マーケティングミックスモデリング（MMM）の適用業種とその効果的な活用方法

ビジネスフレームワーク・マーケティング戦略

2024.09.192024.11.12

株式会社インティメート・マージャー代表取締役社長。
インティメート・マージャーでアドテクノロジーの事業領域で収集したオルタナティブデータを他の事業領域でも活用していく取り組みにトライしています。

この記事の中ではオルタナティブデータのセールステック領域での活用（インテントデータ）、小売領域での活用（リテールデータ）、金融領域での活用（クレジットスコア）、リサーチ用のデータ（インサイトデータ）などでの活用事例や海外での事例をご紹介させていただいています。

もしも、アライアンス・データ連携などに興味がある方はお気軽にメール下さい。

MMMはどのような業種に適しているか？

MMMはどのような業種に適しているか？

はじめに

マーケティングミックスモデリング（MMM）は、企業がマーケティング活動の効果を理解し、最適化するための強力なツールです。MMMは、さまざまなマーケティング活動が売上やその他の主要業績評価指標（KPI）にどのように影響するかを定量化します。

MMMとは？

MMMは、統計分析手法を用いて、過去の売上データやマーケティング活動のデータ、外部要因などを組み合わせて分析し、それぞれの要素が売上にどれだけの影響を与えたのかを明らかにする分析手法です。この分析結果に基づいて、将来のマーケティング計画を最適化したり、予算配分を効率的に行ったりすることができます。 MMMは、従来の広告効果測定手法とは異なり、ユーザーレベルの行動追跡に依存しないため、近年注目されています。特に、サードパーティCookieの利用規制が強化されている状況下では、プライバシー保護の観点からも有効な手段と言えるでしょう。 MMMでは、一般的に過去2～3年分の週次データを用いますが、日次や時間単位のデータを用いることで、よりリアルタイムに近い分析結果を得ることも可能です。

MMMが特に適している業種

MMMは、十分なデータ量と分析に必要なリソースを持つ企業であれば、ほぼすべての業種で活用できます。しかし、特に以下の業界ではMMMの導入効果が高いと言われています。

消費財（CPG）: 消費財メーカーは、広告、プロモーション、価格設定、流通など、さまざまなマーケティング活動が売上に与える影響を理解するために、MMMを広く利用しています。 MMMは、どのマーケティングチャネルと戦略が最大の投資収益率（ROI）をもたらすかを特定するのに役立ち、リソース配分を戦略的に行うことができます。例えば、ある消費財ブランドは、MMMを使用してテレビ広告とデジタル広告の有効性を比較し、デジタル広告への投資を増やすことで、より高いROIを達成できることを発見しました。
小売業: 小売業者は、MMMを活用して価格戦略、プロモーションの効果、商品の品揃えを最適化しています。 MMMは、顧客の来店数、購入単価、コンバージョン率に影響を与える要因を明らかにすることで、小売業者が収益と利益を向上させるのに役立ちます。例えば、ある小売チェーンは、MMMを使用して特定の商品に対する割引キャンペーンの効果を分析し、最適な割引率とキャンペーン期間を決定しました。
自動車: 自動車メーカーやディーラーは、MMMを使用して、デジタルマーケティング、屋外広告、テレビ広告など、さまざまなメディアを通じて行われるマーケティング活動の成功を評価しています。企業は、販売データとマーケティング支出を組み合わせて分析することで、カスタマージャーニーの中で最も重要なタッチポイントを特定し、メディアミックスを調整することができます。例えば、ある自動車メーカーは、MMMを使用して、テレビ広告がブランド認知度に大きな影響を与え、その後のデジタル広告と販売店への来店を促進することを発見しました。
金融サービス: 銀行、保険会社、金融機関は、顧客獲得、維持、ライフタイムバリューに対するマーケティング活動の影響を測定するために、MMMを利用しています。 MMMを通じて、顧客エンゲージメント、ダイレクトメール、デジタルマーケティング、広告に関するデータを分析することで、金融サービス会社は投資収益率（ROI）を高め、マーケティング予算を最適化することができます。例えば、ある銀行は、MMMを使用して、オンライン広告と支店でのキャンペーンの相乗効果を分析し、顧客獲得コストを削減することに成功しました。
電気通信: 電気通信会社は、加入者の獲得、解約率の抑制、収益増加の要因を理解するためにMMMを活用しています。マーケティング支出と顧客データ（利用パターン、人口統計など）を組み合わせて分析することで、電気通信会社は最も効果的な獲得チャネル、価格戦略、維持戦略を特定し、ビジネスの成功を促進することができます。例えば、ある電気通信会社は、MMMを使用して、特定の顧客セグメントに対するターゲティング広告の効果を分析し、解約率を低下させることに成功しました。

上記以外にも、MMMは以下の様な特徴を持つ業種にも適しています。

長いマーケティング＆セールスサイクル: MMMは、顧客が購入に至るまでに複数のタッチポイントと長い検討期間を必要とする業種に適しています。例えば、B2B企業や高額商品を扱う企業などです。 MMMは、長期的な視点でマーケティング活動の効果を評価することで、より的確な投資判断を支援します。
オンラインとオフラインの両方でマーケティング活動を行っている業種: MMMは、オンライン広告、オフライン広告、PR、営業活動など、さまざまなマーケティング活動を統合的に分析することができます。これにより、オンラインとオフラインの相乗効果を可視化し、最適なマーケティングミックスを設計することができます。
外部環境の影響を受けやすい業種: MMMは、経済状況、競合の活動、季節変動、社会情勢など、マーケティング活動に影響を与える可能性のある外部要因を考慮することができます。これらの要因をモデルに組み込むことで、より精度の高い予測が可能となり、外部環境の変化にも柔軟に対応できるマーケティング戦略を立案できます。