データ×戦略で導く広告運用の最適解|成果を最大化する設計とAI活用の新常識
広告運用の自動化が進む今、成果を分けるのは「初期設計」と「データ検証」です。戦略的なターゲット選定からAI・データを活用した最新のカスタマージャーニー設計まで、事例を交えてプロが詳しく解説します。
登壇者紹介
本セッションでは、企業のマーケティング支援を最前線でリードするお二人にご登壇いただきました。まず、株式会社インティメート・マージャー代表取締役社長の簗島亮次氏です。簗島氏は、データ活用とAIのスペシャリストとして、国内最大級のデータマネジメントプラットフォーム(DMP)を運営し、数多くの企業のデータドリブンマーケティングを支援されています。続いて、KURO HOLDINGS株式会社の取締役であり、マーケティングソリューション事業部 事業部長を務める佃雅博氏です。佃氏は、自社でのEC事業運営やSNSマーケティングの豊富な知見を活かし、戦略策定から実行まで一貫した伴走型のコンサルティングを提供されています。
セミナーの背景と問題意識
現代のデジタル広告運用において、GoogleやMetaなどの媒体側による自動化が進んでいます。かつてのような手動での入札調整といった「運用テクニック」の価値が相対的に低下する中で、今最も重要視されているのが「誰に、何を届けるか」という初期の戦略設計です。
多くの企業が「とにかく売上を上げろ」という号令のもと、戦略が不明確なまま施策を走らせてしまい、現場が疲弊するケースが見受けられます。また、広告の成果報告が「CPA(顧客獲得単価)」などの数値報告に留まってしまい、全体像を踏まえた深い検証ができていないという課題も浮き彫りになっています。
本セミナーでは、こうしたブラックボックス化しがちなマーケティングの現状を打破するために、データと戦略をどのように掛け合わせるべきかが論じられました。
キーメッセージと発言ハイライト
セミナーを通じて強調されたのは、媒体の自動学習を正しく機能させるための「良質なインプット」の重要性です。
媒体が自動最適化していく中で、最初に与えられる情報や、やりたいことが明確化されていないと成果に繋がりません。誰に何を届けるかというマーケティングの原理原則の設計が重要です。(佃氏)
また、データの重要性についても、簗島氏より印象的な比喩が示されました。
AIをエンジンとするならば、データはガソリンのようなものです。AIをより良く活用するためには、データの質と使い方が鍵となります。(簗島氏)
さらに、カスタマージャーニー(顧客が購入に至るまでのプロセスを可視化したもの)の必要性については、両氏ともに「共通言語としての地図」の役割を果たすと述べています。
実践的な取り組みと事例
具体的な実践方法として、KURO HOLDINGSが手掛けるインテリアセレクトショップ「テリトリー」の事例が紹介されました。
1. 徹底したターゲットとインサイトの設計
単なる「女性」という括りではなく、20代〜30代後半、都市部の1人〜2人暮らしといった詳細な属性をファクトベースで特定しています。さらに、「統一感のある部屋作りをしたい」「失敗したくない」といったユーザーのインサイト(潜在的な本音)を深掘りし、それに応えるコンテンツを提供することで、Instagramフォロワー10万人、売上拡大という成果を収めています。
2. データドリブンなカスタマージャーニーの自動生成
インティメート・マージャー社が提供する最新のソリューションでは、膨大な「サードパーティデータ(自社以外のメディア等から収集されたデータ)」を活用し、数分で精緻なカスタマージャーニーを可視化することが可能です。
これにより、「自社サイトに来ているのはどんな層か」「どこで離脱しているのか」をリアルタイムで把握できます。従来の「会議室で想像して作るジャーニー」ではなく、実際の行動データに基づいた設計が可能になった点は、大きな変革といえます。
※注釈:DMP(データマネジメントプラットフォーム)とは、インターネット上の様々な情報を蓄積・管理し、マーケティングに活用するための基盤のことです。
今後の展望とまとめ
セミナーの締めくくりとして、これからのマーケティングにおいて重要な3つのポイントがまとめられました。
- 戦略とデータの両輪が必要であること。戦略なき分析は軸を失い、データなき戦略は精度を欠きます。
- カスタマージャーニーは「作って終わり」ではなく、市場の変化に合わせて3ヶ月程度の頻度で見直すのが理想です。
- リソース不足を解消するために、AIや外部ツール、そしてプロフェッショナルの知見を適切に頼ることが成果への近道となります。
広告成果を左右するのは、もはや管理画面の操作ではありません。顧客を深く理解し、その行動をデータで検証し続ける「思考法」こそが、これからの時代に求められる最適解と言えるでしょう。

