電気通信事業法の外部送信規律について:(概要、利用者への公表事項、データの外部送信にあたっての注意点)

Cookie規制・プライバシー関連

はじめに

近年、インターネットの普及に伴い、ウェブサイトやアプリを通じて、様々な情報がやり取りされるようになりました。その一方で、個人情報の流出や不正利用といったリスクも増大しており、利用者のプライバシー保護の重要性が高まっています。

このような背景から、2023年6月に改正電気通信事業法が施行され、利用者の端末から外部サーバーへの情報送信に関する新たなルールが定められました。

本記事では、電気通信事業法におけるデータ外部送信の注意点について、具体例を交えながら解説していきます。

外部送信規律の概要

外部送信規律とは、ウェブサイトやアプリを運営する事業者が、利用者の端末から外部サーバーに情報を送信する際に、守らなければならないルールのことです。具体的には、以下の4つの情報について、利用者に対して事前に通知または公表する必要があります。

送信する情報の内容: 具体的にどのような情報が送信されるのかを、利用者に分かりやすく説明する必要があります。例えば、ウェブサイトの閲覧履歴、購入履歴、位置情報などが挙げられます。

送信先の名称: 情報を送信する外部サーバーの運営事業者の名称を明確に示す必要があります。

送信先の利用目的: 送信された情報が、どのような目的で利用されるのかを具体的に説明する必要があります。例えば、ウェブサイトの利用状況の分析、広告配信の最適化などが挙げられます。

オプトアウトのリンク:事業者がオプトアウトの措置を提供する場合、電気通信事業者が利用者の情報を外部サーバーに送信しようとする際に、利用者がその送信を拒否できる仕組みに関する説明や、オプトアウトのページURLなどを示す必要があります。

対象となる事業者とサービス

外部送信規律は、すべてのウェブサイトやアプリ事業者に適用されるわけではありません。適用対象は、電気通信事業法上の、電気通信事業者又は第三号事業を営む者で、「利用者の利益に及ぼす影響が少なくない電気通信役務」を提供している電気通信事業者です。

「利用者の利益に及ぼす影響が少なくない電気通信役務」は、以下のいずれかの電気通信役務のうち、ブラウザやアプリケーションを通じて提供されているものが該当します(電気通信事業法施行規則(以下「規則」という。)第22条の2の27)。

(1)利用者間のメッセージ媒介等(同条第1号)(メッセージアプリのほか、ビジネスマッチングサイトやオンラインゲームなどのサービスとして利用者間でダイレクトメッセージを送信できる場合を含みます。)
(2)SNS、電子掲示版、動画共有サービス、オンラインショッピングモール等(同条第2号)
(3)オンライン検索サービス(同条第3号)
(4)ニュース配信、気象情報配信、動画配信、地図等の各種情報のオンライン提供(同条第4号)(単純な自社商品のオンライン販売や会社のホームページ運営などは含まれません。)

通知・公表の方法

外部送信に関する情報は、利用者に対して分かりやすく、かつ、容易に確認できる方法で通知または公表する必要があります。具体的な方法としては、以下のようなものが考えられます。

ウェブサイトへの掲載: ウェブサイト上に、外部送信に関する情報を記載したページを設け、利用者がいつでも確認できるようにする方法です。

アプリ内への表示: アプリの利用規約や設定画面などに、外部送信に関する情報を表示する方法です。

電子メールでの通知: 利用者に対して、外部送信に関する情報を記載した電子メールを送信する方法です。

利用者の同意

外部送信を行う場合には、原則として、利用者から事前に同意を得る必要があります。ただし、以下のいずれかに該当する場合には、同意を得ることなく情報送信を行うことができます。

法令に基づく場合: 犯罪捜査や法令違反の疑いがある場合など、法令に基づき情報提供が求められる場合

人の生命、身体または財産の保護に必要な場合: 緊急時など、人の生命、身体または財産の保護のために緊急に情報提供を行う必要がある場合

当該サービスの提供に不可欠な場合: サービスの提供にあたり、技術的に情報送信が不可欠であり、かつ、利用者の利益を不当に害するおそれがない場合。例えば、ウェブサイトの表示に必要な情報送信などが該当します。

外部送信プログラムの管理

外部送信を行う場合には、利用する外部送信プログラム(タグやSDKなど)を適切に管理する必要があります。具体的には、以下の点に注意する必要があります。

導入状況の把握: どのような外部送信プログラムを、どのサービスに導入しているのかを、常に正確に把握しておく必要があります。

送信情報の確認: 各外部送信プログラムから、実際にどのような情報が送信されているのかを定期的に確認する必要があります。

送信先事業者との連携: 外部送信プログラムを提供する事業者と連携し、最新のセキュリティ対策やプライバシー保護に関する情報を入手しておく必要があります。

まとめ

改正電気通信事業法の施行により、ウェブサイトやアプリ事業者における外部送信に関する責任がより一層問われるようになりました。利用者のプライバシーを保護するため、本記事で解説した注意点を踏まえ、適切な対応をご検討ください。

また、本記事は、執筆時点における情報に基づき作成されています。法令やガイドラインの改訂などにより、情報が変更される可能性があります。最新の情報については、関係省庁や専門家にご確認ください。

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