ポストCookie時代からハイブリッドCookie時代へ|デジタルマーケティングの新戦略とは?

Cookie規制・プライバシー関連
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ポストCookie時代とは?

近年、インターネット広告業界では「ポストCookie時代」という言葉が頻繁に使われるようになりました。これは、従来のサードパーティCookieを利用したターゲティング広告が規制強化やプライバシー保護の観点から見直され、徐々に廃止されつつあることを指します。

サードパーティCookieとは、ユーザーが訪問したウェブサイト以外の第三者(広告ネットワークなど)が発行するCookieで、ユーザーの行動履歴を追跡し、ターゲティング広告を配信するために使われてきました。しかし、プライバシー保護の観点からGoogle ChromeやSafariなど主要ブラウザがサードパーティCookieのサポートを終了する方針を打ち出しています。

この変化により、従来のターゲティング広告手法が使いづらくなり、広告主やマーケターは新しいデータ活用方法を模索する必要があります。そこで注目されているのが、「ハイブリッドCookie」という新しいアプローチです。

ハイブリッドCookieとは?

ハイブリッドCookieとは、ファーストパーティデータ(自社サイトで収集したデータ)と、それに基づく新しい技術や手法を組み合わせたデータ活用モデルです。これにより、ユーザーのプライバシーを保護しながらも効果的なターゲティング広告を実現することが可能になります。

従来のサードパーティCookieが廃止される一方で、ファーストパーティCookieは引き続き使用可能です。これに加え、新たな技術として「コンテキストターゲティング」や「FLoC(Federated Learning of Cohorts)」などが登場し、ユーザー個人を特定せずに行動パターンや興味関心に基づいた広告配信が可能となります。

ハイブリッドCookieは、このファーストパーティデータと新しい技術を組み合わせることで、プライバシー保護とマーケティング効果の両立を図る手法です。

ハイブリッドCookie時代の3つの特徴

ファーストパーティデータの重要性

ポストCookie時代では、ファーストパーティデータがますます重要になります。これは、自社サイトで直接収集したユーザーデータ(例:ログイン情報や購入履歴)であり、このデータは引き続き利用可能です。ファーストパーティデータは信頼性が高く、ユーザーとの直接的な関係性に基づいているため、プライバシー規制にも適応しやすい特徴があります。

そのため、自社サイトでのユーザー行動データをどれだけ正確に収集し、それをどれだけ効果的に活用できるかが今後のマーケティング戦略で鍵となります。

コンテキストターゲティングの復活

サードパーティCookieが使えなくなる中で注目されている手法が「コンテキストターゲティング」です。これは、ユーザー個人の行動履歴ではなく、その瞬間に閲覧しているコンテンツ(ページ内容)に基づいて広告を配信する手法です。

例えば、自動車関連の記事を読んでいるユーザーには自動車保険やカーアクセサリーの広告が表示されるといった具合です。この手法はプライバシー保護にも配慮しつつ、高い関連性を持った広告配信が可能となります。

新しい技術:FLoCとTopics API

GoogleはサードパーティCookie廃止後の代替技術として「FLoC(Federated Learning of Cohorts)」という仕組みを提案しました。FLoCは個別ユーザーではなく、「コホート」と呼ばれるグループ単位でターゲティングする技術です。同じ興味・関心を持つ複数人をまとめて一つのグループとして扱い、そのグループ全体に対して広告配信します。

ただし、このFLoCにはプライバシー懸念もあり、新たな技術として「Topics API」も開発されています。Topics APIではブラウザがユーザーの興味関心分野(トピック)を学習し、その情報だけを広告主と共有する仕組みです。このような技術によって、個人情報保護とターゲティング精度向上が両立できるようになります。

ハイブリッドCookie時代への対応策

ハイブリッドCookie時代には、新しい技術や手法への対応だけでなく、自社内でのデータ管理体制やマーケティング戦略も見直す必要があります。以下では、その具体的な対応策について解説します。

ファーストパーティデータ収集の強化

まず第一に、自社サイトやアプリ内で収集できるファーストパーティデータを最大限活用することが重要です。これには、ユーザー登録フォームやアンケートなどによって直接的な情報収集も含まれます。また、その際にはユーザーから明確な同意(オプトイン)を得ることが必要です。さらに、このデータをCRM(顧客関係管理システム)やDMP(データ管理プラットフォーム)と連携させることで、一貫した顧客体験を提供しつつ、高度なターゲティング施策へとつなげることができます。

コンテキストターゲティングへの移行

コンテキストターゲティングは今後ますます重要になるため、その導入検討も必須です。特定の記事内容やページテーマに基づいて関連性の高い広告配信ができるようになるため、自社商品やサービスとの親和性が高いメディアへの出稿戦略も見直す必要があります。また、この手法は特定業界やニッチ市場向けにも有効であり、高い関連性によってCTR(クリック率)向上も期待できます。

新しい技術への対応準備

Google の FLoC や Topics API など、新しい技術への対応準備も進めておくべきです。これらはまだ完全には普及していないものの、今後主流になる可能性があります。そのため、自社内でこれら新技術への理解と導入準備を進めておくことが重要です。また、それぞれの技術にはメリット・デメリットがありますので、自社ビジネスモデルに最適なものを選択しましょう。

ハイブリッドCookie時代における成功事例

あるECサイトでは、ポストCookie時代への対応として早期からファーストパーティデータ収集とコンテキストターゲティングへ移行しました。その結果、新規顧客獲得コスト(CPA)が大幅に削減されただけでなく、既存顧客とのエンゲージメントも向上しました。具体的には、自社メディア内で商品レビュー記事やブログ記事などコンテンツマーケティング施策と連携させ、その内容に基づいたコンテキストターゲティング広告配信によってCTRとCVR(コンバージョン率)が向上しました。このように、新しい環境下でも効果的なマーケティング施策は十分可能です。

まとめ:ハイブリッドCookie時代への準備

ポストCookie時代からハイブリッドCookie時代へ移行する中で、従来通りの方法では効果的なマーケティング施策は難しくなっています。しかし、新しい技術や手法を積極的に取り入れることで、プライバシー保護とマーケティング効果向上の両立は十分可能です。

今後も変化する市場環境に柔軟に対応しながら、自社独自の強みとなるファーストパーティデータ活用や新しいターゲティング手法への移行準備を進めましょう。もし、この移行についてさらに詳しく知りたい場合は、お気軽に当社までお問い合わせください。当社では、多様なお客様事例から得たノウハウとともに最適なソリューションをご提案いたします。