「広告を公開したいのに、また審査で止まった」。
「不承認理由を見ても、広告文・画像・LPのどこを直せばよいのかわからない」。
「表現を少し言い換えて再申請したのに、また同じ理由で落ちてしまった」。
広告運用の現場では、このような“差し戻しの往復”が想像以上に大きな負担になります。
特に生成AIによって広告コピーや画像を短時間で大量に作れるようになると、制作速度よりも「どこまでなら公開してよいのかを誰が判断するか」のほうがボトルネックになりやすくなります。
IMデジタルマーケティングニュースの広告運用関連資料でも、AIや広告プラットフォーム側へクリエイティブ制作を寄せる場合であっても、人間側には訴求軸、ブランド整合、商品表現の確認、承認ルール、差し戻し基準の統一が必要だと整理されています。
また、IMデジタルマーケティングニュースのYouTubeコンテンツでも「差し戻し地獄」を止めるテーマへの反応が大きく、広告表現の問題を単なる制作ミスではなく、判断基準を共有する運用課題として扱ってきました。
結論から言えば、広告審査に落ちたときに最初に行うべきことは、NGと思われる言葉を勘で削ることではありません。
媒体が示している不承認理由を確認し、
- 広告表現
- 商品・価格条件
- 画像・動画
- LP・遷移先
- URL
- ターゲティング
- 商品カテゴリ
- 広告主・アカウント情報
のどこで問題が起きているのかを切り分けます。
Google Adsでは、不承認になった広告についてポリシー詳細から理由を確認し、広告または遷移先を修正したうえで再審査へ進むことが公式に案内されています。誤判定だと考える場合には異議申し立ても可能です。
この記事では、広告審査に落ちやすい原因、よくある要注意表現、修正方法、LP・URLで見落としやすいポイント、再審査の進め方まで整理します。
なお、媒体による広告審査と法律上の適法性確認は同じではありません。本記事は広告媒体の審査対応を中心とした一般的な実務情報であり、個別の広告表現について法律上の適法性を判断するものではありません。必要に応じて自社法務や弁護士等の専門家へ確認してください。
要点サマリー
- 広告審査は広告文だけでなく、画像、LP、URL、ターゲティングなども対象になります。
- 「絶対」「No.1」など特定ワードだけを見るのではなく、広告全体がどのような意味として受け取られるかを確認します。
- 広告とLPで価格・効果・対象条件が一致していないと、不承認の原因になる場合があります。
- 生成AIで作った広告も、人間による商品正確性・ブランド・権利・媒体ポリシーの確認が必要です。
- 不承認理由、修正内容、承認された表現を記録すると、同じ差し戻しを減らしやすくなります。
- 広告審査に落ちるとはどういう状態?
- 広告審査と法務チェックは別物
- 広告審査に落ちる主な原因
- 原因2:No.1・最大・最高などの根拠が不明確
- 原因3:「無料」「半額」「今だけ」など条件が正しく伝わっていない
- 原因4:広告とLPの内容が一致していない
- 原因5:LPが表示できない・クロールできない
- 2026年7月はURL・リダイレクトのルールにも変更
- 原因6:LPの操作性・ユーザー体験に問題がある
- 原因7:広告表現のスタイル・記号・画像品質
- 原因8:クリックベイト・過度に煽る表現
- 原因9:広告主や商品について誤解を招く
- 原因10:広告対象の商品・サービス自体に制限がある
- 原因11:ターゲティング設定が制限に触れている
- 生成AIで作った広告が審査に落ちる理由
- 広告審査に落ちたときの修正手順
- 2026年7月からGoogle広告の異議申し立てにも変更
- 何度も審査落ちする場合は「個別修正」から「ルール化」へ
- 「NG表現リスト」だけでは差し戻しを防げない
- 広告主・代理店・法務のチェック範囲を決める
- 広告審査のおすすめ運用フロー
- 広告審査落ちを減らす公開前チェックリスト
- まとめ:広告審査に落ちたら「言葉探し」より原因の切り分けから始める
- 広告審査に関するよくある質問
広告審査に落ちるとはどういう状態?
