インテントデータでB2B営業を効率化

Seminar

インテントデータでB2B営業を効率化

 

インテントデータと顧客データを組み合わせ、B2Bの長い検討期間でも「今の興味」を捉えて営業・マーケ連携を進める実践ポイントを解説します。

 

登壇者紹介

本セミナーには、株式会社インティメート・マージャー 代表取締役社長の簗島亮次氏と、株式会社ベーシック ferretマーケティング部 部長の林 侑平氏が登壇されました。簗島氏は、インターネット上の行動データを基盤としたデータ活用の領域で長く事業を牽引されており、近年注目が高まる「インテントデータ」を営業・マーケティングの現場でどう活かすかを具体的に解説されました。林氏はB2B営業のキャリアを起点に、SaaS領域でカスタマーサクセスやセールス責任者、パートナーセールス立ち上げなどを経て、現在はマーケティング全体を統括されています。B2B企業のマーケティング実行力を高める支援として、ノーコードCMSとMA(マーケティングオートメーション)を組み合わせた「ferret」の提供背景や、現場で起きやすい課題感を交えながら議論を深められました。

 

セミナーの背景と問題意識

本ウェビナーは、B2Bの営業・マーケティング領域で「データ活用をどう営業効率化につなげるか」をテーマに開催されました。B2Bでは、見込み顧客が興味を持ってから契約に至るまでのリードタイムが長期化しやすく、検討フェーズを見誤ると、営業側は無駄な架電や追客に時間を使い、マーケティング側は商談につながらないリードの創出に悩みやすくなります。

 

加えて、従来のアタックリスト作成は「企業規模」「業種」「展示会出展の有無」など、いわゆる属性情報に寄りがちでした。しかし、属性情報だけでは、顧客が“いまこの瞬間に何を調べ、何に興味を持っているのか”が見えにくく、タイミングのズレが起きやすい点が問題として提示されました。

 

そこで焦点となったのが、インテントデータの活用です。インテントデータとは、Web上の行動履歴などから読み取れる興味関心情報を、法人単位で整理したデータです。広告領域で培われた行動データの考え方を、営業活動の効率化へと拡張する動きが広がっている点が、セミナーの土台として共有されました。

 

キーメッセージと発言ハイライト

セミナーの核となったメッセージは、「顧客の“今のニーズ”を捉えることが、営業の効率化と体験価値の向上につながる」という点でした。従来の属性中心のリストでは拾いにくかったリアルタイムの検討状況を、インテントデータが補完できるという整理です。

 

インテントデータは、Web上の行動履歴のような興味関心情報を法人単位でまとめたものです。(簗島氏)

 

さらに、インテントデータは単体で完結するものではなく、企業が自社で保有する顧客データと組み合わせることで真価を発揮する点も強調されました。ここでいう顧客データは、たとえば自社サイトのアクセスデータ、フォームで取得したリード情報、メール配信データ、SFA(営業支援システム)に蓄積された商談記録などです。これらが分断されると、行動履歴に基づく適切なアプローチが難しくなるため、「一元化して蓄積すること」が重要な前提として語られました。

 

B2Bで最終的に必要なのは、信頼をいかに得られるかです。そのために顧客接点を多く持ち、情報接点を持ち続けることが重要です。(林氏)

 

「信頼」を得るための具体像として、継続接触と行動履歴の活用が挙げられました。新規リードから契約までには複数回のタッチポイントが必要になりやすく、接触回数が増えるほど、相手の状況変化を捉える仕組みが欠かせません。ここでMA(マーケティングオートメーション)を活用し、メール配信や行動検知を自動化しながら、必要なタイミングで営業が動ける状態を作る重要性が示されました。

 

AIやデータ活用は、気づいたら勝手にアウトプットされていた、という状態をいかに作れるかが大きなテーマです。(林氏)

 

また、議論の中では「データを使うこと自体が目的化してしまう」リスクも取り上げられました。重要なのは、データの種類やツール導入ではなく、営業活動のアウトプットをどう良くしたいのかという目標設定です。例えば「商談化率を上げたい」「ホットなリードに集中したい」といった目的に対して、最適なデータと施策が選ばれる状態が理想として描かれました。

