デジタルマーケティング担当者の皆様、こんにちは。
GA4(Googleアナリティクス4)やGTM(Googleタグマネージャー)は、デジタルマーケティングにおいて、データ分析に必要不可欠なツールです。 多くのマーケティング担当者にとって、日々の業務でGA4やGTMを活用することは当たり前になっているかと思います。
しかし、
「GA4の標準機能だけでは、少し物足りない」
「もっと詳細なユーザーデータを分析して、顧客理解を深めたい」
「GTMを駆使して、計測をレベルアップしたい」
と感じている方もいるのではないでしょうか。
顧客を深く理解し、デジタルマーケティング戦略をさらに向上させるためには、IPアドレスの活用が有効な手段の一つです。 IPアドレスから得られる情報をGA4と連携させることで、ユーザーの解像度を高め、よりパーソナライズされたマーケティング施策の実現に繋げることが可能になります。
そこで今回は、GA4、GTM、カスタムディメンションを組み合わせてIPアドレスを取得し、マーケティングに活用する方法について、デジタルマーケティング担当者の皆様に向けて詳しく解説します。
この記事を最後まで読んでいただければ、IPアドレス取得の基礎知識から、具体的な設定方法、活用事例、注意点まで、必要な情報を網羅的に理解することができます。 ぜひ、貴社のデジタルマーケティング戦略にお役立てください。
なぜIPアドレスをGA4で取得するのか?マーケティング上のメリット
そもそも、なぜIPアドレスをGA4で取得する必要があるのでしょうか? IPアドレスは、インターネットに接続されたデバイスに割り当てられる識別番号であり、ユーザーのおおよその地域や利用プロバイダなどの情報を把握することができます。
GA4でIPアドレスを取得し、分析に活用することで、以下のようなマーケティング上のメリットが期待できます。
- 地域別のユーザー分析: ユーザーのアクセス地域を把握することで、地域ごとのマーケティング施策の効果測定や、地域ターゲティング広告の最適化に役立ちます。
- ユーザー属性の理解: IPアドレスから、ユーザーが利用している回線の種類(企業回線、家庭回線など)を推測し、ユーザー属性の理解を深めることができます。BtoBマーケティングにおいては、企業からのアクセスを特定する手がかりにもなります。
- 不正アクセスの監視: 特定のIPアドレスからの異常なアクセスを検知し、不正アクセスやスパム行為の早期発見に繋げることができます。セキュリティ対策の観点からも有効です。
- コンテンツのパーソナライズ: ユーザーの地域情報に基づいて、コンテンツを出し分けることができます。地域に特化した情報提供や、多言語対応サイトにおける言語設定の最適化などに活用できます。
このように、IPアドレスから得られる情報は、マーケティング戦略において様々な可能性を秘めています。
ただし、IPアドレスの取得・利用にあたっては、個人情報保護に関する法令やプライバシーポリシーを遵守し、ユーザーに不快感を与えないよう配慮することが重要です。
IPアドレス取得に不可欠な3つのツール:GA4、GTM、カスタムディメンション
GA4でIPアドレスを取得するためには、以下の3つのツールを連携させることが必要です。
- GA4(Googleアナリティクス4): ウェブサイトやアプリのデータ計測・分析基盤。IPアドレスをはじめとする様々なユーザーデータを収集し、分析するための中心的な役割を担います。
- GTM(Googleタグマネージャー): ウェブサイトに設置するタグを一元的に管理するツール。IPアドレスを取得するためのJavaScriptコードを、ウェブサイトのコードを直接編集することなく実装できます。
- カスタムディメンション: GA4の拡張機能の一つ。標準機能では取得できないIPアドレスのようなデータをGA4に取り込み、分析軸として活用するために使用します。
これらのツールを組み合わせることで、ウェブサイト訪問者のIPアドレスをGA4上で効果的に取得し、詳細なデータ分析を行うことが可能になります。
GTM設定ステップ:カスタムイベント、変数、GA4イベントタグ
ここからは、GTM(Googleタグマネージャー)を使ってIPアドレスを取得し、GA4(Googleアナリティクス4)に送信するための具体的な設定手順を、以下のステップに沿って解説します。
- カスタムイベントトリガーの作成
- カスタムJavaScript変数の作成
- GA4イベントタグの設定とカスタムディメンション送信
- GTM変更の公開
ステップ1:カスタムイベントトリガーを作成
まず、GTMでIPアドレス取得の処理を開始するためのトリガーを設定します。
- GTMのワークスペースを開き、左メニューから「トリガー」を選択し、「新規」ボタンをクリックします。
- 「トリガーの設定」画面で、「トリガーのタイプを選択」の中から「カスタムイベント」を選択します。
- 「イベント名」欄に、任意のイベント名(例:
ipAddress取得
)を入力します。 - 「このトリガーの発生場所」オプションは、「すべてのカスタムイベント」を選択します。
- トリガーの名前欄に、トリガーを識別しやすいように任意の名前(例:
カスタムイベント - ipAddress取得
)を入力し、「保存」をクリックします。
ステップ2:カスタムJavaScript変数を作成
次に、実際にIPアドレスを取得するためのJavaScriptコードを記述した変数をGTMに作成します。
- GTMのワークスペース左メニューから「変数」を選択し、「新規」ボタンをクリックします。
- 「変数の設定」画面で、「変数のタイプを選択」の中から「カスタム JavaScript」を選択します。
- 「エディタ」欄に、以下のJavaScriptコードをコピー&ペーストします。
JavaScript
function() {
// IPアドレス取得処理 (例: jsonip.com API利用)
