「まずはPoCから始めましょう」。
インテントデータの導入を検討すると、この言葉が出てくることがあります。
しかし、実際にPoCを始めようとすると、次の疑問が出てきます。
何を検証すればよいのか。
何社を対象にすればよいのか。
何か月実施すればよいのか。
アポイントが取れれば成功なのか。
商談まで待つべきなのか。
インテントスコアが営業の感覚と違ったらどうするのか。
こうした条件を決めないままPoCを開始すると、終了時に「データは見えた。でも、本格導入するべきかはわからない」という状態になりやすくなります。
インティメート・マージャーの2026年5月セミナーでは、商談数自体は増えている一方、顧客の「熱量」が十分ではない状態や、展示会でリードを獲得しても、営業すると「タイミングが来たら連絡します」と言われる現場課題が語られていました。
そこで重要になるのが、企業の関心変化を捉え、
「今、どの企業を優先するべきか」
「どのテーマで接触するべきか」
という判断を改善することです。
インテントデータのPoCも、単にデータ取得の可否を確認するものではありません。
インテントデータを利用することで、営業・マーケティングの判断と行動が本当に変わるのかを検証する業務実験として設計する必要があります。
この記事では、PoCの検証テーマ、期間、KPI、比較方法、本格導入の判断基準まで順番に整理します。
要点サマリー
- PoCは「データが取得できるか」ではなく「業務判断が改善するか」を検証します。
- 検証テーマは営業リスト優先順位、再アプローチ、ABMなど一つに絞ります。
- 期間は「1か月」など一律で決めず、必要なシグナルと営業成果を観測できる期間から逆算します。
- KPIはデータ品質、営業利用、行動、商談成果の複数レイヤーで設定します。
- PoC終了時は「導入/不導入」の二択ではなく、条件変更による再検証も選択肢にします。
- インテントデータのPoCとは?
- PoCと本格運用の違い
- PoCで最初に決めるのは「検証テーマ」
- 一次情報で見えた「接触タイミング」をPoCテーマにする
- PoC設計は「仮説→シグナル→行動→結果」で考える
- PoC対象はどう決める?
- PoC対象を狭くする理由
- インテントデータPoCの期間はどう決める?
- 「期間」より「判断可能条件」を決める
- PoCのKPIは4階層で設計する
- データKPI:そもそも自社で使えるデータか
- 運用KPI:営業は実際に使ったか
- 行動KPI:顧客の反応は変わったか
- 成果KPI:商談・案件化までつながったか
- PoCでは定性KPIも重要
- 「高インテントなら商談化する」という仮説にしない
- PoCでは比較対象を設ける
- インテントスコアの評価方法
- 営業へ渡す情報をPoCで検証する
- インテントデータを営業・マーケティングの共通言語にする
- PoCの途中で条件を変えてもよい?
- PoCを繰り返すだけの「PoC疲れ」を防ぐ
- PoCで個人情報・データ利用の確認を後回しにしない
- 2026年7月の個人情報保護法改正も継続確認する
- PoCから本格導入へ進む判断基準
- 判断は「導入/失敗」の二択にしない
- 本格導入前にデータガバナンスを確認する
- PoC結果をCRM・営業フローへどう移すか
- PoC後もフィードバックループを止めない
- インテントデータPoC設計シート
- インテントデータPoCチェックリスト
- まとめ:PoCの目的は「インテントデータが正しいか」を証明することではない
- インテントデータのPoCに関するよくある質問
インテントデータのPoCとは?