広告審査とは、広告プラットフォームや媒体が、自社の広告掲載基準・ポリシーに基づき広告掲載の可否を確認する工程です。
たとえばGoogle Adsでは、広告・アセットだけでなく遷移先についてもポリシーが設定されています。Metaでも、広告審査では画像、動画、テキスト、ターゲティング情報に加え、LPなどの遷移先が確認対象になると説明されています。
つまり、広告コピーに問題がなくても審査に落ちることがあります。
| 審査対象 | 主な確認ポイント |
|---|---|
| 広告文 | 誤解を招く表現、誇張、編集ルール |
| 画像・動画 | 品質、不適切表現、誤認を招く見せ方 |
| 商品・サービス | 禁止・制限カテゴリ、地域条件 |
| 価格・オファー | 広告と実際の条件が一致しているか |
| LP | 内容、操作性、広告との整合性 |
| URL | 到達可能か、クロール可能か、ドメイン整合性 |
| ターゲティング | センシティブ領域等の制限 |
| 広告主情報 | 主体者やビジネス内容を正確に示しているか |
2026年4月に改定された国内インターネット広告の業界ガイドラインでも、広告主体、広告内容の責任、リンク先、広告であることの明示、第三者の権利、表現に制約のある広告などが掲載判断の論点として整理されています。
広告審査と法務チェックは別物
広告審査について、最初に押さえておきたいポイントがあります。
媒体審査に通過したことは、法律上問題がないことの保証ではありません。
反対に、社内法務が問題ないと判断した表現でも、広告媒体独自の掲載基準によって不承認となる場合があります。
| 確認 | 目的 | 主な基準 |
|---|---|---|
| 法務チェック | 法令・権利リスクの確認 | 景品表示法、著作権、業界規制等 |
| 媒体審査 | 媒体内で広告掲載可能か判断 | 広告媒体独自の広告ポリシー |
| ブランドチェック | 企業として適切な表現か確認 | ブランドガイドライン、自社基準 |
媒体ポリシー、法律、自社基準の3つを分けて確認すると、差し戻し理由を整理しやすくなります。
広告審査に落ちる主な原因
原因1:実際以上の効果を期待させる表現
広告で成果や効果を強く訴求する場合は注意が必要です。
Google AdsのMisrepresentationポリシーでは、広告や遷移先において、商品・サービス・事業について誤解を招く情報を提供したり、重要な情報を欠落させたりすることを制限しています。また、信頼できない主張やクリックベイトなども同ポリシー群で扱われています。
要注意表現の例
| 表現例 | 問題になりやすい理由 | 修正の考え方 |
|---|---|---|
| 絶対に売上が上がる | 成果を保証するように受け取られる | 提供する機能・支援内容など確認可能な事実へ変える |
| 誰でもすぐ成果が出る | 対象・条件を無視して一般化している | 対象条件や利用条件を明確にする |
| これだけで完全解決 | 過度に確実な結果を期待させる | 解決を支援する具体的な機能・プロセスを説明する |
| 圧倒的に成果が高い | 比較対象・根拠が不明確 | 根拠のある比較指標へ置き換える |
なお、「絶対」という単語そのものがすべての媒体・文脈で一律禁止という意味ではありません。
重要なのは、その広告がユーザーにどのような結果を約束しているように見えるかです。
原因2:No.1・最大・最高などの根拠が不明確
「業界No.1」「顧客満足度No.1」「国内最大級」などの表現は、広告媒体だけでなく景品表示法上の確認も必要になる領域です。
消費者庁は、No.1表示や高評価%表示について、合理的な根拠がなく事実と異なる場合には、優良誤認・有利誤認として問題になる可能性があると説明しています。
確認したい項目
- 何についてNo.1なのか
- 調査対象は誰か
- 調査時期はいつか
- 比較対象は何か
- 調査方法は何か
- 広告上の表現と調査結果が一致しているか
- 現在もその根拠が有効か
根拠が確認できない場合は、言い回しだけを「人気」「選ばれている」に変更して逃げるのではなく、その表現自体が事実として説明できるかを確認してください。
原因3:「無料」「半額」「今だけ」など条件が正しく伝わっていない
