クッキー規制とシフトすべきマーケティング戦略
デジタル広告の世界では、クッキー規制への対応が喫緊の課題となっています。サードパーティークッキーが使えなくなることで、ウェブ上のユーザートラッキングやターゲティング広告配信にも影響が出ています。そんな中、デジタルマーケティングはどのように変化していくべきなのでしょうか。
先日、株式会社インティメート・マージャーと株式会社OPTEMOの共催で、「今更聞けないクッキー規制とシフトすべきマーケ戦略」と題したセミナーが開催されました。インティメート・マージャー デジタルマーケティング担当者の視点から、セミナーの内容をまとめてご紹介します。
共催企業の紹介
まず、セミナーを共催した2社について簡単にご説明しましょう。
インティメート・マージャーは、データマネジメントプラットフォーム(DMP)の開発・運用を行う会社です。サードパーティークッキーを活用したターゲティング広告やデータ分析を得意としてきました。近年はクッキーに依存しない新たなソリューション開発にも注力しています。
一方、OPTEMOはウェブサイト上で企業とユーザーのコミュニケーションを可能にするツールを提供するスタートアップです。ファーストパーティーデータを活用し、リアルタイムでユーザーの行動を可視化、最適なタイミングでの対話を促す機能を持っています。
クッキー規制が広告に与える影響
インティメート・マージャー社によると、日本ではすでにサードパーティークッキーが取得できないブラウザからのアクセスが6割に達しているとのこと。結果として広告効果の低下を感じている企業も増えてきています。
特に影響が大きいのはウェブメディアの運営者です。サードパーティークッキーの規制によって広告表示の単価が下落。海外の事例では、広告収入が60%減という例もあるそうです。
一方、広告主側は、CPM(広告1000回表示あたりの単価)が下がることで、同じ予算でより多くの広告を配信できるようになります。ただし、ターゲティングの精度が落ちるため、クリック率やコンバージョン率への影響は避けられません。
ファーストパーティーデータの活用がカギに
クッキー規制下でも成果を上げるには、自社で取得したファーストパーティーデータをいかに活用するかがポイントになります。OPTEMO社は次のように述べています。
サードパーティークッキーに頼れなくなる中、自社サイトに来訪したユーザーの行動履歴といった、これまで十分に活用できていなかったファーストパーティーデータの重要性が高まっています。OPTEMOのツールを使えば、そうしたデータを分析し、最適なコミュニケーションにつなげることができます。
実際にOPTEMOを導入した企業の中には、ウェブサイト経由の商談獲得数が160%に向上したという事例もあるとのことです。
オウンドメディアの強化とマーケティングミックスの見直しを
インティメート・マージャー社は、自社メディアの強化と、マーケティング施策のミックス見直しを提案します。
クッキー規制をきっかけに、多くの企業がウェブ広告以外の施策にも目を向け始めています。自社メディアやウェブ接客ツールへの投資、MAツールとの連携など、これまで手薄だった部分を改善することで、トータルでのマーケティング効果を高めていくことが重要です。
また、広告効果の測定が難しくなる中では、各施策の費用対効果を横並びで見直し、最適な予算配分を探っていく必要があるでしょう。
まとめ
クッキー規制によって、デジタルマーケティングは新たな局面を迎えています。サードパーティーデータへの依存から脱却し、自社で取得したファーストパーティーデータを最大限に活用していくことが求められます。
同時に、ウェブ広告だけでなく、オウンドメディアやオフラインも含めた統合的なマーケティング戦略を構築することが肝要です。変化の中で、自社に合った新しい手法を柔軟に取り入れていくことが、これからのマーケターに問われる力だと言えるでしょう。