PoCとはProof of Conceptの略で、日本語では「概念実証」と訳されます。
新しい技術・データ・仕組みを本格導入する前に、小さな範囲で「想定した価値が得られそうか」を検証する取り組みです。
インテントデータの場合、PoCで確認したいのは、単純に、
「企業のインテントデータが表示された」
ことではありません。
たとえば、
- 今まで営業が優先していなかった企業を発見できたか
- 休眠していた企業へ適切なタイミングで再接触できたか
- 営業担当者が会話するテーマを考えやすくなったか
- 既存の営業リストより反応の違いが見えたか
まで確認します。
PoCと本格運用の違い
| 項目 | PoC | 本格運用 |
|---|---|---|
| 目的 | 業務上の有用性を確かめる | 日常業務として成果を積み上げる |
| 対象 | 一部の企業・担当者・テーマ | 条件に応じて対象を拡大 |
| 連携 | 必要最低限でもよい | CRM・MA・SFA等へ統合 |
| KPI | 仮説検証中心 | 継続的な業務・事業KPI |
| スコア | 仮説として評価 | 継続改善しながら利用 |
| 運用 | 担当者を限定 | 日常業務へ標準化 |
PoC段階で完成された運用を作る必要はありません。
重要なのは、本格運用へ進む価値があるか判断できる情報を得ることです。
PoCで最初に決めるのは「検証テーマ」
PoCを始める際に最初に決めたいのが、何を改善するための検証なのかです。
「インテントデータの精度を確認する」だけでは不十分です。
精度という言葉には、
- 対象企業を捉えられるか
- 関心テーマが実態と合っているか
- タイミングが営業に使えるか
- スコア上位企業の反応がよいか
など複数の意味が含まれるからです。
PoCテーマの例
| 課題 | PoCテーマ |
|---|---|
| 営業リストが多すぎる | 営業優先順位を改善できるか |
| 休眠リードが多い | 再アプローチタイミングを見つけられるか |
| 展示会後フォローが非効率 | フォロー対象を絞れるか |
| ABM対象が広すぎる | 優先アカウントを絞れるか |
| 営業メールの反応が弱い | 関心テーマに合わせた提案が有効か |
| マーケと営業の認識がずれる | インテントを共通指標として使えるか |
PoCでは一度に複数テーマを検証するより、最重要課題を一つ選ぶほうが結果を解釈しやすくなります。
一次情報で見えた「接触タイミング」をPoCテーマにする
インティメート・マージャーの2026年5月セミナーでは、従来型のプッシュ営業について、電話がつながりにくいことに加え、接触できても顧客側の検討モチベーションが上がっていないという課題が語られていました。
この場合のPoCテーマは、
「高インテント企業を発見できるか」
だけではなく、
「従来のリストより、顧客の検討タイミングに近い企業を優先できるか」
としたほうが実務に近づきます。
PoC設計は「仮説→シグナル→行動→結果」で考える
PoCを次の4項目へ分けると整理しやすくなります。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 仮説 | 何が改善すると考えるか |
| シグナル | 何を検知したら対象とするか |
| 行動 | 営業・マーケが何をするか |
| 結果 | 何が変われば有用と判断するか |
例:休眠リードの再活性PoC
仮説:過去に接点がある企業でも、関連テーマへの関心が再上昇した企業は再接触に適しているのではないか。
シグナル:自社商材に関連する課題テーマへの関心上昇。
行動:関連コンテンツを添えてメールまたは架電。
結果:接続、返信、商談など従来対象との違いを確認。
PoC対象はどう決める?
対象範囲は、大きすぎても小さすぎても評価しづらくなります。
対象条件として整理したいもの
- 業種
- 企業規模
- 対象サービス
- 既存リードか新規企業か
- 過去接点の有無
- 検証する関心テーマ
- 担当営業チーム
たとえば「すべてのBtoB企業」で検証するのではなく、
「過去1年間に接点がある休眠企業のうち、対象サービスと適合する企業」
など、PoCの仮説に合わせて絞ります。
PoC対象を狭くする理由
業種も企業規模も商材も営業担当も異なる対象を一緒にすると、結果が悪かった原因を特定しづらくなります。
一方、PoC初期に重要なのは「全市場で使えるか」ではありません。
特定の条件で業務上の価値があるかです。
価値が確認できたら、次のPoCや本格運用で対象を広げます。
インテントデータPoCの期間はどう決める?