価格・キャンペーン条件も審査で見落としやすいポイントです。
Google Adsでは、不正確・不誠実な価格表示や実際には利用できないオファーなどをMisrepresentationの対象として整理しています。
また、景品表示法でも、実際より著しく有利な取引条件と誤認される表示が規制されています。
| 広告 | 確認すること |
|---|---|
| 無料 | 本当に費用が発生しない範囲はどこまでか |
| 初月無料 | 対象・最低契約期間・その後の料金 |
| 50%OFF | 比較元価格・適用期間・対象者 |
| 今だけ | 実際のキャンペーン終了日があるか |
| ○円~ | その価格で実際に購入・利用できる条件 |
広告では「無料」と大きく訴求しているのに、LPへ進むと重要な有料条件が初めて出てくる、といった状態は避けます。
原因4:広告とLPの内容が一致していない
広告文だけを修正しても不承認が解消しない場合、LPを確認してください。
広告と遷移先は一体で判断される場合があります。
よくある不一致
- 広告には「無料」と書いているがLPでは有料
- 広告の商品がLP上で見つからない
- 広告のキャンペーン期間が終了している
- 広告では特定サービスを訴求しているが企業トップページへ遷移する
- 広告とLPでサービス名・価格が違う
- 広告の実績数値とLPの数値が異なる
Google Adsでは広告と遷移先の関連性や、広告から遷移したユーザーが必要な情報を得られることが重視されています。誤認を招く情報や関連性が不明確な広告・遷移先もポリシー上の論点です。
原因5:LPが表示できない・クロールできない
広告表現に問題がなくても、技術的な理由で不承認になる場合があります。
Google Adsでは、広告の遷移先が対象地域からアクセスできない、HTTP 404や403を返す、Google AdsBotによるクロールがrobots.txt等でブロックされている、といった状態が不承認理由として示されています。
入稿前に確認したい項目
- URLを開ける
- 404・403等になっていない
- ログインしないと内容を確認できない状態ではない
- 広告用クローラーがアクセスできる
- モバイルでも正しく表示できる
- 公開前・ステージング環境のURLを設定していない
- リダイレクト先が意図したドメインになっている
2026年7月はURL・リダイレクトのルールにも変更
Googleは2026年6月23日、Destination Mismatchポリシーの更新を公表し、広告の最終URLから異なるドメインへリダイレクトするケースについて、一定の場合に事前承認のもと認める変更を2026年7月上旬から適用すると案内しました。
ここで重要なのは、「別ドメインへのリダイレクトが自由になった」という意味ではないことです。
広告配信時は、広告管理画面上のURLだけではなく、実際の最終遷移先まで確認してください。
原因6:LPの操作性・ユーザー体験に問題がある
Google Adsでは遷移先が機能するだけでなく、ユーザーが操作しやすく、安全に利用できることもDestination Requirementsとして求めています。
たとえば、操作しにくいポップアップやユーザーを欺くようなページ設計などは審査上の問題になり得ます。
確認ポイント
- 広告をクリックした直後に大量のポップアップが出ない
- 戻る操作を妨害しない
- 意図せずファイルダウンロードを開始しない
- コンテンツが確認できる
- 重要情報が過度に隠されていない
- フォームだけで商品・サービス内容がほとんど説明されていない状態になっていないか確認する
BtoBのリード獲得LPでも、「フォームへ入力してもらうこと」だけではなく、広告で訴求したサービスについて判断できる情報を用意することが重要です。
原因7:広告表現のスタイル・記号・画像品質
広告内容が法律上問題になりにくい場合でも、媒体の編集基準によって不承認になることがあります。
Google AdsのEditorialポリシーでは、広告・アセットについて、正しい文法・表記、記号、繰り返し、大文字表記、画像品質、ビジネス名など複数の基準が設定されています。
よく確認したい表現
| 例 | 修正の考え方 |
|---|---|