 

データを活用すること自体を目的にすると、目的を見失ってしまいます。何を理想とするかを先に決めることが大事です。(簗島氏)

 

実践的な取り組みと事例

実践のパートでは、インテントデータの取得元と活用ステップが具体化されました。インテントデータは、Web上の行動データをデータベースに蓄積し、分析して活用する形で提供されます。データの大枠には、ファーストパーティデータとサードパーティデータがあります。

 

ファーストパーティデータは、自社サイトや自社コンテンツで得られるデータです。例えば、どのページを深く読んでいるか、どのテーマに反応しているかといった行動から、課題や検討フェーズを推測できます。一方でサードパーティデータは、自社サイト外で得られる行動情報で、検索行動、ニュース閲覧、比較サイトの閲覧など、より広い範囲の興味関心を捉えられる点が特徴です。自社の流入だけでは作りにくい“潜在的な興味”の候補を見つけるうえで重要になります。

 

また、実務上のステップとしては、IPアドレスなどから法人判定を行うデータベースと連携し、行動データと法人情報を紐付けて分析する方法が紹介されました。さらに、Googleアナリティクスの情報と組み合わせて分析するケースが多い点も共有されています。こうした連携により、「どの企業が、いま何に関心を持っているか」を捉え、ホットなリードに優先的にアプローチできる状態を作ります。

 

MAの活用例としては、ターゲットと配信内容を選ぶと、AIがシナリオ提案、メール文面の生成、配信予約、配信結果のレポート化まで支援するデモが紹介されました。行動検知によって「料金ページを見た」「クリックした」などのシグナルが拾えれば、営業は“連絡すべき理由”を持って会話を始めやすくなります。断られた場合でも、次に送るべき有益コンテンツの案内に切り替えられるため、接触がノイズではなく価値提供として成立しやすくなります。

 

断られても、その後メールで有益な情報を配信できるので、次のアクションを起こしやすくなります。(林氏)

 

ここで重要になるのが、用語の理解です。MA(マーケティングオートメーション)は、見込み顧客の育成や情報提供を自動化する仕組みです。SFA(営業支援システム)は、商談記録や活動履歴を蓄積し、営業組織全体で共有するための基盤です。これらのデータが分断されると、行動履歴に合わせた最適な接触が難しくなるため、データ連携の設計が成果を左右します。

 

今後の展望とまとめ

セミナー全体を通して描かれた未来像は、「人がやるべき仕事に集中できる営業組織」です。残業の削減、無駄なリストへの架電の削減、そして顧客と向き合う時間の最大化が次世代営業の方向性として語られました。その実現手段として、データとAIは“人の仕事を奪う”のではなく、“人がやらなくていい作業を引き受ける”存在として位置づけられました。

 

データとAIで自動化できるところは自動化し、人がラストワンマイルのコミュニケーションに集中できる状態が重要です。(簗島氏)

 

また、B2Bにおけるマーケティングと営業の壁は、組織構造の問題であると同時に、目標設計とデータ活用設計の問題でもあります。目標が共通である以上、どの指標を成果と見なし、どのデータを使って“次の一手”を出すのかを、両者で揃えていくことが欠かせません。そのうえで、インテントデータは「相手の状況を慮るためのデータ」として、接触体験を心地よいものに変える可能性があります。

 

最後に、今日からの実践としては、まず「営業効率をどう良くしたいのか」という目標を言語化し、次に自社内のデータ分断を減らし、行動履歴に基づくアプローチを試せる環境を整えることが出発点になります。その上で、外部のインテントデータを掛け合わせれば、より精度の高い優先順位付けと、適切なタイミングでの提案が可能になります。

 

データ活用は難しいものとして構えてしまいがちですが、理想は「気づいたらアウトプットが出ている」状態です。営業とマーケティングが同じ方向を向き、AIとデータが裏側で支え、顧客接点の質と量が両立する世界が、これからのB2Bの標準になっていくはずです。

 

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