はじめに
デジタルマーケティングの世界では、常に新しい手法やトレンドが生まれています。その中でも近年注目を集めているのが、リテールメディアとブランドコラボレーションの組み合わせです。リテールメディアとは、小売業者が自社の販売チャネルを活用して広告を配信するメディアのことを指します。一方、ブランドコラボレーションは、複数のブランドが協力して商品やサービスを開発・販売することを指します。本記事では、株式会社インティメート・マージャーのデジタルマーケティング担当者の視点から、リテールメディアとブランドコラボレーションの事例を紹介します。これらの事例から、デジタルマーケティング戦略に活かせるヒントを見つけていただければと思います。
リテールメディアとブランドコラボレーションの相乗効果
リテールメディアとブランドコラボレーションを組み合わせることで、以下のような相乗効果が期待できます。
互いのブランド価値の向上
異なる業界や商品カテゴリーのブランドが協力することで、互いのブランドイメージを高め合うことができます。例えば、ファッションブランドと食品ブランドがコラボレーションすることで、ファッションブランドは「ライフスタイル提案力」を、食品ブランドは「トレンド感」を獲得できます。
新たな顧客層の開拓
コラボレーション商品を通じて、互いの顧客層に向けて商品やサービスをアピールできます。自社の顧客層とは異なる属性やニーズを持つ顧客に対して、効果的にリーチできる可能性があります。
話題性の創出
ブランドコラボレーションは、その意外性や新規性から話題を呼びやすいという特徴があります。SNSでの拡散や口コミ効果により、商品やブランドの認知度を高めることができます。これらの効果をリテールメディアで最大限に活用することで、より大きな成果につなげることが可能です。
リテールメディアとブランドコラボレーションの事例
それでれは、実際にリテールメディアとブランドコラボレーションを組み合わせた事例を見ていきましょう。
事例1:コンビニエンスストアA社とスニーカーブランドB社のコラボキャンペーン
コンビニエンスストアA社は、店舗に設置されたデジタルサイネージを活用し、スニーカーブランドB社とのコラボレーションキャンペーンを実施しました。キャンペーンでは、A社の店舗で対象商品を購入した顧客に、B社のオリジナルデザインのノベルティグッズをプレゼント。さらに、A社のアプリ会員向けには、B社の限定スニーカーが当たる抽選キャンペーンも展開されました。店頭のデジタルサイネージでは、B社のスニーカーを履いたモデルが登場するなど、ファッション感度の高い映像コンテンツを配信。若者を中心に話題となり、A社の店舗売上とアプリ登録数の増加につながりました。B社にとっても、普段はリーチしにくい顧客層にアプローチできる貴重な機会となりました。
事例2:総合スーパーC社とコスメブランドD社のデジタルクーポン連動企画
総合スーパーC社は、自社アプリを活用し、コスメブランドD社との連動企画を実施しました。C社のアプリ会員に対し、D社の新商品の購入を促すデジタルクーポンを配信。アプリの行動ログから、美容関心度の高いセグメントを抽出し、ターゲティング配信を行いました。さらに、店舗では、D社の新商品を使用したメイクアップ動画をデジタルサイネージで放映。商品棚には、アプリのクーポン画面を見せると貰えるノベルティを用意するなど、オンラインとオフラインを連動させた販促施策を展開しました。この企画により、C社はアプリの活用度合いを高め、顧客のエンゲージメント向上につなげることができました。D社は、C社の持つ購買データを活用することで、効率的な新商品プロモーションを実現。売上の増加だけでなく、ブランド認知度の向上にも成功しました。
事例3:ドラッグストアチェーンE社と飲料メーカーF社のオリジナル商品開発
ドラッグストアチェーンE社は、自社のPOSデータを分析し、飲料メーカーF社に商品開発を提案しました。分析の結果、E社の顧客は、健康志向が高く、ハーブティーをよく購入していることが判明。そこで、F社と共同で、オリジナルのハーブティーを開発することになりました。E社の店舗とECサイトで販売されたこの商品は、パッケージにE社のロゴを入れるなど、両社のブランドを印象付ける工夫が施されました。また、店頭のデジタルサイネージやECサイトのバナー広告でも、両社のタッグを強調。健康志向の顧客の共感を呼ぶ、ストーリー性のあるプロモーションを展開しました。この取り組みにより、E社はF社の商品開発力を活用し、自社だけでは実現できない独自の商品を提供することができました。F社にとっても、E社の顧客データから新たなニーズを発見し、商品ラインナップの拡充につなげることができました。
まとめ
本記事では、リテールメディアとブランドコラボレーションの組み合わせによる、デジタルマーケティング施策の事例を紹介しました。異業種のブランド同士が協力し合うことで、互いのブランド価値の向上、新たな顧客層の開拓、話題性の創出など、様々な効果が期待できます。リテールメディアは、購買直前の消費者にリーチできる点が強みです。この強みを活かし、ブランドコラボレーションと組み合わせることで、より効果的なマーケティングが可能になります。デジタルサイネージやアプリを活用したオンラインとオフラインの連動施策、POSデータ分析に基づくオリジナル商品の開発など、様々なアプローチが考えられます。デジタルマーケティング担当者の皆さまには、自社の強みを活かしつつ、他社との協業も視野に入れることをおすすめします。リテールメディアとブランドコラボレーションのように、異なる業界の知見やリソースを掛け合わせることで、これまでにない新しい価値を生み出すことができるはずです。
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