| !!!!今すぐ確認!!!! | 不要な記号の連続をやめ、通常の文章へ戻す |
| BEST SERVICE | 不自然な大文字強調を避ける |
| 格安 格安 格安 | 不必要な語句の繰り返しを削除する |
| 誤字・意味の通らない文章 | 一般的な文法・表記へ修正する |
| ぼやけた画像 | 規定サイズに合った鮮明な素材へ差し替える |
| 読めない小さな文字入り画像 | 情報量を減らし可読性を改善する |
Google Adsでは、過度・不自然な大文字表記、意味の通らない文章、不適切な記号の使用、読みにくい画像などが編集基準上の論点として明示されています。
また、Google Adsでは電話番号を広告本文へ直接入力することにも制限があり、電話番号を表示したい場合には所定の広告機能を利用する必要があります。
原因8:クリックベイト・過度に煽る表現
「クリックしてもらうために強い言葉を使う」ことにも限界があります。
Google Adsでは、ユーザーを誘引するためのセンセーショナルな文言や画像、一部の恐怖・罪悪感を強く刺激して即時行動を迫る広告などをClickbait adsポリシーで制限しています。
修正前
「知らないと大損!衝撃の事実を今すぐ確認」
修正の方向
「○○で確認したい3つのポイントを解説」
「○○の課題と見直し方法を紹介」
といったように、ユーザーが広告を見ただけで内容を理解できる具体的な表現へ変えます。
ただし、「知らないと損」という文字列そのものが全媒体で一律禁止という意味ではありません。媒体の規定と広告全体の文脈を確認してください。
原因9:広告主や商品について誤解を招く
広告主が誰なのか、どの商品を提供しているのかがわかりにくいことも審査上の問題になります。
Google AdsのMisrepresentationポリシーでは、他社・団体から承認されているように見せることや、資格・提携関係・事業内容について誤解を招く表現などを制限しています。
確認したい例
- 実際にはない認定・資格を記載していないか
- 他社の公式サービスのように見せていないか
- 他社から推薦・認定されているように誤認させていないか
- 広告主名とLP運営者がわかりにくくなっていないか
- ビジネス名欄へ販促コピーを入れていないか
Google Adsでは、ビジネス名欄についても、広告主の認知された名称やドメイン等とは異なる販促表現を入力することが編集基準上制限されています。
原因10:広告対象の商品・サービス自体に制限がある
「文章をどう直しても通らない」という場合、商品カテゴリそのものを確認してください。
広告媒体では、
- 医薬品・医療
- 金融
- ギャンブル
- アルコール
- 政治関連
- 成人向けコンテンツ
などについて、禁止・制限・認証・地域条件が設定されている場合があります。
たとえばGoogle Adsでは、ヘルスケア・医薬品の一部について地域別の制限や広告主認証等を設けています。
この場合、コピーの言い換えだけでは解決しません。
自社商材がどの制限カテゴリに該当するか、対象地域で配信可能か、必要な認証があるかを確認します。
原因11:ターゲティング設定が制限に触れている
広告そのものではなく、「誰を対象にするか」に制限がかかる場合もあります。
Google Adsのパーソナライズド広告では、健康、政治的所属、宗教、性的指向、ネガティブな財務状況など複数のセンシティブなカテゴリについて、広告主が作成したオーディエンス等の利用を制限しています。
2026年6月には、Demand Gen等を含むセンシティブカテゴリのターゲティングについて、配信への影響を明確化するポリシー更新も公表されています。
つまり、
「広告文を何度直しても問題が解消しない」
場合には、キャンペーンのターゲティング設定まで確認する必要があります。
生成AIで作った広告が審査に落ちる理由
生成AIを利用したこと自体を理由に、すべての広告が審査に落ちるわけではありません。
重要なのは生成された成果物です。
AIによって制作数が増えるほど、次のような問題が混入しやすくなります。
- 実際の商品にはない機能を書く
- 存在しない実績数値を生成する
- 誇張した効果表現を作る
- ブランド名を間違える
- 画像内の商品形状が実物と違う
- 既存ブランド・人物に似た素材を生成する
