はじめに: Cookieレス時代とは?
Cookieとは、ウェブユーザーが特定のウェブサイトを訪れた際にそのユーザーのコンピューターに保存される小さなテキストファイルのことを指します。これにより、ユーザーが同じウェブサイトを再訪問したときにウェブサイトがユーザーを認識し、何度も同じ情報を入力せずにそのサイトを快適に利用できます。また、Cookieはウェブサイトがユーザーの閲覧履歴や行動を追跡し、これを元にパーソナライズされた情報などを提供するためにも使用されます。
しかし近年、プライバシーを重視する動きの高まりから、Cookieの利用に苦情が出るようになりました。その結果、多くのウェブブラウザがCookieの利用を取りやめる方向に舵を切っています。つまり、「Cookieレス時代」が到来するというわけです。これにより、従来の方法でユーザーの行動を把握することが難しくなり、それは広告戦略にとって大きなインパクトを与えることとなります。
影響: コンテクストマーケティングの導入が必要
Cookieレス時代の到来により、個々のユーザーを追跡し固有のユーザープロファイルを作成することが難しくなっています。これはパーソナライズされた広告の配信に影響を与え、結果としてデジタル広告のまったく新しい形が求められます。その一つが、「コンテクストマーケティング」です。
コンテクストマーケティングは、個々の消費者の行動よりも、一般的な消費者行動の傾向や、特定のコンテンツが配信される環境(コンテクスト)に焦点を当てたマーケティング手法です。具体的には、ウェブサイトやウェブページの内容自体に合わせて広告を表示するために使用されます。たとえば、スポーツ関連のウェブサイトではスポーツ用品の広告が表示され、料理のレシピサイトでは食品やキッチン用品の広告が表示される、といった具体的な広告表示が可能となります。
影響: ユーザー主導のデータ収集へ転換
Cookieレス時代の到来により、広告業界はユーザーのデータを収集するための新たな手段を探す必要があります。そしてその答えの一つが、「ユーザー主導のデータ収集」です。
これは、ユーザーの同意の上でその情報を収集し、それを広告配信やマーケティングに活用するという手法です。具体的には、ニューズレターの購読登録やアンケートの回答などを通じてユーザーの情報を収集します。こうした方法を用いれば、ユーザー自身が自分の情報を提供しているため、その情報は信頼性が高く、パーソナライズされた広告配信に役立つことでしょう。
対策: 新たな広告技術の開発と活用
Cookieレス時代に備えて、広告業界は新たな広告技術の開発と活用に取り組んでいます。新しいIDソリューションやプライバシー中心な方法でユーザーを認識し、効率的に広告を配信する方法を模索しています。
例えば、FLoC(Federated Learning of Cohorts)というGoogleが提案している新たな方法は、ウェブ閲覧行動を基にして集団単位でのキュレーションを提案しています。これにより個々のユーザーを追跡するのではなく、同様の行動をするユーザー集団に対して広告を表示しようという試みです。
これらの新たな技術の開発と活用により、Cookieレス時代でもユーザーのニーズを理解し、適切な広告を配信することが可能となります。広告業界におけるこの変革の波は、ますます加速していくことでしょう。
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