【統合運用できる?】TVer連携/テレデジの現在地:動画広告を一気通貫で回す
テレビ・配信動画・デジタルを「別々にうまく回す」だけでは、成果も学習も頭打ちになりがちです。
本記事では、TVerを含む配信動画を軸に、共通指標・共通運用・共通レビューでつなぐ「テレデジ統合運用」の実務像を、マーケ担当者向けに整理します。
難しい言葉は最小限にしつつ、炎上しにくい進め方・設計のコツまで踏み込みます。
イントロダクション
統合運用が“必要になってきた”背景
動画の接触は、放送・配信・SNS・コネクテッドTVなどへ分散し、同じ生活者が複数の面で同じブランドに出会う機会が増えました。
ところが運用側は、テレビはテレビ、デジタルはデジタルで「別の目標」「別の会議」「別の成功定義」のまま進むことが少なくありません。
その結果、現場では次のような“あるある”が起きます。
- リーチを広げたいのに、実際は同じ層への重なりが増えて伸び悩む
- 配信は改善しているのに、事業側から見ると説明が難しい
- 媒体最適化が進むほど、体験が崩れてCXにしわ寄せが出る
- 改善が“担当者の腕”に依存し、引き継ぎで再現できない
統合運用の狙いは、テレビとデジタルの優劣を決めることではありません。
「同じ成果定義で、異なる強みを組み合わせる」ことで、意思決定の精度を上げることです。
TVer連携が“現実的な入口”になりやすい理由
TVerはテレビ由来のプレミアムコンテンツの文脈を持ちつつ、運用・レポートの考え方はデジタルに近い側面があります。
さらに、TVerに紐づくOTT広告の買い付けをプログラマティックに扱えるマーケットプレイス(TVer PMP)の考え方もあり、 「TVとデジタルの橋渡し」として設計しやすいケースがあります。
概要
用語をざっくり整理:TVer連携/テレデジ/統合運用
ここで扱う用語は、細かい定義より「実務で困らない」ことを優先します。
| 用語 | 本記事での意味 | 現場で起きやすい誤解 |
|---|---|---|
| TVer連携 | TVer(および関連するOTT在庫)を、デジタル運用の枠組みの中で扱い、他チャネルと合わせて運用設計すること。 「買い付け」「クリエイティブ」「指標」「レポート」の接続を意識します。 |
“媒体を追加しただけ”で統合した気になる |
| テレデジ | テレビとデジタルを横断して、共通の指標やレビューで運用する考え方。 実装例として、Reach & Frequencyを共通指標として統合運用を支援する枠組みが紹介されています。 |
テレビ予算とデジタル予算を“足し算”する話だと思う |
| 統合運用 | KPI設計、会議体、意思決定ルール、データ品質を揃え、改善サイクルを一つにすること。 ツール統合の有無に関わらず成立します。 |
ツールを変えないと無理、と最初から諦める |
TVer PMPは何を“簡単にする”のか
TVer PMPは、TVerと放送局側の動画配信サービス等が連携して提供する、OTT広告のマーケットプレイスとして説明されています。
これにより、接続されたDSPを通じてプレミアムなインストリーム在庫へアクセスしやすくなり、買い付け側の作業負荷を抑えながら横断的に配信しやすい、という文脈が作られます。
Tele-Digi(テレデジ)系ソリューションが示す“運用の型”
テレデジ統合運用を支援する枠組みとして、共通指標(例:Reach & Frequency)での統合運用、分析(Analytics)とライブモニタリング(Monitoring)を通じた運用最適化、といった方向性が示されています。
重要なのは固有名詞より、「共通指標+モニタリング+運用判断」という“型”です。
この型を自社運用に落とすと、統合運用の議論が一気に進みやすくなります。
利点
統合運用で得られるメリット(現場目線)
目的・優先KPI・守りのKPIが同じになるので、会議で迷子になりにくい。
媒体ごとの改善が、全体の成果にどう寄与したかを説明しやすい。
統合のReach & Frequencyや重なりを前提に、過不足を判断しやすい。
次回の配分・クリエイティブ方針を、同じ学習ループで更新できる。
広告効果だけでなく、運用品質が上がる
統合運用を始めると、効果の議論と同じくらい大きいのが「運用品質の底上げ」です。
具体的には、次の項目が“標準化”されやすくなります。
- 命名規則(キャンペーン・クリエイティブ・期間)
- 変更履歴(いつ、誰が、何を、なぜ変えたか)
- レビューの観点(良し悪しの基準)
- 例外対応(障害・欠損・配信停止の判断基準)