- 広告とLPで内容がずれる
- 大量生成によって人間の確認が追いつかない
インティメート・マージャーの過去セミナーでも、生成AI広告・PRについて、他人の作品との酷似、権利者からの指摘、ユーザーが感じる違和感などのリスクが扱われています。
また、広告制作機能が広告管理画面側へ統合されるほど、人間側は「誰に何をどう伝えるか」という訴求軸、商品表現、ブランド整合、公開基準を持つ必要があるという実務整理もプロジェクト内にあります。
AIで制作速度を上げるなら、同時に審査前チェックの速度も上げる必要があります。
広告審査に落ちたときの修正手順
不承認理由を正確に確認する
最初に、媒体側に表示されているポリシーラベルを確認します。
Google Adsでは、広告・アセットの「ポリシーの詳細」から不承認理由を確認できます。
「たぶんこの表現だろう」と推測して修正しないことが重要です。
問題箇所のレイヤーを特定する
次のどこが問題かを分けます。
- 広告文
- 画像
- 動画
- 価格・条件
- LP
- URL
- ターゲティング
- 商品カテゴリ
- アカウント
広告とLPを並べて確認する
広告だけを見るのではなく、LPとセットで確認します。
| 広告 | LP | 確認 |
|---|---|---|
| 無料 | 有料条件あり | 無料範囲を明確化 |
| No.1 | 根拠なし | 根拠掲載または表現変更 |
| 期間限定 | 終了日なし | 期間を明示 |
| 特定サービス | 会社トップ | 関連性の高いページへ変更 |
単なる言い換えではなく意味を修正する
「絶対」を「ほぼ確実」へ変更するだけでは、本質的な意味が変わっていない場合があります。
審査で問題になっているのが「成果保証」であれば、保証のニュアンスそのものを取り除き、機能・支援内容・確認できる実績へ戻します。
同じ表現を使っている広告を横断確認する
一つの広告だけ直しても、別の広告・アセット・LPで同じ表現が残っている場合があります。
- 広告文
- 画像内テキスト
- 動画字幕
- サイトリンク
- LP
- 資料
を検索して確認します。
修正後に再審査する
Google Adsでは、広告をポリシーに合わせて修正した場合、再度審査対象となります。誤判定と考える場合にはPolicy Manager等から異議申し立てを行えます。
Metaでも、不承認広告について修正した新しい広告を作成するか、判断が誤っていると考える場合は再審査を依頼できると案内しています。
2026年7月からGoogle広告の異議申し立てにも変更
Googleは2026年7月21日から、ポリシー判断から6か月を超えた案件について、Google Adsアカウント内から直接異議申し立てを行う機能を利用できなくすると案内しています。古い案件についてはサポートへの問い合わせが必要になります。
そのため、不承認案件について、
- いつ不承認になったか
- 何のポリシーだったか
- どこを修正したか
- 異議申し立てをしたか
- 最終的に承認されたか
を記録しておく重要性が高まっています。
何度も審査落ちする場合は「個別修正」から「ルール化」へ
同じ種類の不承認が繰り返される場合、担当者の注意力だけでは解決しにくくなります。
組織のルールへ変えます。
IMデジタルマーケティングニュースの運用関連データでも、「差し戻し地獄」を止めるにはAIによる自動判定そのものより、判断基準を共有する設計が重要というテーマへの関心が確認されています。
審査ナレッジとして残す項目
| 項目 | 残す内容 |
|---|---|
| 媒体 | どの広告媒体か |
| 不承認理由 | 媒体上のポリシー名称 |
| 元の表現 | 不承認時のコピー・画像 |
| 問題箇所 | 広告、LP、URL、ターゲティング等 |
| 修正内容 | どのように変更したか |
| 再審査結果 | 承認・再不承認 |
| 判断基準 | 今後同じケースでどう判断するか |
「NG表現リスト」だけでは差し戻しを防げない
広告審査対策として、「使ってはいけない単語一覧」を作りたくなることがあります。
しかし、実務ではそれだけでは不十分です。
たとえば「No.1」は、文字列そのものが一律禁止なのではなく、根拠や表示方法が重要です。
「無料」も、実際に条件どおり無料なら使える場合があります。
