はじめに:デジタルマーケティングに大きな変化の波!
2025年の8月は、デジタル広告業界にとって、ただのいつも通りの1ヶ月ではありませんでした。業界のルールがガラッと変わり、これまでの常識が通用しなくなるような、まさに「転換点」と言える月になったんです。今月の動きは、大きく分けて2つのストーリーが絡み合っています。
1つ目は、「プラットフォームの『縄張り争い』が激化」したこと。象徴的なのは、AmazonがGoogleのショッピング広告から完全に手を引いたことです。これは、巨大なプラットフォームたちが、これからは「自分の庭(プラットフォーム)の中でユーザーに買い物を完結してもらおう」という強い意志の表れなんです。
2つ目は、「AIが広告の主役に」なったこと。これまで裏方で広告の効率を良くするために使われていたAIが、いよいよ表舞台へ。広告のデザイン(クリエイティブ)を作ったり、市場を分析したり、キャンペーンを管理したりと、AIが広告のあり方を根本から変えようとしています。
この記事では、この2つの大きなトレンドが、それぞれの広告媒体のアップデートにどう影響しているのかを、分かりやすく解説していきます。この大きな変化を理解しないままでは、これからの広告運用は難しくなってしまうかもしれません。2025年8月の動きをしっかりキャッチして、未来のマーケティング戦略を一緒に考えていきましょう!
(表)表1:今月のアップデート早わかり表
詳しい話に入る前に、今月の特に大事なアップデートと、それが私たちマーケターにどんな影響を与えるのかを一覧にまとめました。まずはここを見て、各プラットフォームで何が起こったのか、ざっくり掴んでみてください。
媒体 (Platform) | 2025年8月の主要アップデート (Key Update for August 2025) | マーケターへの影響 (Strategic Implication for Marketers) |
Amazon広告 | Googleショッピング広告から全世界で完全に撤退 | Amazon内での広告競争は激しくなるかも。でも、Googleショッピングでは新しいチャンスが生まれる可能性が。2つの大きなプラットフォームを上手に使い分ける戦略が必須に。 |
Google広告 | P-MAXキャンペーンがもっと見やすく、管理しやすくなった | 自動化と手動での調整を組み合わせるのが新しいスタンダードに。「ブラックボックス」感がなくなり、AIをもっと戦略的に使えるように。 |
Meta広告 | Instagramにリポスト機能などが追加、Threads広告も本格スタート | ユーザー同士の深いつながりを活かした、コミュニティベースの広告が重要に。広告を出せる場所が増え、新しいアプローチのチャンス。 |
X広告 | 最新AI「Grok 4」とAIアシスタント「Companions」を発表 | ただの広告媒体から、「ビジネス分析ツール」へと大変身。市場調査や顧客対応、コンテンツ作りのやり方が変わるかも。 |
LINE広告 | 目標ROAS(広告の費用対効果)で最適化できる機能が登場。Yahoo!のオーディエンスデータも追加 | LINEとYahoo!の連携が本格化。日本最大級のデータを活かして、もっと成果を出しやすい広告運用が可能に。 |
Yahoo!広告 | クレジットカードでの後払いが可能に。その他システムもリニューアル | 広告主にとっての使いやすさがアップ。LINEとのシステム統合に向けた準備が着々と進んでいる証拠。 |
TikTok広告 | AIが動画広告を作ってくれる「Symphony」と、TikTok Shopの売上を最大化する「GMV Max」が登場 | クオリティの高い動画広告を作ったり、商品が売れるようにしたりするハードルがぐっと下がった。エンタメだけでなく、本格的なショッピングの場へ進化。 |
Microsoft広告 | AIが広告文を自動で作るツール「極予測TD」と連携 | いろいろなツールと連携しやすい、開かれたプラットフォーム戦略を推進。外部の便利なAIツールと組むことで、運用を効率化する新しい選択肢を提供。 |
Criteo広告 | (今月は大きな製品アップデートはなし) | ネット通販サイトを横断した広告ネットワークのリーダーとしての地位固めに集中。安定したサービス提供とパートナー企業との関係を優先している様子。 |
Part 1: ネット通販の地図が塗り替わる?新しい勢力図とは
2025年8月、ネット通販の広告の世界地図は、根本から書き換えられました。これまで当たり前だったプラットフォーム同士の協力関係が終わり、それぞれが自分の経済圏を作ろうとする、新しい時代の幕開けです。この動きを象徴しているのが、AmazonとGoogleの最新動向です。
Amazon広告:大きな決断!Googleショッピング広告から卒業