var xhr = new XMLHttpRequest();
xhr.open('GET', 'https://api.ipify.org?format=json', false); // 同期リクエスト
xhr.send();
if (xhr.status == 200) {
var response = JSON.parse(xhr.responseText);
return response.ip;
} else {
return null; // 取得失敗時はnullを返す
}
}
- 補足:上記のコードは、
https://api.ipify.org?format=json
というIPアドレス確認APIを利用してIPアドレスを取得する例です。APIの利用方法や利用規約については、各API提供元のドキュメントを必ずご確認ください。
- 変数の名前欄に、変数を識別しやすいように任意の名前(例:
カスタムJS - IPアドレス
)を入力し、「保存」をクリックします。
ステップ3:GA4イベントタグを作成し、カスタムディメンションを設定
作成した変数を使って、IPアドレスをGA4に送信するGA4イベントタグを作成します。
- GTMのワークスペース左メニューから「タグ」を選択し、「新規」ボタンをクリックします。
- 「タグの設定」画面で、「タグタイプを選択」の中から「Googleアナリティクス:GA4イベント」を選択します。
- 「設定タグ」のプルダウンから、GA4の設定タグを選択します。
- 「イベント名」欄に、GA4で識別するための任意のイベント名(例:
ip_address_get
)を入力します。 - 「パラメータ」セクションを開き、「パラメータを追加」ボタンをクリックします。
- 「パラメータ名」欄に任意のパラメータ名(例:
ip_address
)を入力します。 - 「値」欄に、ステップ2で作成したカスタムJavaScript変数(例:
{{カスタムJS - IPアドレス}}
)を選択します。 - 「トリガー」セクションで、「トリガーを選択」をクリックし、ステップ1で作成したカスタムイベントトリガー(例:
{{カスタムイベント - ipAddress取得}}
)を選択します。 - タグの名前欄に、タグを識別しやすいように任意の名前(例:
GA4イベントタグ - IPアドレス取得
)を入力し、「保存」をクリックします。
ステップ4:GTMの変更を公開
最後に、GTMで行った設定変更をウェブサイトに反映させるために、GTMの変更を公開します。 GTM画面右上の「公開」ボタンをクリックし、公開設定の概要を確認して「公開」をクリックします。
GA4でカスタムディメンションを定義するステップ
GTMでIPアドレスをGA4に送信する設定が完了したら、GA4側で受信したIPアドレスを分析に利用できるように、カスタムディメンションを定義します。
- GA4の管理画面を開き、左メニューから「カスタム定義」>「カスタムディメンション」を選択します。
- 「カスタムディメンションを作成」ボタンをクリックします。
- 「新しいカスタムディメンション」画面で、以下のように設定します。
- ディメンション名: 任意のディメンション名(例:
IPアドレス
)を入力します。 - スコープ: 「イベント」を選択します。
- イベントパラメータ: GTMのGA4イベントタグで設定したパラメータ名(例:
ip_address
)を入力します。
- ディメンション名: 任意のディメンション名(例:
- 「保存」ボタンをクリックします。
以上の設定で、ウェブサイトにアクセスしたユーザーのIPアドレスがGA4で計測され、レポート上で分析に活用できるようになります。 GA4のレポート画面で、カスタムディメンションとして定義したIPアドレスを確認し、様々な分析に役立ててみてください。
IPアドレス取得・利用時の注意点:プライバシー保護と法令遵守
IPアドレスの取得は、マーケティング戦略に新たな可能性をもたらす一方で、プライバシーに関わる情報を取り扱うため、注意が必要です。 IPアドレスは、個人情報保護法における「個人情報」には該当しませんが、「個人関連情報」に該当する可能性があります。 そのため、IPアドレスを取得・利用する際には、以下の点に留意し、法令遵守とユーザープライバシーに最大限配慮した運用を行うように心がけましょう。
- 利用目的の明確化とユーザーへの告知: IPアドレスをどのような目的で利用するのかを明確にし、プライバシーポリシー等に明記することが必要です。ウェブサイト上で告知するなど、ユーザーに理解しやすい形で利用目的を通知・公表しましょう。
- 取得方法の透明性確保: IPアドレスをどのような方法で取得しているのか、ユーザーに説明できるように情報公開に努めることが望ましいです。
- データ管理とセキュリティ対策: 取得したIPアドレスデータは、漏洩や不正利用などが起こらないよう、適切なデータ管理体制を構築し、セキュリティ対策を講じることが不可欠です。
- 法令 및 ガイドライン遵守: 個人情報保護法をはじめとする関連法令、業界ガイドライン等を遵守し、違法な情報収集や利用は絶対に行わないでください。
- ユーザーからの問い合わせ対応: ユーザーからIPアドレスの取得や利用に関する問い合わせがあった場合に、適切に対応できる窓口を設置し、誠実な対応を心がけましょう。
IPアドレスの取得は、ユーザーとの信頼関係の上に成り立つものです。
プライバシーへの配慮を怠ると、ユーザーからの信頼を失墜させ、マーケティング活動に悪影響を及ぼす可能性があります。
常にユーザーのプライバシーを最優先に考え、倫理的かつ責任あるデータ活用を実践していくことが、デジタルマーケターに求められる姿勢と言えるでしょう。
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