「属人運用の上振れ」を狙うより、“事故りにくい平均点”を上げる方が、継続的には強いです。
テレデジは、その“平均点”を上げる設計だと捉えると導入しやすくなります。
TVer周辺で進む“効果の可視化”の流れ
TVer側でも、広告価値の可視化(効果測定の拡充)に取り組む姿勢が語られており、 運用者側が「説明できる」設計を持つ重要性は増しています。
応用方法
よくある活用シナリオ
統合運用は、いきなり“全部を統合”する必要はありません。まずは勝ち筋が出やすいシナリオから始めるのが現実的です。
| シナリオ | 狙い | 統合運用のコツ |
|---|---|---|
| 新商品・新サービス (認知→理解) |
短期間で“知っている”状態を増やす | クリエイティブを「導入」「根拠」「次の行動」に分け、接触順を崩さない。 統合R&Fの見方を会議体で揃える。 |
| 既存ブランドの再活性 (想起→指名) |
思い出してもらう頻度を整える | “やりすぎ”防止の守りKPI(頻度・離脱・苦情トレンド)を先に決める。 |
| 販売期日がある施策 (需要喚起→検討) |
波を作り、取りこぼしを減らす | 期間を「盛り上げ」「刈り取り」「追いかけ」に分け、配分判断のルールを固定する。 |
| テレビCM併用 (重複接触の設計) |
相乗効果を狙う | “重複は良い/悪い”を決め打ちせず、目的別に許容範囲を設定する。 テレビ視聴データを活用するDSPの考え方もある。 |
クリエイティブを“媒体別”から“役割別”へ
一気通貫で回すとき、最初に効くのが「クリエイティブの役割分担」です。
媒体ごとに作るのではなく、役割ごとに作って、各面へ配る考え方に寄せます。
- 📣 導入(フック):何の話か、誰の課題かを短く伝える
- 🧩 理解(根拠):なぜ今それが必要か、誤解をほどく
- ✅ 判断(比較):選ぶ理由・導入障壁の解消
- 🧭 次の行動:問い合わせ、資料、店舗、指名などの次の一歩
「同じ動画を全てに流す」は統合ではなく“横流し”になりがちです。
統合運用は、役割に合わせて接触を設計し、その上で統合指標で見直す運用です。
導入方法
導入の全体像(やることを“並べ替える”)
統合運用は、新しい施策を増やすというより、既にある作業を「成果に直結する順番」に並べ替えるイメージです。
“見るべき指標”を先に決め、会議の迷子を減らす。
命名・粒度・欠損対応を揃えて、比較可能にする。
変更条件・例外対応・停止判断を標準化する。
短周期で見直し、次回学習へつなぐ。
統合KPIの作り方:攻めと守りをセットにする
統合KPIは、媒体の癖をならすためにあります。だからこそ、攻めの指標だけでなく、 CXを守る指標(負の指標)をセットにします。
| カテゴリ | 統合で見たい“共通視点” | 守りの視点(やりすぎ防止) |
|---|---|---|
| 到達 | リーチ/接触の広がり、重なり、到達の偏り | 特定層への偏在(同じ人に寄りすぎ) |
| 接触 | 頻度、接触順、視聴態度の仮説(完了だけに寄せない) | 頻度の過剰、体感の悪化、苦情・離脱傾向 |
| 反応 | 指名・検索・サイト内行動など“次の行動”の増減 | クリック誘導に寄りすぎて質が落ちる |
| 事業 | 問い合わせ品質、商談化、購買など(可能な範囲で) | 短期だけで判断して中長期の種を削る |
TVerを含む配信動画の買い付け設計:まず“在庫の性格”を揃える
TVerに関しては、TVer PMPを介して外部DSPと接続し、放送局連携のプレミアムコンテンツへ広告配信できる、という説明があります。
ここで大切なのは「どのDSPで買うか」よりも、在庫の性格を運用前に揃えることです。
- 📺 視聴環境:音あり前提か、ながら視聴が多いか
- 🧷 ブランド保護:配信面の品質基準・除外方針
- 🧠 ターゲットの作り方:属性・興味関心・視聴データ・文脈の使い分け
- 🔁 頻度設計:チャネル横断で“やりすぎ”を抑える仕組み
統合レビュー会議の“型”を作る(揉めないための運用設計)
統合運用がうまくいかない最大の理由は、データではなく会議体の設計です。
会議は「報告」ではなく「意思決定の場」と割り切って、見る順番を固定します。
| 見る順番 | 確認すること | 決めること |
|---|---|---|
| 守り 🛡️ | 頻度の過剰、偏り、体験の悪化兆候 | 止める/抑える/例外運用の判断 |
| 到達 📍 | 狙った層へ広がっているか、重なりは許容か | 配分の調整、ターゲット定義の見直し |
| 接触 🎬 | 役割別クリエイティブが機能しているか | 差し替え・順序・訴求の整理 |