今月一番のビッグニュースは、AmazonがGoogleショッピング広告から、世界中で、しかも完全に撤退したことです。この動きは7月21日から23日にかけて完了しました。これは単なるテストや一時的なものではなく、何か月も前から計画されていた、はっきりとした戦略的な一手でした。実際、撤退前の5月には、アメリカでの広告費を半分に減らすなど、準備を進めていたんです。
この歴史的な決断の裏には、Amazonのこんな狙いがあります。
- 「商品検索の王者は、うちだ!」宣言: Amazonでは月に40億回以上も商品が検索されており、もはやGoogleに次ぐ世界第2位の検索エンジンなんです 。今回の撤退は、「商品を探すならAmazon」というブランドを確立し、自社のプラットフォームの中ですべてが完結する世界を作りたい、という強い意志の表れです。
- お客様の購買体験をまるごとAmazonで: Amazonの狙いは、お客様が「これが欲しいな」と思ってから「買う」まで、すべてのステップをAmazonの中で完結させることです。そうすることで、貴重な顧客データを独占し、利益を上げ、自社の広告ビジネスをもっと成長させることができます。
- AI検索ツールへの自信: この大胆な決断を支えているのは、「Rufus」のようなAI検索アシスタントや、文字と画像を組み合わせた検索機能など、Amazon独自のAI検索ツールへの自信です。これらの機能で、Googleよりも優れた買い物体験を提供しようとしているのです。
このAmazonの動きは、広告戦略の考え方を大きく変えることになります。これまでは「検索広告」という一つの枠の中でGoogleとAmazonを考えていましたが、これからはその考え方を改めなければなりません。
Amazonがいなくなったことで、他のネットショップはGoogle上での競争が少し楽になるかもしれません。クリック単価(CPC)が下がったり、広告が表示されやすくなったりする可能性があります 。しかし、AmazonがGoogleで使っていた莫大な広告費が消えるわけではありません。その予算は、Amazonのサイト内でお客様を集め、売上を伸ばすために使われるはずです。つまり、Amazon内の広告競争はもっと激しくなり、広告費が高くなる可能性があるのです。
これからのマーケターは、2つの異なる戦場で戦うことになります。一つは、Googleを中心としたオープンなウェブの世界での新しいお客様探し。もう一つは、Amazonという閉鎖的だけど競争の激しい市場での、買う気満々のユーザーへのアプローチです。これは単に予算をどう分けるかという話ではなく、人材や戦術、目標設定(KPI)まで、全く別の2つの戦略を立てる必要があるということです。ブランドは今、AmazonとGoogleをそれぞれ独立した巨大な帝国と捉え、両方のルールをマスターすることが、生き残りのためのカギになります。
Google広告:P-MAXが使いやすく!「ブラックボックス」から卒業へ
Amazonが自社の壁を高くする一方で、Googleは逆の方向に進みました。2025年8月7日、GoogleはP-MAXキャンペーンをもっと透明で、管理しやすくするための重要なアップデートを発表しました。これは、長年広告主から寄せられていた「中身が見えなくて使いにくい(ブラックボックス)」という声に、直接応えるものです。
今回のアップデートのポイントは、こちらです。
- キャンペーンごとの除外キーワードリスト: 複数のP-MAXキャンペーンに共通の除外キーワードリストを使えるようになり、ブランドイメージを守りつつ、運用の手間を大幅に減らせるようになりました。
- 検索テーマの上限が2倍に: 設定できる検索テーマの上限が25から50に増え、たくさんの商品を持つ広告主でも、より細かいターゲティングができるようになりました。
- ターゲティング機能がパワーアップ: 年齢やデバイスでのターゲティングが正式に使えるようになり、性別でのターゲティングもテストが始まりました。これにより、届けたい相手をより正確に絞り込めます。
- レポートが見やすく、問題点も分かりやすく: 新規顧客レポートから「不明」という項目がなくなり、分析がしやすくなりました。また、コンバージョン計測の問題点を見つける新しい診断機能や、自動生成された広告パーツのレポート(不要なものは削除も可能)も追加されています。
これらの機能追加は、単に便利になっただけではありません。これは、広告運用における「人とAIの関係」が新しいステージに進んだことを示しています。これまでのP-MAXは、広告主に「AIを信じて全部任せてください」というスタイルでした。しかし、今回のアップデートで、AIの動きがある程度見え、人間がコントロールできる「AIコ・パイロット(副操縦士)」モデルに変わったのです。