インテントデータのPoCには、「必ず○か月」という共通の正解はありません。
期間を決める際には、カレンダーから考えるのではなく、検証したい行動を何サイクル観測する必要があるかから逆算します。
期間を決める4つの要素
| 要素 | 確認する内容 |
|---|---|
| シグナル発生頻度 | 対象企業に十分な変化が発生するか |
| 営業対応速度 | シグナル後どの程度で接触できるか |
| 営業サイクル | 商談・案件化までどの程度かかるか |
| 必要な対象数 | 比較判断できる件数を確保できるか |
たとえば商談まで長期間かかるBtoBサービスの場合、PoC期間中に受注まで待つと判断が遅くなります。
その場合は、
- シグナル取得
- 営業対応
- 接続・返信
- 商談化
までをPoCの主要評価にし、案件化・受注は後続指標として追跡する方法があります。
「期間」より「判断可能条件」を決める
PoC開始前に、
「3か月実施する」
だけを決めるのではなく、
「対象シグナルと営業アクションを一定数観測し、既存手法との比較ができた段階で評価する」
といった終了条件を持つと判断しやすくなります。
期間終了時に十分な対象が集まらなければ、
- 対象範囲が狭すぎた
- テーマ設定が適切でない
- シグナル頻度が営業用途に合わない
こと自体もPoCの学習結果です。
PoCのKPIは4階層で設計する
PoCでありがちな失敗が、KPIを「アポ数」だけにすることです。
アポイントに至らなかった原因が、データなのか、営業対応なのか、メッセージなのか判断できなくなります。
そこでKPIを4階層に分けます。
| 階層 | 確認すること | KPI例 |
|---|---|---|
| データKPI | 使えるデータか | 対象企業カバー、シグナル件数 |
| 運用KPI | 現場で使われたか | 営業確認率、対応率 |
| 行動KPI | 顧客反応が変わったか | 接続、返信、再訪 |
| 成果KPI | 営業成果へ進んだか | 商談化、案件化、受注 |
データKPI:そもそも自社で使えるデータか
最初に確認するのはデータそのものです。
- 狙っている企業が含まれているか
- 自社商材に関係するテーマを確認できるか
- 営業が動けるタイミングで更新されるか
- 既存企業データと正しく照合できるか
対象企業がほとんど含まれていない場合、営業成果を検証する前に適合性の問題が見えます。
運用KPI:営業は実際に使ったか
インテントデータが有用でも、営業が確認しなければ成果は生まれません。
確認したいのは、
- 通知を見たか
- 対象企業を確認したか
- 実際に接触したか
- 何を理由に接触しなかったか
です。
「インテント企業を50社渡したが5社しか営業されなかった」という場合、データ精度だけを評価してはいけません。
営業フローに入れにくかった可能性があります。
行動KPI:顧客の反応は変わったか
次に、顧客の反応を確認します。
- 電話接続
- メール返信
- コンテンツ閲覧
- ウェビナー参加
- 再訪
直接商談にならなくても、通常の営業対象とは違う反応が見える場合があります。
成果KPI:商談・案件化までつながったか
最終的には営業成果も確認します。
- 商談化
- 案件化
- 受注
- 売上
ただし営業サイクルが長い場合、PoC終了時点では受注結果が十分に揃わないことがあります。
その場合は「受注が出なかったから失敗」とせず、後続追跡を行います。
PoCでは定性KPIも重要
数字だけではわからない情報もあります。
営業担当者へ、
- 優先順位判断に使えたか
- 顧客へ話すテーマを考えやすかったか
- 既存の営業リストとの違いを感じたか
- 不要なシグナルは何だったか
- 追加で欲しい情報は何か
を確認します。
2025年のセミナーでは、マーケティング側には「獲得したリードが営業にフォローされない」、営業側には「マーケティングから来るリードの質が低い」という認識差が課題として整理されていました。
PoCは、この認識差を埋める機会でもあります。
「高インテントなら商談化する」という仮説にしない
インテントデータは購買を保証するデータではありません。
特定テーマを調べていたとしても、
- 単純な情報収集
- 競合調査
- 将来検討
- 既存システムの調査
などの場合があります。
そのためPoCでは、
「インテントが高い企業は必ず商談になる」
ではなく、
「インテントシグナルを加えることで、従来より営業対象の優先順位を考えやすくなるのではないか」
という仮説にしたほうが適切です。
PoCでは比較対象を設ける
インテントデータ対象だけを見ると、良かったのか悪かったのか判断しづらくなります。
可能な範囲で従来手法と比較します。
| 比較 | 内容 |
|---|---|
| 従来リスト | 企業属性等で選んだ対象 |
| インテント活用リスト | 属性+インテントで優先した対象 |
ただし、担当営業、企業規模、業種など条件が大きく違えば単純比較はできません。
「インテントあり/なし」以外の違いを可能な範囲でそろえます。
インテントスコアの評価方法
インテントデータのPoCでは、「スコアの精度を見たい」という要望が出やすくなります。
そこで、スコア帯ごとに結果を見る方法があります。
| 確認項目 | 問い |
|---|---|
| カバレッジ | 狙いたい企業を捉えられたか |
| テーマ適合 | 営業会話と関心テーマが合ったか |
| タイミング | 接触時期が顧客状態と合っていたか |
| 反応 | スコア帯で反応差が見えたか |
| 営業評価 | 営業担当が使えると判断したか |
「スコア90点なら正解、50点なら不正解」という見方ではありません。
どの条件のシグナルが、自社の営業活動に役立つかを探します。
営業へ渡す情報をPoCで検証する
会社名とスコアだけを営業へ渡しても、行動へつながらない場合があります。
営業へ渡したい情報例
- 対象企業
- 関心テーマ
- シグナル変化
- 既存接点
- 前回接触日
- 過去商談
- 関連コンテンツ
- 営業アクションの仮説
どの情報があれば営業担当者が実際に動けるのかもPoCで確認します。
インテントデータを営業・マーケティングの共通言語にする
2026年のプロジェクト内セミナー企画では、マーケティングが獲得したリードを営業が活用できず、リード品質への認識の違いが部門間の対立を生むという課題に対し、インテントデータを共通言語としてバイヤージャーニーとアプローチタイミングをそろえる考え方が整理されています。
PoCで重要なのは、「マーケティングがよいと思ったデータ」を営業へ評価させることではありません。
営業と一緒に、
「どんな状態なら優先したいのか」
を定義することです。
PoCの途中で条件を変えてもよい?
