数字でも、分母が「全リード」なのか「営業接触済みリード」なのかで結果は変わります。
定義を共有することで、会議のたびに数字の意味を確認する時間を減らせます。
改善策4:部門ごとのKPIを一つ上の事業KPIでつなぐ
| 部門 | 個別KPI例 | 共通で見るKPI |
|---|---|---|
| マーケ | リード数 | 有効商談率 |
| IS | アポ数 | 案件化率 |
| 営業 | 受注額 | 受注率・営業期間 |
| CS | 問い合わせ対応 | 継続率・LTV |
部署単位のKPIをなくすのではなく、各KPIが最終成果へどうつながるかを確認できる構造にします。
改善策5:営業・CSの「定性情報」を戻す
データ活用というと数値だけを想像しがちですが、BtoBでは定性情報も重要です。
営業から戻したい情報
- なぜ商談になったか
- なぜ失注したか
- 顧客が比較していたポイント
- 社内稟議で止まった理由
- 購入時に重視された条件
CSから戻したい情報
- 導入後によく聞かれる質問
- 期待とのギャップ
- 使われている機能
- 継続理由
- 解約理由
これらをコンテンツ、広告、営業資料、商品改善へ戻します。
検索キーワードだけでは見えない顧客理解がここにあります。
改善策6:属人化を「操作」ではなく「判断」からなくす
マニュアルを作る際は、クリック手順だけではなく次を残します。
| 残すもの | 例 |
|---|---|
| 目的 | 何を判断する分析か |
| 入力 | どのデータを使うか |
| 条件 | 対象期間・除外条件 |
| 判断 | どの状態なら改善対象か |
| 例外 | 異常値時の確認先 |
| 出力 | 誰へ何を共有するか |
| 改善 | 結果をどこへ戻すか |
これにより担当変更後も再現しやすくなります。
改善策7:会議を「レポート確認」から「意思決定」に変える
データ会議では、報告項目を減らし、判断項目を明確にします。
会議で決めること
- 何が変化したか
- 仮説は何か
- どの施策を続けるか
- 何を止めるか
- 次に何を検証するか
- 誰がいつ実行するか
ダッシュボードは「きれいに見せる資料」ではなく、共通認識を作り意思決定へつなぐために使います。2026年7月時点のデジタル庁の実践ガイドも、データのわかりやすい可視化を通じて、関係者の共通認識と意思決定の質を高めることを目的にしています。
改善策8:AIは標準化した後に横展開する
AIは属人化解消にも使えます。
たとえば、
- データ分類
- 会議議事録の整理
- 営業メモの要約
- 失注理由の分類
- 分析レポートの初稿
- 異常値候補の抽出
などです。
ただし、担当者ごとに異なるルールのままAIへ渡すと、属人化がなくなるのではなく「属人的なAI活用」が増えるだけです。
AIを横展開する前に、
- 使用データ
- 目的
- 出力形式
- 人が確認する項目
- 最終承認者
を決めます。
プロジェクト内のAI MarTech関連資料でも、「担当者ごとに使い方が違う」「成果が属人的で横展開しにくい」状態と、用途・責任範囲・入力データ・評価基準が明確な統合状態が区別されています。
2026年、AI導入が進むほど「組織設計」が重要になる
IPAが2026年7月16日に公表したDX動向2026調査のポイントでは、国内企業でAI導入が広がっている一方、効果は業務効率化・迅速化を中心としており、企業価値創出やビジネス変革への展開は依然として限定的と整理されています。調査ではデータの利活用・連携状況や企業文化・風土も分析対象となっています。
これは「AIを導入しても意味がない」という話ではありません。
ツール導入と組織変革は別工程であるということです。
データの意味が統一されていない。
部門間で成果が共有されない。
意思決定者が決まっていない。
この状態でAIだけを追加しても、処理速度は上がっても組織全体の意思決定が速くなるとは限りません。
2026年改訂のDX推進指標から見ても「共通認識」が重要
経済産業省とIPAは2026年2月、DX推進指標を改訂しました。DX推進指標は、経営者や社内関係者が、自社の現状、あるべき姿、ギャップ、必要な対応策について認識を共有し、アクションへつなげるための自己診断として位置づけられています。
この考え方は社内データ活用にもそのまま応用できます。
まず「データ活用ができていない」と抽象的に言うのではなく、
- 現状はどこで分断しているか
- 理想はどのデータがつながる状態か
- 何がギャップか
- 誰が何を変えるか
まで具体化します。
データガバナンスは「禁止ルール」ではなく、活用するための土台
デジタル庁のデータガバナンス・ガイドラインでは、企業が保有するデータを最大限活用し、DXを通じて企業価値向上へつなげるための経営上の重要事項としてデータガバナンスが整理されています。
現場では「ガバナンス=利用を制限するもの」と捉えられることがあります。
しかし実務では、
- 誰が管理するか
- 誰が利用できるか
- どの目的で使うか
- どのデータを正とするか
- 誰が更新するか
を決めることで、安心して横断利用できる状態を作る役割もあります。
社内データ活用を改善する8ステップ
| ステップ | 実施内容 | 成果物 |
|---|---|---|
| 1 | 改善したい業務質問を決める | 目的・課題 |
| 2 | 必要データを棚卸しする | データマップ |
| 3 | 用語・指標をそろえる | データ辞書 |
| 4 | 共通KPIを決める | KPIツリー |
| 5 | 役割・責任者を決める | 運用ルール |
| 6 | 結果の戻し先を設計する | フィードバックフロー |
| 7 | 判断基準を標準化する | 分析・判断手順 |
| 8 | AI・自動化を追加する | 再現可能な運用 |
最初の90日で全部統合しようとしない
社内データ活用改善で避けたいのは、最初から全データ・全部門を対象にすることです。