この新しいモデルでは、広告運用者の役割も変わります。もはや、手作業で細かく設定するオペレーターではありません。AIという強力なエンジンに対して、戦略的な指示を与える「ストラテジスト(戦略家)」としての役割が求められます。AIが細かい最適化を担当し、人間はより大きな視点での意思決定に集中する。この「人とAIのハイブリッド運用」こそが、これからの広告運用の新しいスタンダードになるでしょう。成功する広告主は、AIを上手に使いこなし、自社のビジネス目標達成へと導く「AIの良きパートナー」となるはずです。
Part 2: AIが広告をもっと面白くする!新しいクリエイティブと繋がりの形
プラットフォームの勢力図が変わる一方で、もう一つの大きな波が広告業界に押し寄せています。それはAIの本格的な活用です。各プラットフォームは、AIを単なる効率化ツールとしてではなく、ユーザーとの繋がりや広告クリエイティブ作りの中心に据え始めています。
X広告:ただのSNSじゃない?ビジネスの強力な味方に進化中
今月のX(旧Twitter)は、xAIの高度なAIをプラットフォームに深く組み込み、ビジネスツールとしての価値を根本的に変えるアップデートを発表しました 。
- 注目のAI機能:
- Grok 4: 「世界で最も賢いAI」と位置付けられる最新モデルが、Xの新しい力の源になります。
- 「Companions」: 有料ユーザー向けの新しいAIアシスタント機能。コンテンツ作成やトレンド分析、マーケティング戦略のアイデア出しを手伝ってくれます。
- DM機能の強化: メッセージ入力中の表示や、通知からの直接返信、会話の検索などが可能になり、顧客対応や営業活動にも使える本格的なコミュニケーションツールに進化しました。
- 検索の仕様変更: 検索対象からユーザー名が外れ、投稿の「内容」がより重視されるようになりました。これにより、欲しい情報がもっと見つけやすくなります。
これらのアップデートが示しているのは、Xが単なる「広告を出す場所」から、「ビジネスに役立つ情報を集め、活用するための総合ツール」へと生まれ変わろうとしていることです。
これまで企業がXを使う目的は、情報発信と広告が中心でした。しかし、GrokやCompanionsのような新しいAIツールを使えば、広告の枠をはるかに超えたことができます。市場のリアルタイムな反応を分析したり、競合の動きをチェックしたり、さらには戦略的なヒントをAIが自動で生成してくれたり。これまで専門チームが必要だった仕事が、X上で直接できるようになるのです。
この変化は、企業がXを見る視点を根本から変える必要があります。もはやXは、マーケティング部門だけのものではありません。マーケティング、営業、広報、カスタマーサポートなど、様々な部門が活用すべき、ビジネスの強力な味方になりつつあるのです。
Meta広告 (Facebook, Instagram, Threads):友達との繋がりが、新しい広告のチャンスに
Metaは、Instagramでユーザー同士のより深い繋がりを促す新機能を導入し、同時にThreadsでの広告を本格的にスタートさせました。これにより、新しい広告の可能性が広がっています。
- 主な機能アップデート:
- リポスト機能: 他の人の投稿を自分のフィードで再共有できるようになり、情報が広がりやすくなりました。
- フレンドマップ: 親しい友達と位置情報を共有できる機能。アプリを現実世界での交流を助けるツールへと進化させます。
- フレンズフィード: 友達や、友達が「いいね!」した投稿が優先的に表示される特別なフィード。アルゴリズムのおすすめよりも、友達との繋がりを重視します。
- Threads広告: Metaの広告マネージャから完全利用可能に。Metaの強力なターゲティング能力を活かせる、新しい広告スペースが誕生しました。
- 技術的なアップデート: 写真の推奨サイズが、最近のスマホ画面に合わせて縦長の4:5に変更されました。
これらの動きから、Metaが「友達との信頼関係」を新しい広告のチャンスに繋げようとしていることがわかります。アルゴリズムがおすすめするコンテンツばかりのフィードに、ユーザーは少し疲れ気味かもしれません。それに対して、フレンドマップやフレンズフィードのような新機能は、親しい友達との繋がりを中心とした、よりプライベートで信頼できる空間を作り出します。
広告主は、これまでの一方的なメッセージ配信から、コミュニティや会話の中に自然と溶け込むような広告へと、考え方を変える必要があります。ユーザーが作ったコンテンツ(UGC)や、本当にそのブランドのファンのようなインフルエンサーを起用した、リアルで正直なキャンペーンが、これまで以上に重要になるでしょう。Metaのプラットフォームでは、ユーザーとの繋がりを理解し、コミュニティに寄り添ったメッセージを発信するブランドこそが、未来を掴むことができるのです。
TikTok広告:売上アップの新機能!動画作りもラクラクに
TikTokは、オンラインイベント「ILLUMINATE 2025」で、ネットショップの広告主向けに2つの強力な新機能を発表しました。これにより、TikTokは楽しい動画プラットフォームから、本格的に商品が売れるショッピングプラットフォームへと大きく進化しようとしています。
