「自分のウェブサイトやECサイトを作ってみたい、でもプログラミングは難しそう…」多くの人が一度はそう考えたことがあるのではないでしょうか。最近のGoogleはGemini 3や画像生成AIのStitchなど、驚異的なスピードで進化を続けていますが、その流れを決定づけるようなツールが登場しました。新時代のAI開発ツール、その名は「Antigravity」。
この記事では、実際にAntigravityを使って「スタバ風のECサイト」をゼロから構築する過程で判明した、特に衝撃的だったポイントを5つに絞って、分かりやすく解説していきます。
衝撃①:AIは「アシスタント」じゃない、もはや「司令官」に従う開発者だ
Antigravityを触って最初に感じたのは、従来の開発支援AIとは根本的に思想が異なるという点です。
その思想は、ツールの名前に見事に表れています。「Antigravity」とは「反重力」のこと。これは、エンジニアにかかるコーディングや実装といった「重たい重力のような負担」をなくす、という哲学が込められています。この名の通り、Antigravityは単なる補助ツールではありません。
これまでのAIツール、例えば「Copilot」はその名の通り、人間を「操縦士」とするならAIは「副操縦士」として、コードの提案や補完といった補助的な役割を担っていました。しかしAntigravityでは、この関係が完全に逆転します。作業の主体はAIであり、人間は「司令官(指揮官)」として「何を作りたいか」を指示するだけ。AIがその指示に従い、自律的に開発を進めていくのです。
アンチグラビティはAIがメインです。なので人間は指揮官ですね。AIがメインで動いていきます。従来の開発ツール、コパイロットという名前も『副操縦士』という意味ですが、あれはAIがサブで作業していくという位置付けでした。
このパラダイムシフトは、もはや「コードを書く」という行為そのものではなく、「何を、どのように作るか」という企画や設計、そしてAIへの的確な指示出しが人間の中心的なスキルになる未来を示唆しています。
衝撃②:「作って」と頼んだら、自分でテストまで始めた
Antigravityは単にコードを生成するだけのツールではありません。指示を受け取ると自ら計画を立て、開発を始め、完成したらテストまで行う「自律型エージェント」です。
例えば、「チャットアプリを作って」と自然言語で指示を出すだけで、AIは必要な計画を立案し、ファイルを作成、開発環境を構築し、サーバーを起動するところまで全て自動で実行します。
そして、最も驚くべきはここからです。AntigravityにはChromeブラウザが統合されており、AIは自ら生成したアプリケーションをその場で起動し、動作確認テストまで行ってしまうのです。従来のように、人間が生成されたコードをコピー&ペーストして別の環境で動かし、バグがないか確認する…といった手間が、根本から不要になります。
まるで隣にいるもう一人の開発者が、作ったものを即座にブラウザで動かしながら「これでどうでしょう?」と確認してくるかのよう。この人間とAIのシームレスな連携こそ、未来の開発スタイルを予感させます。
衝撃③:たった一文の指示で、15分未満で「ECサイトのトップページ」が完成した
Antigravityの真価は、その圧倒的なスピードと生成物のクオリティにあります。
今回、私は「スタバみたいなのコーヒーのECサイトを作って」という、非常にシンプルで曖昧な日本語の指示を出してみました。するとAIはすぐさま「デザインシステムの構築」「ヘッダー作成」「ヒーローセクション作成」といったタスクリストを自ら画面上に表示し、開発を開始。完了したタスクが一つずつ消えていく様子は、まさにAIが思考し、実行しているプロセスそのものでした。
そして、わずか15分も経たないうちに、デザイン性の高いECサイトのトップページを完成させたのです。
完成したサイトは、ただ形になっているだけではありません。ボタンにカーソルを合わせるとアニメーションするホバーエフェクトまでしっかりと実装されており、「実際にこのサイトがあってもおかしくない」と感じるレベルのクオリティでした。もちろん、トップページ以外の「リワード」や「ギフトカード」といったページは「Coming Soon」の状態で、AIがサイト全体の構造を理解しつつも、まずは主要ページから構築したことが伺えました。この判断力も含めて、驚くべき能力です。
衝撃④:「このページをクリスマスっぽくして」でデザインが本当に変わった
Antigravityとのやり取りは、一方的な命令だけではありません。完成したものに対して、対話するように修正や改善を加えていくことができます。そのプロセスは驚くほど直感的です。
最初に生成されたECサイトに対して、「リワードページを作成し、デザインをクリスマスを感じられる華やかなページにして」と追加で指示を出してみました。具体的な色の指定やコードの修正依頼は一切していません。
すると、Antigravityは指示の意図を汲み取り、リワードページ全体の基調を赤や緑といったクリスマスカラーに変更。さらに驚いたことに、画面上に雪がちらちらと降るアニメーションまで追加してくれたのです。
このように、「〜な感じ」「〜っぽくして」といった曖昧な指示でデザインや機能の変更ができてしまう手軽さは、専門的な知識を持たない非エンジニアにとって、アイデアを形にするための強力な武器となるでしょう。もちろん、細かく見れば新しく作られたページのボタンがまだリンクされていないなど、完璧ではありませんでした。しかし、デザインの「雰囲気」をここまで正確に汲み取って実装する能力は驚異的です。
衝撃⑤:万能ではない。「複数指示」でタスクの抜け漏れも
ここまで革命的な点ばかりを挙げてきましたが、Antigravityはまだ完璧なツールではありません。その限界も見えてきました。
実験として、「①カートページの作成」「②会計機能の実装」「③フード商品を5つ追加」という3つの指示を一度に出してみました。しばらくすると、カートページと会計機能は問題なく実装されました。しかし、「フード商品の追加」は実行されておらず、タスクが抜け落ちてしまったのです。
この失敗例から、現状のAntigravityは複数の指示を同時に処理しようとすると、一部を忘れてしまうことがある、という課題が明らかになりました。しかし、この「不完全さ」も含めて、AIエージェントが夢物語ではなく、実務で使えるレベルにまで現実的に近づいていることをリアルに感じさせてくれます。
まとめ
GoogleのAntigravityがもたらすのは、単なる作業の効率化ではありません。それは、開発という行為における「人間の役割そのものの変化」です。
これまで人間が担ってきた実装やテストといった作業はAIに任せ、人間はより上流の「何を創り出すか」という創造的な部分に集中する。そんな時代が、もうすぐそこまで来ています。
AIが計画から実装、テストまでを担う時代、私たち人間に最も求められるスキルとは、一体何になるのでしょうか? Antigravityは、そんな未来について考える大きなきっかけを与えてくれるツールです。

「IMデジタルマーケティングニュース」編集者として、最新のトレンドやテクニックを分かりやすく解説しています。業界の変化に対応し、読者の成功をサポートする記事をお届けしています。

