【数字が動く】YouTubeサーチリフト/ブランドリフトの読み方→改善アクション
YouTube施策は、クリックや直近CVだけで評価すると「効果が弱い」と誤解されやすい領域です。
そこで活躍するのが、サーチリフト(指名や関連検索の動き)とブランドリフト(想起・好意・検討などの変化)です。
ただし、数字が出ると同時に「どう読めばいい?」「何を直せば伸びる?」が必ず来ます。
本記事では、マーケ担当者が現場で迷わないように、読み方 → 施策改善の当て方をチェックできる形で整理します。
イントロダクション
YouTubeは“すぐ買う人”だけを増やす媒体ではない
YouTubeは、見込み顧客の「知らない → 気になる → 比べる → 指名する」という心理の変化に効きやすい一方、短期の獲得指標だけで評価すると弱く見えやすい特性があります。
ここで役に立つのが、サーチリフトとブランドリフトです。
ただし、リフト指標は“便利そう”に見えて、実務では次のつまずきが起きがちです。
- 数字が出たけど、何が原因で上がったのか説明できない
- サーチは伸びたのに、ブランドが動かない(または逆)
- 改善案が「認知を増やそう」みたいな抽象論で止まる
- 上司や営業から「それって売上に効くの?」と聞かれて詰まる
本記事の狙いはここです。
“数字を読む”→“施策を変える”の間にあるギャップを埋めて、リフト指標を改善アクションに落とします。
先に押さえる前提:リフトは“万能の正解”ではない
リフトは、施策の変化を捉える強いヒントになりますが、単独で全てを判断する指標ではありません。
だからこそ、次章で指標の役割分担を明確にします。
概要
サーチリフトとブランドリフトの違い(ざっくりでOK)
まずは役割の違いを整理します。ポイントは、どちらも「買ったか」ではなく、買う前の行動/意識がどう変わったかを見ることです。
| 指標 | 見ている変化 | 強み | 注意点 |
|---|---|---|---|
| サーチリフト | 検索行動(指名・関連語など)の動き | 行動に近いので、社内説明がしやすい | 季節性や競合要因などの影響も受けやすい |
| ブランドリフト | 想起・認知・好意・検討などの意識変化 | クリエイティブ改善の方向性が出やすい | 質問設計や対象の切り方で結果の解釈が変わる |
リフト指標を“改善のレンズ”にする考え方
リフトの良いところは、施策の詰まりを“段階”で見つけられる点です。
シンプルに次の流れに当てはめると、打ち手が出やすくなります。
到達と視聴が足りるか。配信条件は適切か。
印象・理解が得られているか。訴求は明確か。
嫌われていないか。ブランド印象が悪化していないか。
比較・検討に進む材料があるか。
検索や指名に動く理由が作れているか。
よくある誤解(先に潰す)
- サーチリフトが出ない=失敗、ではない(意識変化が先のケースがある)
- ブランドリフトが出た=売上が増えた、とは言い切れない(役割分担が必要)
- リフトが小さい=意味がない、ではない(改善余地を示すことが多い)
利点
“クリエイティブ改善”の会話が前に進む
クリックや直近CVだけだと、改善が「サムネ変える」「入札変える」のように配信側に寄りがちです。
リフトは、訴求が伝わっているかを見やすいので、クリエイティブの議論が進みます。
意思決定の材料が増える(媒体評価が楽になる)
施策の評価は、ひとつの指標に寄せるほど揉めやすくなります。
リフトを入れると、“短期の獲得”と“中長期の効き”を分けて話せるようになり、評価が安定します。
よく効く場面
- 新商品・新カテゴリで、そもそも認知が低い
- 指名検索を増やしたい(比較検討の入口を作りたい)
- 競合が強く、刈り取りだけでは伸びが鈍い
- 広告が嫌われやすく、ブランド毀損を避けたい
まとめると、リフトは「効果がある/ない」を断定するより、改善の優先順位を決めるのに向いています。
応用方法
数字→改善アクションへ変換する(実務の型)
ここからが実務パートです。サーチリフト/ブランドリフトの結果を、配信・クリエイティブ・導線に落としていきます。
次の表は「ありがちな結果」を軸に、改善方向をまとめたものです。
| よくある結果 | 起きていそうなこと | 改善アクション(例) |
|---|---|---|
| ブランドは上がるが、サーチが動かない | 印象は良いが「探す理由」が弱い | ・訴求を“特徴”から“選ぶ理由”へ(比較軸を入れる) ・動画内に次アクションのヒント(指名・商品名・カテゴリ名)を自然に入れる ・視聴後の導線(検索したくなるキーワード)を整理 |