| 反応/事業 🧾 | 次の行動・質の変化、説明の一貫性 | 次回の学習テーマ(仮説)を確定 |
“統合”は、データを一つにすることではなく、判断を一つにすること。
そのために会議体を設計し、議論の順番を固定します。
導入チェックリスト(今日から使える実務版)
| 領域 | チェック項目 | よくある落とし穴 |
|---|---|---|
| 指標 | ・共通KPI(到達/接触/反応/事業)を定義 ・守りのKPIを先に決める(頻度・偏り・体験) ・媒体別KPIは“補助線”として扱う |
媒体別の成功が衝突して、会議が感想戦になる |
| データ | ・命名規則(媒体横断) ・変更履歴(理由つき) ・欠損/遅延時の代替指標と扱い方 |
ダッシュボードが“正しそう”でも比較できない |
| 運用 | ・いつ何を変えるか(変更条件) ・停止判断の基準(守りKPI起点) ・例外対応(障害・在庫揺れ)を文章化 |
気分で動かして再現性が消える |
| 組織 | ・オーナー(最終意思決定者)を明確化 ・TV/デジタルの役割を“成果ベース”に再定義 ・レビュー会議の議題と順番を固定 |
全員が責任者になり、誰も決めない |
未来展望
統合運用は「配信」から「意思決定基盤」へ
テレデジの方向性は、単に出稿実績をまとめるだけでなく、共通指標でのモニタリングや分析を通じて、期間中に運用判断を回すことに寄っていきます。
実務的に言うと、「配信担当が頑張って調整する」から、「基盤が判断を支える」へ移行する流れです。
そのとき重要になるのは、モデルや最適化ロジックよりも、まずデータの整合性とレビュー設計です。
ストリーミング広告の“到達”を扱う技術が進む
配信動画では、到達(リーチ)と頻度の関係をどう予測し、どう最適化するかが重要テーマになります。
たとえばTVerの技術ブログでは、ストリーミング広告におけるリーチカーブ予測の試行や改善の考え方が共有されています。
こうした取り組みが一般化すると、統合運用は「結果を見る」だけでなく、「計画段階で無理のない到達設計をする」方向へ進みます。
ただし、現場で先にやるべきは、予測の導入よりも“予測を信じられる運用品質”を整えることです。
効果の可視化は“説明できる指標”へ寄っていく
TVer側でも広告価値の可視化に取り組む姿勢が語られています。 ここから先、現場が求められるのは「良かった」の主観ではなく、合意できる指標設計と説明の筋です。
まとめ
TVer連携/テレデジ統合運用は、「媒体を増やす話」ではなく、意思決定を強くする話です。
成果が伸びる会社ほど、派手なテクニックよりも、共通指標・運用ルール・レビュー設計の“地味な整備”が効いています。
今日から押さえる要点(チェック)
- ✅ 統合KPIは攻め+守りでセット化する
- ✅ 会議は報告ではなく判断の場にする(順番を固定)
- ✅ クリエイティブは媒体別ではなく役割別に分ける
- ✅ 欠損・遅延・障害のときの例外ルールを文章化する
- ✅ “ツール統合”より先に、比較可能な運用品質を作る
FAQ
統合運用は、ツールを変えないと始められませんか?
「共通KPI」「会議の型」「変更条件」「命名規則」を揃えるだけでも、統合の効果が出やすくなります。
ツール連携は、その次の効率化として検討するのが安全です。
TVer連携は“何から”始めるのが現実的ですか?
TVer PMPを通じた買い付けの考え方もありますが、最初は買い方よりも「在庫の性格」と「頻度設計」を揃える方が失敗しにくいです。
“重複接触”は良いことですか?悪いことですか?
認知・想起を狙う局面では重複が効くこともありますし、体験の悪化や反発につながる場合もあります。
目的ごとに「許容する重複」と「抑える重複」を決め、守りのKPI(頻度・偏り・離脱兆候)で監視するのが実務的です。
統合KPIは何を最初の“共通指標”にすると進みやすいですか?
テレデジ統合運用の支援枠組みでも、統合Reach & Frequencyを指標とする方向性が紹介されています。
運用が荒れて“炎上”しやすいポイントはどこですか?
「いつ何を変えるか」「止める判断」「例外対応(欠損・遅延・障害)」を文章化し、レビュー会議の順番を固定すると、揉め事が減りやすくなります。
効果の可視化は、今後どう進みそうですか?
小規模でも統合運用は意味がありますか?
いきなり全部統合せず、まずは「同じKPIで見て、同じ場で決める」から始めると効果が出やすいです。

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