クッキーレス時代の広告革命:Criteoの多面的アドレサビリティ戦略に迫る

Cookie規制・プライバシー関連
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こんにちは、株式会社インティメート・マージャーのデジタルマーケティング担当です。今回は、クッキーレス時代に向けた広告業界の動向と、その中でも特に注目を集めているあるアドテクノロジー企業の戦略についてお話ししたいと思います。

クッキーレス時代とは?

まず、クッキーレス時代について簡単に説明しましょう。クッキーとは、ウェブサイトを訪問した際にブラウザに保存される小さなテキストファイルのことで、ユーザーの行動履歴や嗜好性などの情報を収集するために広く利用されてきました。しかし、プライバシー保護の観点から、近年ではクッキーの使用が制限される傾向にあります。特に、2025年早期にGoogleが提供するChromeブラウザでサードパーティクッキーが廃止される予定であり、これによって広告業界は大きな影響を受けると予想されています。

サードパーティクッキーとは、広告主や広告配信事業者などの第三者が、ユーザーの行動履歴を追跡するために利用するクッキーのことを指します。一方、ファーストパーティクッキーは、ウェブサイト運営者自身が利用するクッキーで、ユーザーのログイン情報や言語設定などを保存するために使用されます。サードパーティクッキーの廃止は、広告のパーソナライズや効果測定に大きな影響を与えると考えられています。

Criteoの多面的アドレサビリティ戦略

このような状況の中、フランスに本社を置くアドテクノロジー企業であるCriteoは、クッキーレス時代に向けた独自の戦略を打ち出しています。それが「多面的アドレサビリティ(Multidimensional Addressability)」と呼ばれるアプローチです。

多面的アドレサビリティとは、複数の識別子を組み合わせることで、クッキーに依存せずにユーザーを特定し、パーソナライズされた広告を配信する手法のことを指します。具体的には、以下のような識別子を活用します。

  • ハッシュ化されたメールアドレス
  • デバイスID
  • 位置情報
  • 購買履歴
  • インタレストグラフ(ユーザーの興味関心を表すグラフデータ)

これらの識別子を組み合わせることで、クッキーがなくてもユーザーを特定し、適切な広告を配信することが可能になります。Criteoは、自社の膨大なデータアセットを活用し、機械学習によってユーザーの行動パターンを分析することで、高度にパーソナライズされた広告配信を実現しています。

プライバシーサンドボックスとの連携

また、Criteoは、Googleが提唱するプライバシーサンドボックス(Privacy Sandbox)とも連携しています。プライバシーサンドボックスとは、クッキーに代わる新しい技術の総称で、ユーザーのプライバシーを保護しつつ、広告のパーソナライズや効果測定を可能にすることを目的としています。

具体的には、以下のような技術が含まれます。

  • Topics:ユーザーの興味に基づいたターゲティングを提供するプライバシー重視の広告配信技術
  • FLEDGE:ブラウザ上で広告オークションを実行することで、ユーザーのプライバシーを保護しつつ、リアルタイムの入札を可能にする技術
  • Attribution Reporting:広告のコンバージョンを測定するための新しい仕組み

Criteoは、これらの技術を自社のプラットフォームに取り入れることで、クッキーレス時代においても効果的な広告配信を実現しようとしています。

ID統合プラットフォーム「Criteo ID Graph」

さらに、Criteoは、自社の強みであるID統合プラットフォーム「Criteo ID Graph」を活用することで、多面的アドレサビリティをさらに強化しています。Criteo ID Graphは、複数のデバイスやチャネルにまたがるユーザーの行動データを統合し、単一のIDに紐付けることで、よりシームレスなクロスデバイス広告配信を可能にします。

Criteo ID Graphは、以下のような特徴を持っています。

  • 2兆を超えるコマースデータに基づく高度なユーザープロファイリング
  • 96%以上の精度でのクロスデバイスマッチング
  • プライバシー保護に配慮したデータ管理

これにより、広告主は、ユーザーのカスタマージャーニー全体を通して、一貫性のあるパーソナライズされた広告体験を提供することが可能になります。

まとめ

クッキーレス時代を迎え、広告業界は大きな変革期を迎えています。その中で、Criteoは、多面的アドレサビリティという独自のアプローチにより、新しい広告の在り方を提示しています。複数の識別子を組み合わせ、機械学習によってユーザーの行動パターンを分析することで、高度にパーソナライズされた広告配信を実現するCriteoの戦略は、今後の広告業界の方向性を示唆するものと言えるでしょう。

また、プライバシーサンドボックスとの連携や、ID統合プラットフォーム「Criteo ID Graph」の活用により、Criteoは、クッキーレス時代においても、効果的な広告配信を実現するための基盤を着実に構築しています。

広告主にとって、クッキーレス時代への対応は喫緊の課題です。Criteoのような先進的なアドテクノロジー企業の動向を注視しつつ、自社のマーケティング戦略を見直していくことが求められます。多面的アドレサビリティを始めとする新しい技術を積極的に取り入れ、ユーザーのプライバシーに配慮しつつ、効果的な広告配信を実現していくことが、これからの時代を生き抜くための鍵となるでしょう。