Google Tag Managerの新機能、サーバーサイドGTMの解説と設定方法

a close up of a computer motherboard with wires アクセス解析
Photo by Florian Krumm on Unsplash

サーバーサイドGTMとは

サーバーサイドGTMとは、Google Tag Manager(GTM)のサーバーサイドバージョンのことを指します。サーバーサイドGTMは、ウェブサイトに設定された各種タグの動作をサーバーサイドで制御することができる新機能であり、Googleによって2020年に発表されました。タグはウェブサイトに訪れるユーザーの行動を追跡し、分析やマーケティング活動に活用するための仕組みであり、GTMはこれらのタグを一括して管理・運用するツールです。サーバーサイドGTMは、これまでのクライアントサイド(ユーザーのブラウザ側)でのタグ処理をサーバーサイド(ウェブサーバー側)に移し、処理の一部をサーバーで行うことでウェブサイトのパフォーマンス向上やプライバシー保護を可能にします。

サーバーサイドGTMの利点

サーバーサイドGTMの大きな利点は二つあります。一つ目はウェブサイトのパフォーマンス向上です。これまでブラウザ側で行われていたタグの処理をサーバー側に移すことで、ブラウザの負荷を軽減し、ウェブページの表示速度を向上させることが可能になります。これはユーザーエクスペリエンスの向上にも繋がり、コンバージョンレートの向上にも寄与します。二つ目の利点は、ユーザーのプライバシー保護を強化できることです。欧州連合(EU)などの一部の地域では、Cookieによるユーザー追跡が法律により制限されていますが、サーバーサイドGTMによってタグの処理をサーバーで行うことで、ユーザーごとの追跡を最小限に抑えることができます。

サーバーサイドGTMの設定方法

サーバーサイドGTMの設定は主に以下の手順で行われます。まず、Google Cloud Platform(GCP)上にApp Engine環境を構築します。App EngineはGCPのフルマネージド型のアプリケーション開発・実行環境であり、ここが実際のサーバーサイドGTMの運用環境となります。次に、GTMの管理対象ウェブサイトにサーバーサイドGTMのスニペット(一部のコード)を設定します。これがブラウザから送信されるリクエストを適切にサーバーサイドGTMにリダイレクトする役割を果たします。最後に、GTMの管理画面で各種タグの設定を行い、サーバーサイドでの出力を制御します。

サーバーサイドGTMの活用方法

サーバーサイドGTMの活用方法は様々ですが、一つはパーソナライズされたユーザーエクスペリエンスの提供です。例えば、ユーザーの閲覧履歴に基づいた商品推奨などを、ブラウザではなくサーバー側で行うことが可能です。また、プライバシーポリシーの厳格化に対応するための一つの手段としても活用できます。Cookieによるユーザートラッキングが制限される環境でも、サーバーサイドGTMならユーザー行動の一部を無名化して収集し、マーケティング活動に活用することが可能です。さらに、ウェブサイトのパフォーマンス改善の一環としても利用することができます。サーバーサイドでタグの処理を行うことでブラウザの負荷を軽減し、よりスムーズな閲覧環境を提供することができます。