レンタルオフィス大手A社 カスタマージャーニーマップ分析
セグメント移行プロセスとユーザー行動の変化
作成日: 2023年10月1日
文書番号: CJM-2023-001
部署: マーケティング戦略部
目的と対象ペルソナ
コンバージョン目的: レンタルオフィス、バーチャルオフィス、コワーキングスペース等の契約獲得
ペルソナ: 起業家、フリーランス、中小企業経営者、企業の総務担当者、サテライトオフィスを探す会社員など、柔軟なワークスペースを求める個人・法人
カスタマージャーニー概要
認知・興味関心
比較検討・評価
意思決定・契約
認知・興味関心
レンタルオフィスやコワーキングスペースという選択肢を初めて知り、漠然とした情報収集を開始する段階。「どんな選択肢がある?」「費用は?」といった基本的な疑問を持つ。
この段階では多様なユーザーが混在しており、まだ具体的なニーズが固まっていない。
比較検討・評価
レンタルオフィス大手A社と競合サービスを具体的に比較し、特定の拠点やプランを検討する段階。料金、サービス内容、立地条件などを詳細に評価する。
この段階では競合との比較が活発に行われ、多くのユーザーが離脱する重要なポイント。
意思決定・契約
レンタルオフィス大手A社での契約を決定し、申し込み手続きを進める段階。オフィス利用開始に向けた具体的な準備を検討している。
この段階では契約や実務に直結する情報へのニーズが高く、ビジネス運営全体に関心が広がる。
ユーザーフロー分析
セグメント詳細分析
- レンタルオフィスやコワーキングスペースという選択肢を初めて知る
- 起業、オフィス移転、サテライトオフィス設置などを検討し始める
- 漠然と情報収集を開始(「どんな選択肢がある?」「費用は?」)
- Web検索 (Google, Yahoo!など)
- 比較サイト
- 広告 (リスティング、ディスプレイ)
- SNS、ブログ記事
- 目的の不一致: レンタルオフィスを探していたわけではなく、別の検索 (天気、ニュース、企業情報、他社製品など) から偶然流入した
- 情報不足/魅力不足: 求めている情報が見つからない、サイトの魅力が伝わらなかった
- 関心の低さ: まだ具体的な検討段階ではなく、軽く情報収集しただけだった
セグメント1→2への移行ポイント
比較検討準備: レンタルオフィスについてもう少し詳しく知りたいと考え、レンタルオフィス大手A社や他のサービスについて調べ始める。具体的な場所やプランに関心を持ち始める段階。
キーワードは「新社会人」「無料セミナー」「シェアハウス」など、関連する情報や比較対象を探す動きが見られる。次のステップに進む意欲がある層が移行していく。
- レンタルオフィス大手A社と競合サービスを具体的に比較
- 特定の拠点 (例: 上野、池袋、大阪、日本橋) やプラン (フリーデスク、個室) を検討
- 料金 (共益費、保証金)、サービス内容 (秘書サービス、登記可否) を評価
- 「自社のニーズに合うか?」「コストはどうか?」と具体的に検討
- レンタルオフィス大手A社公式サイト (拠点ページ、プラン詳細、料金ページ)
- 競合他社の公式サイト
- 不動産ポータルサイト
- オンライン相談、問い合わせフォーム
- 価格/プラン不一致: 予算に合わない、求めるプランやサービス内容ではなかった
- 立地/空室: 希望エリアに拠点がない、または満室だった
- 競合優位: 他社のサービスの方が魅力的だった (価格、設備、コミュニティなど)
- タイミング: すぐに契約する段階ではなかった (長期的な情報収集)
セグメント2→3への移行ポイント
最終決定準備: レンタルオフィス大手A社に絞り込み、契約を前提とした情報収集を行う。契約手続き、利用開始までの流れを確認し、細かい疑問点を解消したい段階。
「インボイス」「IPO」「採用活動」「経費」「税理士」「労務」「会社設立」など、契約や実務に直結するキーワードが中心になり、導入によるメリット (コスト削減、効率化) を再確認する動きが見られる。
- 契約を決定、申し込み手続きを進める
- オフィス利用開始に向けた準備 (法人登記、什器手配、IT設定など)
- 「契約内容はこれで良いか?」「必要な手続きは?」といった具体的な疑問を持つ
- レンタルオフィス大手A社公式サイト (申込フォーム、マイページ)
- 契約書類
- 営業担当者とのやり取り (メール、電話)
- 契約手続きの煩雑さ
- 最終確認段階での懸念事項 (規約、隠れたコストなど)
- より良い条件の代替案が直前に見つかる
カスタマージャーニー考察・戦略提案
初期段階 (セグメント1) は多様なユーザーが混在: レンタルオフィスへの関心度が低いユーザーも含まれるため、彼らを惹きつけ、次のステップ (セグメント2) へ誘導するコンテンツや導線設計が重要。初期段階では概念的な情報よりも、具体的なメリットやユースケースを前面に出すことで、興味を喚起することが有効。
比較検討段階 (セグメント2) が重要なボトルネック: 全体の78%が離脱する最大のバリアポイント。この段階では競合との比較が活発に行われ、価格、立地、設備、サービス内容の分かりやすさ、導入事例などが比較のポイントとなる。競合優位性を明確に訴求し、比較表やチェックリストで選択を容易にする施策が効果的。また、立地や空室状況が離脱要因となっているため、代替案の提示や予約待ちシステムの導入も検討すべき。
最終段階 (セグメント3) は実務関連に関心が移行: 契約そのものに加え、法人登記、税務、労務、IT環境など、オフィスを利用した事業運営に関する情報ニーズが高まる。この段階では、契約後のサポート体制や関連サービスの情報提供がコンバージョン率向上に有効。パートナー企業との連携による税務・法務サポートや、スムーズな移転をサポートするチェックリストなどのコンテンツ提供が差別化につながる。
キーワードの変化を活用したコンテンツ戦略: セグメントが進むにつれて、検索キーワードが「漠然とした情報収集」→「具体的なサービス・機能比較」→「契約・運用実務」へと変化していく様子が見られる。この変化に合わせたコンテンツ開発と広告運用が効果的。初期段階では一般的な情報提供、中期では詳細な比較情報、後期では実務的なハウツー情報を提供するといった段階的なアプローチが有効。
デモグラフィックの一貫性: 特定の年齢層や職種、年収層がコアターゲットとして存在するが、セグメントが進んでも属性の大きな偏りは見られない。むしろ、関心の深化度がセグメント移行の鍵となっている。このことから、属性によるターゲティングよりも、興味関心の度合いや具体的な行動パターンに基づくアプローチが有効と言える。各ステージに応じたコンテンツ戦略とリマーケティング施策の強化が推奨される。