PoCは固定された試験ではありません。
初期仮説が間違っていることを知るのもPoCの目的です。
たとえば、
- テーマが広すぎる
- 対象企業が少ない
- 営業へ渡すタイミングが遅い
- 企業属性条件が厳しすぎる
ことがわかった場合は条件を修正できます。
ただし、途中で条件を変えた場合は、変更日・変更理由を記録し、変更前後を同じ条件として比較しないことが重要です。
PoCを繰り返すだけの「PoC疲れ」を防ぐ
PoCそのものが目的になると、
「とりあえず試す」
「結果が微妙なので別の条件でまた試す」
という状態が続きます。
経済産業省は2026年2月にDX推進指標を改訂し、経営者や関係者が現状・あるべき姿・ギャップを共有し、必要なアクションにつなげるための自己診断指標として位置づけています。
またIPAが2026年7月16日に公表したDX動向2026調査では、国内企業でAI導入が広がる一方、成果は業務効率化・迅速化が中心で、新たな価値創出やビジネス変革への展開が課題とされています。調査は2026年4月17日から6月12日に実施され、1,799社から回答を得ています。
インテントデータのPoCでも、
「リスト作成が速くなった」
だけで終わらず、
「どの営業判断を変えられたか」
まで評価することが重要です。
PoCで個人情報・データ利用の確認を後回しにしない
インテントデータのPoCでは、利用するデータの内容・取得方法・自社データとの連携方法を確認する必要があります。
個人情報保護委員会の現行ガイドラインでは、「個人関連情報」は、生存する個人に関する情報であって、個人情報・仮名加工情報・匿名加工情報に該当しないものと定義されています。また、個人関連情報の第三者提供に関する規律は、提供先で「個人データとして取得することが想定される」場合などに関係します。
したがって、
- 企業単位のデータなのか
- 個人に関する情報を含むのか
- 自社の個人データと紐付けるのか
- 第三者提供・委託に当たるのか
などを、利用するデータごとに確認します。
注意:インテントデータが一律に個人情報・個人関連情報に該当する、または該当しないとは判断できません。データ構成や利用方法により異なります。実際のPoCでは自社の法務・個人情報管理担当者等と確認してください。
2026年7月の個人情報保護法改正も継続確認する
2026年7月10日に「個人情報の保護に関する法律等の一部を改正する法律」が成立し、7月17日に公布されました。個人情報保護委員会によると、改正法は一部を除き、公布日から起算して2年以内で政令により定める日から施行され、今後、政令・委員会規則・ガイドライン等の検討が進められます。
そのため、2026年7月時点のPoCでは現行ルールに基づいて確認しつつ、本格運用までの間に制度・ガイドラインの更新がないか追跡することが重要です。
PoCから本格導入へ進む判断基準
PoC終了時には、次の5観点で評価します。
| 評価軸 | 問い |
|---|---|
| データ適合性 | 対象企業・テーマを十分捉えられたか |
| 業務適合性 | 営業の日常業務で使えるか |
| 行動変化 | 優先順位・タイミング・会話が変わったか |
| 成果兆候 | 接触・返信・商談等に違いがあったか |
| 運用可能性 | CRM連携・権限・コストを含め継続できるか |
判断は「導入/失敗」の二択にしない
| PoC結果 | 次の判断 |
|---|---|
| 各評価軸で有用性が確認できた | 本格導入を検討 |
| 特定条件のみ有効だった | 対象を絞って導入・再PoC |
| データは良いが営業利用されなかった | 運用フローを変更して再検証 |
| 営業利用されたが成果差が見えなかった | テーマ・シグナル・アクションを再検討 |
| 対象企業を十分捉えられなかった | データ・サービス比較を再検討 |
PoCで「この条件では使えない」とわかることも成果です。
本格導入前にデータガバナンスを確認する
PoCでは限られた担当者しかデータを扱わなくても、本格導入すると営業・マーケティング・DXなど利用範囲が広がります。