そのため、社内ガイドでは、
| 禁止語中心 | 判断基準中心 |
|---|---|
| 「絶対」は禁止 | 結果を保証する意味になっていないか確認する |
| 「No.1」は禁止 | 合理的な比較根拠を説明できるか確認する |
| 「無料」は禁止 | 無料範囲と条件が広告・LPで明確か確認する |
| 「最大」は禁止 | 最大値の条件と根拠を説明できるか確認する |
という形に変えるほうが実務的です。
「禁止」だけから入ると広告表現が必要以上に弱くなるため、何が確認できれば使えるのかというガードレールまで共有します。
広告主・代理店・法務のチェック範囲を決める
広告審査の差し戻しでは、「誰が確認するのか」が曖昧なケースもあります。
| 担当 | 主な確認 |
|---|---|
| 広告運用 | 媒体ポリシー、URL、入稿仕様 |
| 制作 | コピー、画像、商品情報との一致 |
| マーケティング | 訴求根拠、価格、キャンペーン条件 |
| 法務 | 法令・第三者権利等の専門判断 |
| ブランド担当 | ブランド整合・表現基準 |
| 最終承認者 | 公開判断 |
プロジェクト内の運用資料でも、媒体担当、制作、ブランド、法務などが関わる場合、AIで制作が速くなっても、誰がどの段階でレビューし、何をもって公開可否を決めるかを明文化する必要性が整理されています。
広告審査のおすすめ運用フロー
- 企画段階で商品カテゴリ・配信地域を確認する
- 訴求軸を決める
- 効果・実績・価格表現の根拠を確認する
- 広告コピー・画像を制作する
- 広告とLPの整合性を確認する
- 媒体ポリシーの一次チェックを行う
- 必要な広告は法務・ブランド確認を行う
- 入稿・媒体審査へ進む
- 不承認理由を記録する
- 修正し再審査する
- 承認された判断基準を社内ナレッジへ戻す
広告制作を「制作→審査→差し戻し」の直線ではなく、審査結果から次の制作ルールを更新する改善サイクルとして考えます。
広告審査落ちを減らす公開前チェックリスト
広告表現
- 成果を保証する表現になっていない
- 商品・サービスの内容を正確に説明している
- 比較表現の対象・根拠が明確である
- No.1・最大・最高等の根拠を確認している
- 顧客事例を全顧客の成果のように一般化していない
- センセーショナルな煽りに依存していない
価格・キャンペーン
- 表示価格が最新である
- 「無料」の対象範囲を確認している
- 割引条件を確認している
- キャンペーン終了日を確認している
- 広告とLPの条件が一致している
広告フォーマット
- 誤字・不自然な文章がない
- 記号を過剰に使用していない
- 不必要な単語の繰り返しがない
- ビジネス名欄へ販促コピーを入れていない
- 画像が鮮明で文字を読める
- 動画・画像に誤った商品情報が含まれていない
LP・URL
- LPへ正常にアクセスできる
- 広告用クローラーがアクセスできる
- 広告の商品・サービスがLP上ですぐ確認できる
- 広告とLPの価格・条件・実績が一致している
- 意図しないリダイレクトがない
- モバイル環境でも確認している
- ユーザー操作を妨げるページ設計になっていない
商品・ターゲティング
- 禁止・制限カテゴリに該当しないか確認している
- 地域別の制限を確認している
- 必要な認証があるか確認している
- センシティブカテゴリのターゲティング制限を確認している
生成AI
- AI生成コピーを人間が確認している
- 事実ではない実績が生成されていない
- 商品を誤って描写していない
- 既存ブランド・人物等に不自然に似ていない
- 画像内文字も確認している
- AI生成素材とLPの内容が一致している
運用
- 過去の不承認理由を確認している
- 同じNGを別広告で繰り返していない
- 最終承認者が決まっている
- 媒体・法務・ブランドの確認範囲が決まっている
- 修正履歴を残している
- 承認された表現を再利用できる状態にしている
まとめ:広告審査に落ちたら「言葉探し」より原因の切り分けから始める
広告審査に落ちたとき、焦ってコピーを何度も言い換えたくなるかもしれません。
しかし、原因がLPやURL、商品カテゴリ、ターゲティングにあるなら、広告文をいくら修正しても解決しません。