- 注目の新プロダクト:
- Symphony: AIが動画広告の制作を手伝ってくれるツール。多くのブランドにとって課題だった、プラットフォームに合った「TikTokらしい」動画を簡単に作れるようになります。
- GMV Max: TikTok Shopで商品を売る広告主向けの新しい最適化ツール。購買データを学習し、売上(GMV)が最大になるようにキャンペーンを自動で調整してくれます。
この2つのツールは、TikTokが「『本物らしさ』の量産」と「売上への直結」を同時に実現しようとしていることを示しています。TikTokの魅力は、ユーザーが作る自然でリアルなコンテンツでした。しかし、この「本物らしさ」をブランドが広告で再現するのは難しかったのです。
「Symphony」は、この問題を解決します。AIを使って、ブランドが「本物らしい」と感じられる動画を、効率的にたくさん作れるようにするのです。そして「GMV Max」は、AIが作った動画と、売上という明確なビジネス成果を直接結びつけます。「このバズった動画、本当に儲かってるの?」という疑問に、はっきりとした答えを出してくれるわけです。
この2つのツールによって、TikTokはクリエイティブ制作から成果の最適化まで、すべておまかせできる強力な販売チャネルへと進化しました。これまで動画制作のリソースがなかったり、効果測定が難しかったりしてTikTokへの本格参入をためらっていたブランドにとって、売上を伸ばすための明確な道筋が示されたと言えるでしょう。
Part 3: 国内勢も負けてない!LINEとYahoo!の連携が本格化
世界のプラットフォームが大きく動く中、日本の主要プラットフォームであるLINEとYahoo!も、統合による力を発揮し、広告主にとっての価値を高める重要な一歩を踏み出しました。
LINE広告 & Yahoo!広告:LINEとYahoo!がタッグを組んだら、こんなに便利に!
今月のLINEとYahoo!のアップデートは、別々の動きとしてではなく、LINEヤフー統合という大きな流れの中での連携した動きとして見ることが大切です。両社の連携は、いよいよ広告主にとって具体的なメリットをもたらす段階に入りました。
- LINE広告 – 成果を出す機能が進化:
- 目標ROAS最適化機能: 「目標ROAS(広告の費用対効果)最適化機能」のリリースは、LINE広告にとって大きな一歩です。これにより、LINE広告はブランド認知だけでなく、売上に直接貢献する、より高度な広告媒体へと進化しました。
- ターゲティングデータが豊富に: Yahoo! JAPANが持つオーディエンスデータ(「興味関心」「購買意向」など)が104項目も追加されたことは、統合による最大のメリットと言えるでしょう。Yahoo!の膨大な検索・閲覧データを活用することで、LINEでのターゲティングがこれまで以上に正確で効果的になります。
- Yahoo!広告 – 運用の手間を削減:
- クレジットカード後払いの導入: クレジットカードでの後払いが可能になり、広告主は資金繰りが楽になり、広告を出しやすくなりました。これは使いやすさを大きく向上させる改善です。
- システムのリニューアルと統合準備: 検索連動型ショッピング広告のシステム刷新 や、将来導入される予定の統合された支払い管理画面 は、LINEのシステムとのスムーズな統合に向けた準備が進んでいることを示しています。
- ユーザー体験の向上: トップページのデザイン変更やAI検索機能「Assist」の導入は、プラットフォーム自体の使いやすさを向上させる取り組みであり、広告にとっても良い影響があります。
これらの動きを総合的に見ると、日本のデジタル広告市場に、GoogleとMetaに並ぶ真の「第三の選択肢」が生まれつつあることがわかります。これまで日本の市場はGoogleとMetaの二強が中心でした。LINEはコミュニケーションでの圧倒的なリーチ、Yahoo!は検索や幅広い広告枠という強みを持ちながらも、両者のデータは別々でした。
しかし、2025年8月のアップデート、特にオーディエンスデータの共有やROAS入札といった機能連携は、その壁がなくなりつつあることを示しています。LINEが持つ9,600万人(2023年9月末時点)の巨大なコミュニケーションデータと、Yahoo!が持つ深い検索意図データが一つになることで、LINEヤフーはGoogleやMetaに規模と精度の両方で対抗できる、日本市場に特化した独自のデータプラットフォームを築きつつあります。
これは、広告主にとって無視できない大きな変化です。これからのマーケターは、日本の戦略を考える上で「三強体制」を前提にしなければなりません。予算配分やキャンペーン設計において、新たにパワーアップしたLINEヤフーを、GoogleやMetaと並ぶトッププレイヤーとして再評価する必要があるのです。
Part 4: その他のプラットフォームの動きもチェック!