デジタル庁のデータガバナンス・ガイドラインでは、データを人・モノ・金と並ぶ重要な経営資源として捉え、共有・連携・利活用を通して企業価値へつなげる考え方が整理されています。
本格導入前には、
- データの責任者
- 利用部門
- アクセス権
- スコア変更権限
- 利用目的
- 外部提供・契約管理
- ログ・保存期間
などを確認します。
PoC結果をCRM・営業フローへどう移すか
PoCで有用性が確認できた後は、インテントデータを「専用画面を見る仕事」にしないことが重要です。
営業担当者が普段利用するCRMやSFAなどへ、
- 企業名
- インテントスコア
- 関心テーマ
- 変化日時
- 既存接点
- 推奨コンテンツ
を必要な範囲で表示します。
2025年のセミナー資料でも、CRM・MA・BIなどによってリアルタイムの顧客行動データを共有し、「質の高いリードから受注までの最適化」を営業・マーケティングの共通ゴールにする考え方が示されています。
PoC後もフィードバックループを止めない
インテントデータは、本格導入したら完成ではありません。
インテントシグナル
↓
営業優先順位
↓
営業アプローチ
↓
顧客反応
↓
商談・失注・受注
↓
スコア・テーマ・営業ルールを更新
2025年セミナーでも、営業活動・商談から得た現場ノウハウをデータ化し、マーケティング施策へ戻し、再び顧客インサイト分析へつなげる双方向のフィードバックループが示されています。
PoCはその循環を小さく一度回すための期間、と考えると理解しやすくなります。
インテントデータPoC設計シート
| 項目 | 記入する内容 |
|---|---|
| 解決したい課題 | 何を改善するPoCか |
| 対象企業 | どの企業群を検証するか |
| 検証テーマ | 何のインテントを使うか |
| 比較対象 | 従来リスト等とどう比較するか |
| 営業アクション | シグナル後に何をするか |
| データKPI | カバレッジ等 |
| 運用KPI | 営業確認・対応率等 |
| 行動KPI | 接続・返信等 |
| 成果KPI | 商談・案件化等 |
| 定性評価 | 営業がどう評価したか |
| 終了条件 | 何を観測できれば判断するか |
| 本格導入条件 | 何を満たせば進むか |
インテントデータPoCチェックリスト
検証テーマ
- PoCで解決したい業務課題が一つに絞られている
- 「データの精度を見る」だけになっていない
- 営業・マーケティング双方が目的を理解している
対象設計
- 業種・企業規模など対象条件が明確である
- 対象を広げすぎていない
- 検証する関心テーマが自社商材と関連している
- 比較対象を用意できる
期間
- 何となく期間を決めていない
- シグナル発生頻度を確認している
- 営業対応時間を考慮している
- 商談までの営業サイクルを考慮している
- PoC終了後も後続成果を追跡できる
KPI
- データKPIを設定している
- 営業利用KPIを設定している
- 顧客反応KPIを設定している
- 商談等の成果KPIを設定している
- 営業担当者の定性評価を取得する
営業連携
- 営業がPoC開始前から参加している
- 営業へ会社名だけを渡していない
- 関心テーマ・既存接点も共有している
- 接触しなかった理由も記録している
- 商談結果を戻すルールがある
法務・データ
- 利用するデータの内容を確認している
- 取得元・利用条件を確認している
- 自社データとの照合方法を確認している
- 個人情報・個人関連情報等の該当性を必要に応じて確認している
- アクセス権限を限定している
本格導入判断
- PoC開始前に判断基準を設定している
- 導入/不導入だけでなく再検証も選択肢にしている
- データだけでなく運用定着も評価している
- 本格導入後の責任者を決めている
- CRM・MA・SFA等への組み込み方を検討している
まとめ:PoCの目的は「インテントデータが正しいか」を証明することではない
インテントデータのPoCを始めると、つい、
「このスコアは当たっているか」
「本当に検討中の企業なのか」
という議論に集中しがちです。