まず、媒体が示している不承認理由を確認します。
次に、
- 表現
- クリエイティブ
- 価格・条件
- LP
- URL
- ターゲティング
- 商品カテゴリ
のどこに原因があるかを切り分けます。
そして、「この単語がNGだった」と覚えるのではなく、なぜその表現・設定が問題になったのかを記録します。
2026年4月に改定された国内インターネット広告の掲載基準ガイドラインでも、広告審査は広告本文だけの問題ではなく、広告主体、リンク先、第三者の権利、法令等で表現が制約される広告まで含む広い実務領域として整理されています。
また、Metaでも広告審査はテキストだけではなく画像、動画、ターゲティング情報、遷移先まで確認対象とされています。
さらに生成AIによって広告制作量が増えるほど、すべてを制作後に法務や媒体審査へ丸投げする方法は回りにくくなります。
インティメート・マージャーの一次情報でも、AIで広告制作を効率化するときほど、訴求軸、ブランド整合、商品表現、承認ルール、差し戻し基準を人間側で設計する必要性が整理されています。
審査落ちを完全になくすことは難しくても、同じ差し戻しを繰り返さない体制は作れます。
まず、直近の不承認広告を一つ選び、
「不承認理由」「原因箇所」「修正内容」「再審査結果」
を一枚の表にしてみてください。
その記録が10件、20件と増えれば、自社独自の広告審査ナレッジになります。
広告審査対策とは、NGワードを覚えることではありません。媒体が何を問題としているかを理解し、広告・LP・運用フローを修正し、次の制作へ判断基準を戻すことです。
広告制作は速くなったのに、審査・法務確認で公開が止まっている方へ
インティメート・マージャーでは、広告運用、生成AI、広告表現、法務・プライバシー、データ活用などをテーマとしたセミナー・ウェビナー情報を掲載しています。
「同じ表現の差し戻しを繰り返している」「広告担当・代理店・法務のチェック範囲を整理したい」という方は、最新のセミナー情報やアーカイブ・開催レポートをご確認ください。
広告審査に関するよくある質問
広告審査に落ちる主な原因は何ですか?
誤解を招く効果・価格表現、広告とLPの不一致、編集基準、画像品質、URL・LPの技術的問題、禁止・制限カテゴリ、ターゲティング制限などがあります。広告文だけでなく遷移先や設定まで確認してください。
「絶対」「No.1」は広告で使えませんか?
文字列だけで一律に判断することは適切ではありません。「絶対」は結果保証になる文脈に注意が必要で、No.1表示では合理的な根拠や比較条件を確認する必要があります。媒体ポリシーに加えて景品表示法等も確認してください。
広告文を直しても審査に通らないのはなぜですか?
原因がLP、URL、商品カテゴリ、ターゲティング、広告主情報など広告文以外にある可能性があります。媒体が示すポリシー詳細を確認し、問題箇所を切り分けることが重要です。
広告審査に通れば法律上も問題ありませんか?
媒体審査と法律上の確認は別です。媒体審査通過が景品表示法や著作権等への適合を保証するわけではありません。必要に応じて法務担当者や専門家へ確認してください。
生成AIで作った広告は審査に落ちやすいですか?
生成AIを使ったことだけで一律に審査落ちするとは言えません。ただし、誤った商品情報、誇張表現、既存作品との類似、広告とLPの不整合などが生成物へ混入する可能性があるため、人間による最終確認が重要です。
広告審査に落ちたら再審査できますか?
媒体によって手順は異なります。Google Adsでは不承認理由を確認し、修正後の再審査や、判断が誤っていると考える場合の異議申し立てが可能です。2026年7月21日以降は、6か月を超えた過去のポリシー判断についてアカウント内から直接異議申し立てできない運用へ変更されています。
広告審査の差し戻しを減らすにはどうすればよいですか?
過去の不承認理由、元表現、修正内容、再審査結果を記録し、自社の判断基準として蓄積します。また、制作・広告運用・法務・ブランド担当の確認範囲と最終承認者を事前に決めることが有効です。

「IMデジタルマーケティングニュース」編集者として、最新のトレンドやテクニックを分かりやすく解説しています。業界の変化に対応し、読者の成功をサポートする記事をお届けしています。


