広告×クッキー対策の未来会議 – 今後マーケターが取るべき最適解を徹底議論
本日は、株式会社ダイレクトカスタマー事業統括部 統括部長 廣 遥馬氏、株式会社マイクロアド (MicroAd)プロダクト戦略部 シニアマネージャー 松本 宗明氏、株式会社メディックス (medix) コンシューマーマーケティング推進ユニット ユニット長 當流谷 圭氏、株式会社インティメート・マージャー 代表取締役 簗島 亮次氏の4名の方々にご登壇いただき、広告×クッキー対策の未来について議論していただきます。
登壇者紹介
- 株式会社ダイレクトカスタマー事業統括部 統括部長 廣 遥馬氏
私はイルグルムという会社で複数サービスの運用をしています。会社としてはマーケティング支援の会社になっておりまして、サービスとして特に有名なのは、広告の測定サービスであるアドエビスというものを提供させていただいております。
株式会社ダイレクトカスタマー事業統括部 統括部長 廣 遥馬氏
- 株式会社マイクロアド (MicroAd)プロダクト戦略部 シニアマネージャー 松本 宗明氏
私自身、マイクラードに16年に入社し、長く在籍しているのですが、今日は弊社が提供しているDSPであるユニバースアズについてお話しさせていただきます。ユニバースアズは、データを使ってターゲティングが何でもできるサービスを提供していますが、クッキー規制に対してどのように対応しているのかという点についても、皆様と議論できればと思います。
株式会社マイクロアド (MicroAd)プロダクト戦略部 シニアマネージャー 松本 宗明氏
- 株式会社メディックス (medix) コンシューマーマーケティング推進ユニット ユニット長 當流谷 圭氏
私の苗字は全国に40人ほどしかおらず、もし私以外で當流谷という苗字の方と出会ったら、親戚なのでぜひ仲良くしていただければと思います。さて、私の紹介ではなく会社の紹介をさせていただきます。我々は、一般的なウェブ広告の代理店だと捉えていただければと思います。そのため、本日一緒に登壇させていただく会社さんと連携しながら、お客様の売上拡大を支援させていただいております。
株式会社メディックス (medix) コンシューマーマーケティング推進ユニット ユニット長 當流谷 圭氏
- 株式会社インティメート・マージャー 代表取締役 簗島 亮次氏
今日は、DMP(データマネジメントプラットフォーム)の専門家として、サードパーティークッキー規制や今後の展望、そして我々の考えについてお話しさせていただきます。ぜひ皆さんからの質問もいただけると嬉しいので、よろしくお願いいたします。
株式会社インティメート・マージャー 代表取締役 簗島 亮次氏
クッキー規制とは
クッキー規制には法的規制と技術的規制の2つの側面があります。法的規制としては、ヨーロッパのGDPR、アメリカのカリフォルニア州の規制、日本の改正個人情報保護法や電気通信事業法改正などがあり、クッキーを個人情報として定め、規制していく流れがあります。一方、技術的規制としては、アップルのITP(Intelligent Tracking Prevention)やアプリのトラッキング制限、Googleのサードパーティークッキー廃止宣言などが挙げられます。
クッキーにはファーストパーティークッキーとサードパーティークッキーの2種類がありますが、今回の規制で主に対象となっているのはサードパーティークッキーです。この規制により、ウェブマーケティングにおけるコンバージョン計測やリターゲティング広告などに影響が出ています。
特にITPなどのさまざまな規制は、サードパーティークッキーを中心に進められており、ウェブマーケティングの世界では大きな影響を与えています。具体的には、コンバージョンの計測、特に広告媒体での計測や、リターゲティングのタグでユーザーのリストが溜まらなくなるといった問題があり、これらがマーケティング活動において大きな規制となっている状況かと思います。
株式会社メディックス (medix) コンシューマーマーケティング推進ユニット ユニット長 當流谷 圭氏
クッキー規制による影響
クッキー規制によって、リターゲティング広告や追跡型広告の配信が難しくなったり、コンバージョン計測ができなくなったりするなど、ウェブ広告に大きな影響が出ています。
従来型のサードパーティークッキーを使ったリターゲティング広告は、今後出せなくなります。特に日本ではiPhoneの利用割合が高く、サードパーティークッキーが取得できないブラウザの割合も大きいため、既にリターゲティング広告が出せないケースが増えています。このような状況を考えると、リターゲティング広告はリーチできる端末がますます限定的になり、さらに影響が大きくなっているといえます。既に影響が出ており、今後さらに大きくなるという認識で間違いないと思います。
株式会社インティメート・マージャー 代表取締役 簗島 亮次氏
また、クッキーが規制されることで、ユーザーにとって不便になることもあります。例えば、最適化されたターゲティング広告が表示されなくなったり、クッキーの同意を求めるポップアップが増えたりするなどの影響が考えられます。
広告を通じて無料で閲覧できる記事などは、ターゲティング広告によって最適なものが表示されることで成り立っている部分が大きいです。しかし、クッキーがなくなることでターゲティングの精度が低下し、ユーザーにとって関係のない広告が表示される「うざい広告」が増えてしまう可能性があります。そうなると、ユーザーも不快に感じることが増えてくるのではないかと考えています。
株式会社ダイレクトカスタマー事業統括部 統括部長 廣 遥馬氏
今後のターゲティング戦略
クッキー規制が強化されていく中で、今後のターゲティング戦略としては、まず各プラットフォームやツールで何ができるのかを把握し、自社のユーザーがどういう経路で来ているのかを詳細に分析することが重要です。そして、その分析結果をもとに、最適なソリューションを選択し、PDCAサイクルを回していくことが求められます。
誰に届けたいかをまず明確に定義し、その人に最適なソリューションを検討して配信を行い、結果が良くなければやめ、良ければ継続するというサイクルを繰り返すことが重要です。このプロセスを通じて、ターゲットとなるお客さんにメッセージが届いたかどうかを評価できるようになります。これにより、単なるメディア選定にとどまらない、より効果的な改善ができるようになるため、このような取り組みが非常に大切だと考えています。
株式会社ダイレクトカスタマー事業統括部 統括部長 廣 遥馬氏
また、ファーストパーティーデータの活用や、コンバージョンAPIの導入なども有効な手段の一つです。
最新のトレンドとしては、ファーストパーティーデータをどう活用し、特に広告分野ではそれを機械学習にどう生かすかが非常に重要になってきています。現在は、ファーストパーティーデータの活用に向けて、クライアント側が取り組みを始めているというのが特徴的な動きだと感じています。広告代理店としても、ファーストパーティーデータを提供するのが難航するケースが少なくありませんが、こうしたデータ活用に関する会話をクライアントとする機会が増えてきているのが現状です。
株式会社メディックス (medix) コンシューマーマーケティング推進ユニット ユニット長 當流谷 圭氏
まとめ
クッキー規制によって、ウェブ広告の配信や計測に大きな影響が出ていますが、各社はさまざまな対策を講じています。マーケターとしては、自社に合った最適な手法を見つけ、PDCAサイクルを回していくことが重要です。そのためには、各ツールを試したり、自社のユーザー像を詳細に分析するなど、地道な努力が必要不可欠です。
登壇者の皆様からは、コンバージョンAPIの導入、ファーストパーティーデータの活用、分析手法の高度化など、さまざまなソリューションが提示されました。ウェブ広告の世界は大きく変化していますが、そこには新たなチャンスも潜んでいます。今回のセミナーを機に、皆様のマーケティング活動が一層進化していくことを願っております。