| サーチは動くが、ブランドが動かない | 興味は引けたが、理解や好意に届いていない | ・冒頭5秒の「誰の何を解決するか」を明確にする ・ベネフィット(生活の変化)を先に出し、機能は後で補足 ・トーンを見直す(煽り過ぎ・情報過多になっていないか) |
| 両方動かない | 到達/視聴が足りない、または訴求が刺さっていない | ・配信ターゲットと訴求の整合(誰に何を言うか)を再設計 ・尺別に作り分け(短尺=興味、長尺=理解) ・冒頭の要点を削って“1メッセージ化” |
| 好意が伸びない(むしろ悪化しそう) | 広告感が強い、期待と実態がズレている | ・表現を抑えめにし、等身大のメリットへ寄せる ・誤解を招く言い回しを減らし、前提条件を明確にする ・ブランドの語り手(第三者/社員/ユーザー)を見直す |
| 認知は上がるが、検討が動かない | “知った”で止まっている(比較材料が不足) | ・比較軸(価格/手間/安心/品質)を一つだけ入れる ・購入/申込前の不安を先回りして解消(FAQの種を広告に入れる) ・視聴後の受け皿(LPや記事)の内容を検討向けに調整 |
コツは、結果を「良い/悪い」で止めず、“どの段階が詰まっているか”に翻訳することです。
詰まりが分かれば、改善の矢印は自然に決まります。
改善の粒度:配信 × クリエイティブ × 導線
リフトが動かない時、原因は動画だけとは限りません。実務では、次の三層で見直すと抜け漏れが減ります。
🎯 配信(誰に・どれだけ届いたか)
土台- 狙う層とメッセージが合っているか(広すぎ/狭すぎ)
- 頻度が高すぎて嫌われていないか
- 尺や面(スキップ可/不可など)で期待される情報量が違う
- ブランド目的なのに、短期の刈り取り思考になっていないか
🎥 クリエイティブ(何が伝わったか)
主戦場- 冒頭で「誰の何を解決するか」が伝わるか
- 情報量が多すぎて、要点が消えていないか
- “機能”より“選ぶ理由”が一つあるか
- トーンが強すぎず、ブランドの温度感に合っているか
🧾 導線(視聴後に何が起きたか)
抜けがち- 検索したくなるキーワードが整理されているか
- LP/記事/動画の情報が矛盾していないか(期待外れが起きないか)
- 比較検討者向けの“材料”があるか(FAQ、選び方、事例など)
- ブランド名とカテゴリ名の紐づけが自然にできているか
“数字が動く改善”の狙いどころ(具体)
リフトに効きやすい改善は、派手な演出よりも、メッセージの整理と前提の一致です。
- 冒頭5秒:誰に、何が良いのか。余計な前置きを削る
- 1メッセージ化:言いたいことを一つにし、残りは補足に回す
- 比較軸の提示:「なぜ今それを選ぶのか」を一言で示す
- 違和感の除去:誤解を招く表現や、過度な煽りを減らす
- 受け皿の整合:視聴後に見に行く先が、同じ主張になっているか
🧠 補足:サーチリフトを動かすには、動画内で「検索語」を連呼するより、“探したくなる理由”を作る方が自然です。
例:迷いのポイントを言語化→比較軸の提示→「詳しくは○○で」と軽く背中を押す、など。
導入方法
失敗しない設計:先に“何を比べたいか”を決める
リフト系の分析は、結果を見てから考えると、どうしても解釈がぶれます。
先に「何を比べたいか」を決め、変える要素と変えない要素を固定するのがコツです。
何を改善したいか(想起/検討/指名など)を決める。
上がらない理由を仮説化(訴求/到達/導線)。
変えるのは一つ(例:冒頭、訴求、尺)に絞る。
過信を防ぐルール(比較条件/注釈)を置く。
勝ちパターンを型化して横展開する。
よくある“ズレ”と原因(チェック表)
リフトの結果が想定と違うとき、原因はだいたい決まっています。先に候補を持っておくと、会議が速くなります。
🎯 目的ズレ
頻出目的が“獲得”なのに、評価が“想起”だけになっている。
役割分担(短期/中長期)が曖昧で揉めやすい。
🎥 訴求ズレ
重要訴求が広すぎて刺さらない、または情報量過多で要点が消える。
冒頭の主張が弱いと伸びにくい。
🧾 導線ズレ
盲点視聴後の受け皿が薄い、または主張が違う。
検討が止まり、サーチや指名につながりにくい。
“改善の実験”を小さく回すテンプレ
初心者でも回しやすい、シンプルな実験テンプレです。
これを1〜2回回すと、自社に合う勝ち筋が見えやすくなります。
| 実験テーマ | 変える要素 | 見たい変化 | 期待する学び |