たとえば最初は、
「資料DLから商談まで」
だけでも構いません。
マーケティングの資料DLデータと、インサイドセールスの対応結果、営業の商談結果をつなぎます。
そこで、
- どの資料が有効商談につながったか
- どの企業を営業がフォローしたか
- フォローしなかった理由は何か
- どの課題テーマが案件化したか
を見られる状態にします。
この小さな循環が作れたら、ウェビナー、広告、CS、LTVなどへ範囲を広げます。
社内のデータ活用チェックリスト
目的
- 「データを活用する」以外の具体的な目的がある
- 改善したい業務判断を説明できる
- 事業KPIとの関係を説明できる
データ
- 主要データの保有場所がわかる
- 管理責任者がわかる
- 同一顧客を部門横断で識別できる
- 重複・欠損・表記ゆれを把握している
- 更新が止まったデータを把握している
部門連携
- 「良いリード」の定義を共有している
- 営業結果をマーケティングへ戻している
- CSの問い合わせ・解約理由を共有している
- 部門横断の共通KPIがある
属人化
- 特定担当者しか作れないレポートがない
- 分析条件が文書化されている
- 判断基準が文書化されている
- 異常時・例外時の確認先が決まっている
- 担当変更時に引き継げる
AI活用
- AIに渡すデータが決まっている
- AIを使う業務目的が明確である
- 人が最終確認する項目が決まっている
- 出力・プロンプトが個人だけに閉じていない
- AI活用後の成果KPIを設定している
まとめ:データ活用の壁は「データ」より「接続」にある
社内のデータ活用が進まないと、つい、
「データ基盤が足りない」
「ツールが古い」
「分析人材が足りない」
と考えがちです。
もちろん、これらが原因の場合もあります。
しかし、インティメート・マージャーが蓄積してきたセミナー情報を見ると、より根深い問題が見えてきます。
マーケティングはリードを渡す。
営業は質が低いと感じる。
営業は商談結果を持っている。
しかし、その情報は施策側へ十分に戻らない。
CSは顧客の実際の困りごとを知っている。
しかし、コンテンツや広告には反映されない。
つまり、データ活用の問題は、データ量ではなく「部門間の接続」の問題でもあります。
2025年のセミナーでは、顧客行動データの一元化、共通ゴールの設定、バイヤージャーニーの可視化、営業結果からマーケティング施策へのフィードバックという流れが整理されていました。
そしてAIの進化によって、以前よりデータ分析そのもののハードルは下がっています。
だからこそ今後重要になるのは、
誰でも分析できることだけではありません。
誰が分析しても同じデータを見る。
同じ言葉を使う。
同じ事業目標へつなげる。
結果を次の施策へ戻す。
担当者が変わっても再現できる。
という状態です。
まず明日、すべてのデータを統合する必要はありません。
「この業務判断に必要なデータは何か」「誰が持っているか」「結果を誰へ戻すか」
を一つのテーマで書き出すところから始めるだけでも、分断箇所は見えてきます。
データ活用とは、データを集めることではなく、部門を越えて次の意思決定へつなげ続ける仕組みを作ることです。
データはあるものの、営業・マーケティング・AI活用までつなげ切れていない方へ
IMデジタルマーケティングニュースでは、外部データ活用、顧客理解、AI活用、BtoB営業・マーケティング連携などをテーマとしたセミナー・ウェビナー情報や開催レポートを掲載しています。
自社のデータ活用を「分析」で終わらせず、施策や営業活動へつなげるための情報収集にご活用ください。
社内データ活用に関するよくある質問
社内のデータ活用が進まない主な原因は何ですか?
データ不足だけでなく、部門ごとにデータが分かれている、顧客やリードの定義が違う、KPIが部門単位になっている、営業結果が他部門へ戻らない、分析が特定担当者へ依存しているといった複数の原因があります。まずどの業務判断でデータが途切れているかを確認します。
データサイロとは何ですか?
部署やシステムごとにデータが分断され、他の業務や部門から十分に参照・利用できない状態です。CRM、MA、営業資料、問い合わせ履歴などが別々に管理され、同じ顧客について横断的に確認できないケースなどが該当します。
データ活用の属人化を解消するにはどうすればよいですか?
操作手順だけではなく、分析目的、使用データ、抽出条件、判断基準、例外対応、共有先まで文書化します。担当者の「やり方」ではなく「なぜそう判断するのか」を残すことが重要です。
営業とマーケティングのデータ連携は何から始めればよいですか?
まず有効リードや商談など共通用語の定義をそろえます。そのうえで、マーケティングから営業へ渡す情報だけでなく、商談化・失注理由など営業側の結果をマーケティングへ戻す仕組みを作ります。
CRMやMAを統合すればデータ活用は進みますか?
技術的な統合は重要ですが、それだけでは十分ではありません。誰がどのデータを何の判断に使うか、どのKPIを見るか、結果をどこへ戻すかという運用設計も必要です。
AIを導入すればデータ活用の属人化は解消できますか?
AIは分析・分類・要約などの作業を支援できますが、データ定義や判断基準が部門ごとに異なるままでは、属人的なAI活用が増える可能性があります。データ、目的、出力、人の確認ポイントを標準化してから横展開することが重要です。
データ活用を全社で進めるにはどこから始めるべきですか?
最初から全データを統合せず、「資料DLから商談までを可視化する」など一つの業務課題から始めます。必要なデータ、定義、担当部門、KPI、フィードバック先を決め、小さな循環を作った後に対象範囲を広げる方法が現実的です。

「IMデジタルマーケティングニュース」編集者として、最新のトレンドやテクニックを分かりやすく解説しています。業界の変化に対応し、読者の成功をサポートする記事をお届けしています。