もちろんデータの妥当性確認は必要です。
しかし、PoCで本当に知りたいのは、
「このデータを営業・マーケティングの判断へ加える価値があるか」
です。
インティメート・マージャーの2026年5月セミナーでは、商談数は増えていても顧客の熱量が足りず、従来型のプッシュ営業だけでは顧客のタイミングと合いにくくなっているという現場感が語られていました。
また2025年のセミナーでは、ターゲットリスト共有、顧客行動データの一元化、AIによるリードスコアリング、成果分析と戦略最適化を一連のプロセスとして回す考え方が示されています。
つまりPoCで確認したいのは、
データが取れたか。
営業が使ったか。
営業の優先順位が変わったか。
顧客の反応が変わったか。
商談や案件化へつながる兆候があったか。
本格運用しても継続できそうか。
という一連の流れです。
まずPoC開始前に、次の一文を作ってみてください。
「○○という企業群に対して、○○というインテントシグナルを使うことで、○○という営業判断を改善できるか検証する」
この一文が書ければ、対象、期間、KPIを決めやすくなります。
逆に書けない状態でPoCを始めると、データを眺めるだけの検証になりやすくなります。
インテントデータのPoCは、データのデモではありません。顧客の関心変化を、営業・マーケティングの次の行動へ変換できるかを小さく確かめる取り組みです。
インテントデータを本格導入する前に、自社に合ったPoCテーマ・KPIを整理したい方へ
インティメート・マージャーでは、インテントデータ、外部データ活用、AI、BtoB営業・マーケティング連携などをテーマとしたセミナー・ウェビナー情報や開催レポートを掲載しています。
インテントデータの比較だけではなく、「自社ではどの業務から検証すべきか」を考えるヒントとしてご活用ください。
インテントデータのPoCに関するよくある質問
インテントデータのPoCとは何ですか?
インテントデータを本格導入する前に、限定した企業・テーマ・営業チームなどで、データが実際の営業・マーケティング判断に役立つかを検証する取り組みです。データ取得だけでなく、営業利用や顧客反応まで確認します。
インテントデータのPoC期間はどのくらい必要ですか?
一律の正解はありません。対象企業にシグナルが発生する頻度、営業が対応できる速度、商談までの営業サイクルなどから逆算します。期間だけでなく「何を観測できれば判断するか」という終了条件を決めることが重要です。
PoCではどのKPIを設定すべきですか?
対象企業カバーなどのデータKPI、営業が確認・対応したかという運用KPI、接続・返信などの行動KPI、商談化・案件化などの成果KPIを分けて設定します。
インテントスコアが高い企業が商談にならなければPoC失敗ですか?
一件の結果だけでは判断できません。関心テーマが営業会話と合っていたか、タイミングが適切だったか、営業アクションに問題がなかったかなどを確認します。スコアは購買を保証するものではなく、優先順位を考えるためのシグナルとして扱います。
PoCはマーケティング部門だけで実施できますか?
コンテンツ活用などマーケティング内で完結する検証もありますが、営業活用を目的とするなら営業部門の参加が重要です。PoC開始前から、対象企業、アプローチ方法、フィードバック項目を共同で決めます。
PoC結果はどうなれば本格導入してよいですか?
データ適合性、営業での使いやすさ、優先順位や行動の変化、商談等の成果兆候、継続運用可能性を総合して判断します。一部条件だけで有効なら対象を絞った本格導入や再PoCも選択肢です。
インテントデータPoCで個人情報の確認は必要ですか?
利用するデータの内容・取得方法・自社データとの連携方法によって異なります。企業単位の情報でも、個人に関する情報や自社の個人データとの照合を伴う場合などは法的整理が必要になることがあります。法務・個人情報管理担当者等と確認してください。

「IMデジタルマーケティングニュース」編集者として、最新のトレンドやテクニックを分かりやすく解説しています。業界の変化に対応し、読者の成功をサポートする記事をお届けしています。