|---|---|---|---|
| 冒頭改善 | 最初の5秒だけ | 想起/検討が動くか | 刺さる言い方(誰の何を解決するか) |
| 訴求の一本化 | メッセージを1つに絞る | 好意/理解の改善 | 情報量と理解のバランス |
| 比較軸の提示 | 選ぶ理由を1つ入れる | 検討→サーチの動き | 検索したくなる要素は何か |
| 受け皿改善 | LP/記事の構成 | 検討の停滞解消 | 視聴後の不安点(FAQ) |
実験は、勝ち負けより学びが残る設計が大事です。
「何が効いたか」を言語化できる形で回すと、次の施策が速くなります。
社内共有のコツ(炎上させない)
- リフトは“意識/行動の変化”で、売上の確定値ではない、と一言添える
- 短期KPI(獲得)と中長期KPI(リフト)の役割分担を明示する
- 結論だけでなく、次のアクションをセットで出す(レポートで終わらせない)
- 比較条件(対象・期間・変更点)を固定して、結果の解釈をぶらさない
未来展望
YouTubeは“クリエイティブ運用”の比重がさらに上がる
これからのYouTube運用は、配信設定だけでは差がつきにくくなり、メッセージ設計と制作運用の比重が上がります。
リフト指標は、その運用を改善するためのフィードバックとして価値が高まります。
リフト×行動指標の“役割分担”が標準になる
実務では、リフトだけで評価するのではなく、行動指標(例:サイト行動、検索、指名、問い合わせなど)と組み合わせて、意思決定を安定させる流れが強くなります。
重要なのは、どの指標を“勝敗”にするかではなく、指標に役割を持たせることです。
ブランド安全性の観点でも“守りの指標”が必要に
視聴体験が重視されるほど、過度な煽りや誤解を招く表現はリスクになります。
今後は、リフトを伸ばすだけでなく、好意や納得感を守る運用もセットで求められます。
まとめ
YouTubeサーチリフト/ブランドリフトは、施策の良し悪しを断定するための指標というより、改善の詰まりを見つける指標です。
“数字が動く”のは、レポートを眺めた時ではなく、何をどう変えるかが具体化できた時です。
要点(持ち帰り)
- ✅ サーチ=行動寄り、ブランド=意識寄り。まず役割を分ける
- ✅ 結果は「良い/悪い」ではなく「どの段階が詰まったか」で読む
- ✅ 改善は、配信×クリエイティブ×導線の三層で当てる
- ✅ 一度に全部変えず、変数を絞って学びを残す
- ✅ 社内説明は“次のアクション”とセットで出す
FAQ
サーチリフトとブランドリフト、どちらを優先して見るべきですか?
「指名や関連検索を増やしたい」「比較検討の入口を作りたい」ならサーチリフトが分かりやすいです。
一方で「訴求が伝わっているか」「好意や検討が動いているか」を見たいならブランドリフトが有効です。
どちらか一方に寄せず、役割分担を決めてセットで見ると判断が安定します。
ブランドリフトが上がったのに、獲得が増えません。失敗ですか?
意識が動いても、導線(受け皿)や比較材料が弱いと、行動に移りにくいことがあります。
「導線の整合」「比較軸の提示」「不安の解消(FAQ)」などを改善すると、検討→行動につながりやすくなります。
サーチリフトが出ません。何を直すべき?
印象は良くても、比較軸や選ぶ理由が弱いと検索行動に移りにくいです。
改善としては、訴求を“特徴”から“選ぶ理由”へ寄せる、検索したくなるキーワードの整理、受け皿の情報強化が効きやすいです。
結果が毎回ブレます。安定して見えるようにするコツは?
対象・期間・変更点(変数)を固定し、同時にいろいろ変えないようにします。
また、短期の結論を急がず「学びが残る実験」として回すと、ブレても次の手が打ちやすくなります。
改善で最初に手を付けるならどこですか?
変数が明確で、学びが残りやすいからです。
そこで方向性が見えたら、比較軸の提示や受け皿(LP/記事)の整合へ広げると、改善が積み上がります。
社内にどう説明すれば納得されやすいですか?
そのうえで、短期KPI(獲得)と中長期KPI(リフト)の役割分担を示し、最後に「次の改善アクション」をセットで出すと納得されやすくなります。
煽り表現を使うとサーチは増えそうですが、やるべき?
リフトを伸ばす狙いなら、煽りよりも「選ぶ理由」「比較軸」「不安の解消」を丁寧に出す方が、ブランドを守りつつ伸ばしやすいです。

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