ポストクッキー時代のDSPを活用した広告効果最大化とターゲティング精度向上策
ポストクッキー時代に突入し、これまでのターゲティング手法が通用しなくなる中、DSP※1を活用した新たな広告効果最大化とターゲティング精度向上策とは何か。株式会社インティメート・マージャー代表取締役の簗島亮次氏とPersona.ly カントリーディレクターの高尾宗明氏、業界の最前線で活躍する2人の専門家が語ります。
ビッグテック依存からの脱却が急務に
高尾氏は、日本企業の多くが広告予算の8〜9割をGoogleやFacebook、Twitterなどのビッグテック系に投じている現状を指摘します。
実際、ビッグテック系の媒体でリーチできるのはインターネットユーザーの6〜7割程度。DSPを活用すれば、残りの3〜4割にもアプローチできる。海外の企業はDSPにもしっかり予算を割いているが、日本はまだ遅れている。(高尾氏)
簗島氏も、ビッグテック依存は広告効果の面で大きなデメリットがあると指摘。
ビッグテック系の在庫は皆が取り合うので、広告単価が上がる一方。一方、DSPの在庫は余っているので、うまく活用すれば費用対効果の高い広告運用ができる。(簗島氏)
ビッグテックは利便性が高い反面、差別化が難しく、新しい手法を取り入れづらい側面もあるようです。ポストクッキー時代を見据え、DSPなど新しい選択肢を持つことが重要と言えそうです。
クリエイティブ領域にイノベーションの兆し
今後、ターゲティングの精度を上げるには、クリエイティブ領域の強化が鍵を握ると両氏は見ています。
これからはクリエイティブにフォーカスし、良質なクリエイティブを生み出すテクノロジーが求められる。NOVAのような技術は有望だ。(高尾氏)
生成AIを活用し、大量のクリエイティブを生成してPDCAサイクルを高速で回すことで、最適なクリエイティブを見つけ出せる。人間とAIの分業が進むだろう。(簗島氏)
生成AIの発達により、クリエイティブの在り方自体が変わる可能性もあります。テキストや画像、動画などあらゆるクリエイティブ領域で、生成AIを活用したイノベーションに注目が集まります。
日本は生成AI活用で世界をリード
生成AIの活用については、日本が世界に先駆けている部分もあるようです。
欧米では生成AIに規制があるが、日本は比較的自由。だからこそ、日本の動向は世界から注目されている。リスクはあるが、先行者利益を得られるチャンスでもある。(高尾氏)
各国でデータ保護規制の違いはあるものの、日本の生成AI活用の取り組みは、世界的に見ても先進的と言えそうです。
まとめ
ポストクッキー時代のデジタル広告では、DSPの活用が鍵を握ります。ビッグテック一辺倒から脱却し、クリエイティブ領域にイノベーションを起こすことが求められます。生成AIの活用は日本が世界をリードするチャンスであり、広告業界は大きな変革期を迎えていると言えるでしょう。
※1 DSP(デマンドサイドプラットフォーム):広告主側で広告枠を一括購入・配信するシステムのこと。