すべてのプラットフォームが毎月、業界を揺るがすような大きなアップデートを発表するわけではありません。しかし、大きなニュースがないこと自体が、そのプラットフォームの戦略を物語っていることもあります。
Microsoft広告 & Criteo広告:着実な進歩と独自の戦略
- Microsoft広告:
- アップデート内容: 今月の注目ニュースは、サイバーエージェントが提供するAI広告文生成ツール「極予測TD」が、Microsoftの検索広告に対応したことです 。その他のアップデートは、広告製品に直接関連するものではありませんでした。
- 戦略分析:「オープンな連携」戦略: Microsoftは、Googleのように自社サービスで囲い込むのではなく、外部の強力なツールとの連携を重視することで、よりオープンで柔軟なプラットフォームとしての地位を築こうとしています。これは、様々なツールを組み合わせて使いたい広告主にとって魅力的な選択肢です。Googleが強い市場において、パートナーシップを軸とするこの戦略は、賢い選択と言えるでしょう。
- Criteo広告:
- アップデート内容: 2025年8月には、製品の大きな機能リリースは確認されませんでした 。発表の多くは、業績報告やイベント参加に関するものでした。
- 戦略分析:リテールメディアの土台作りに注力: 製品面で静かだったのは、Criteoが急成長するリテールメディア(小売店の広告ネットワーク)市場で、その中心的な基盤としての役割を固めることに集中しているからだと考えられます。Cookieが使えなくなる時代において、Criteoの強みは多くの小売業者とのパートナーシップと、そこから得られる購買データです。今は新しい機能を次々に出すよりも、パートナーシップを広げ、プラットフォームの安定性を確保することを優先しているのでしょう。彼らは今、未来の広告を支えるための「土台作り」を着実に進めているのです。
結論:2026年を見据えた、これからのマーケターがやるべき5つのこと
2025年8月の動きは、デジタル広告の世界を大きく変えました。この新しい環境で成功するために、マーケティングリーダーは以下の5つのことに取り組んでみましょう。
- 3大プラットフォームを使いこなそう: 日本市場での広告戦略を、Google、Meta、そして新たに強力なプレイヤーとなったLINEヤフーという3つのプラットフォームを軸に考え直しましょう。それぞれの強みを最大限に活かす、バランスの取れたアプローチが大切です。
- 「AIクリエイティブディレクター」になろう: 広告クリエイティブの作り方を、手作業からAIツールを管理するスタイルへと変えていきましょう。TikTokのSymphonyやXのCompanionsのようなツールを使いこなし、AIに的確な指示を出し、AIが生み出すクリエイティブを戦略的に導く能力が、これからの新しいコアスキルになります。
- 「AIとの二人三脚」に慣れよう: 人間の戦略的な判断と、AIによる実行を組み合わせた、新しい運用体制を育てましょう。P-MAXの新しい制御機能などを活用し、「AIを上手に使いこなす」術を学ぶことで、これまで以上の成果を上げることが可能になります。
- 各プラットフォームの「役割」を再定義しよう: それぞれのプラットフォームが果たすべき役割は変わりました。Xは情報収集ツール、Amazonは刈り取りの場、TikTokは直接的な販売チャネルです。各チャネルの新しい現実に合わせて、戦略をアップデートしましょう。
- プラットフォーム横断での分析に投資しよう: 各プラットフォームが独自の「庭」を築くほど、その壁を越えて顧客の動きを計測する能力は、より難しく、そしてより重要になります。効果測定モデルやCDP(顧客データ基盤)などへの投資は、もはや選択肢ではなく必須事項です。
2025年8月は、変化の始まりに過ぎません。この大きな変化をチャンスと捉え、素早く大胆に戦略を適応させることができるマーケターだけが、2026年以降の競争を勝ち抜くことができるでしょう。

「IMデジタルマーケティングニュース」編集者として、最新のトレンドやテクニックを分かりやすく解説しています。業界の変化に対応し、読者の成功をサポートする記事をお届けしています。