ポストクッキー時代のB2Bリード獲得戦術 – 成果を最大化する3つの秘訣
本記事では、ポストクッキー時代におけるB2Bマーケティングの現状と課題、そして成果を最大化するための秘訣について、株式会社インティメート・マージャー代表取締役の簗島亮次氏、株式会社スリーシェイク代表取締役社長の吉田拓真氏、株式会社EventHubマーケティング/PRマネージャーの鈴木優一氏の3名の専門家にお話を伺いました。
登壇者紹介
簗島亮次氏は、データマネジメントプラットフォーム(DMP)の提供・運用・開発を行う株式会社インティメート・マージャーの代表取締役で、ポストクッキー対策の重要性を指摘しています。
このDMPは、実質的にサードパーティークッキーを多用しているサービスです。もし今後、サードパーティークッキーが使用できなくなれば、事業の継続が困難になるでしょう。(簗島氏)
吉田拓真氏は、クラウドレイヤーの技術支援を中心に事業を展開する株式会社スリーシェイクの代表取締役社長で、同社の取り組みを紹介しています。
4年前から『deconer』というデータ連携のETLソリューションを販売しており、様々なSaaSを連携させてデータ活用を円滑に行うための基盤を提供しています。(吉田氏)
鈴木優一氏は、イベントマーケティングプラットフォーム「EventHub」を提供する株式会社EventHubのマーケティング/PRマネージャーで、イベントマーケティングの変化について語っています。
イベントは本当にコロナの前後で大きく姿形変化を繰り返していると思っています。(鈴木氏)
B2Bリード獲得の現状と課題
簗島氏は、B2Bマーケティングとデジタルマーケティングの距離が近づいている現状について、以下の様に分析しています。
コロナになって今日もウェビナーとかリモートでの打ち合わせとかそういったところも増えてきているところでいくと、結構デジタルマーケティングと営業活動、営業活動をしたときにデジタルの設定を持っていくだったりとか、そこに対して何らかの情報を提供していくみたいな感じで、そういったような取り組みっていうのがこの営業活動の領域にすごくシームレスに溶け込みつつあるかもしれません。(簗島氏)
一方で、吉田氏は、データ活用における課題とデータの名寄せの重要性を述べました。
意外と皆さんちゃんと集約してそれぞれの流入経路をガッチャンコしてですね全体のリードソースとしてどうしていくんだっけっていう風に見ている方っていうのは意外と少ないです。名前が重複してレコードが登録されていると、本当は同じ人なのに全然違うレコードとして登録されているので、ここがやっぱり揺れてっていうことによってリードソースの管理っていうのが荒くなってしまいます。(吉田氏)
鈴木氏は、イベントマーケティングにおける集客の課題について広告コストの上昇を課題として挙げて、言及しました。
イベント集客となるとFacebook広告を使いながら集客していく人々って多いなと思っておりまして、実際僕たちもFacebook広告を使いながら集客とかしてますけれども、CPAが2倍とか3倍とかに上がってくるような形で影響が出ています。(鈴木氏)
ポストクッキー時代のB2Bリード獲得戦術の未来
簗島氏は、ポストクッキー時代のB2Bリード獲得戦術に関する対策や施策を提言しました。
クッキーが使えないブラウザへのリーチを広げてくるっていうのはすごく重要です。僕らのようなソリューションを使ってクッキーが使えないブラウザーへのターゲティングをしていきましょうみたいな視点で僕らのサービスを使っていきましょう。データを使ってユーザーに合わせてリアルタイムに変えていくみたいなところをやっていくみたいなところで、よりユーザーにマッチした広告を出していきましょう(簗島氏)
吉田氏は、データ活用の範囲が広がることにも期待を寄せています。
本当に2人とか3人の会社でも当たり前のようにやっていくし、もう本当に大企業ももちろんやるしという形で、本当にそれぞれ身の丈にあったデータ基盤とかを使いながら活用はもうみんな同じことをやっていくというところができる未来が来るのかなと予測しています。売れるっていうところまでのマーケティングではなくて、そのカスタマーサクセスのデータとかもたぶん将来的にはデータ活用にまた入ってくるかもしれません(吉田氏)
鈴木氏は、イベントを通じた顧客との直接的なコミュニケーションの重要性やイベント後のリードナーチャリングの在り方についても言及しました。
直接お客様の情報を入手していくっていうところをイベントって結構効率的にできますよっていうことだけは簡単に紹介できれば嬉しいなって思っています。大量に獲得したリードっていうのをハウスリードとして溜め込んだ後に、そこからお客様とのコミュニティーとかの活動をしていくというところで、お客様とのコミュニケーションをより頭に汗かきながらやっていきます(鈴木氏)
まとめ
ポストクッキー時代のB2Bリード獲得においては、クッキーに依存しない新たな施策の導入と、データ活用の高度化が求められます。本記事で紹介した専門家の方々の知見を参考に、自社に合ったリード獲得戦術を構築していくことが重要だと言えるでしょう。
また、イベントマーケティングにおいては、オンラインとオフラインを組み合わせたハイブリッド型のイベントが主流になりつつあります。イベントを通じて獲得したリードに対し、適切なナーチャリングを行うことで、効果的なリード育成が可能になります。
ポストクッキー時代のB2Bマーケティングでは、変化に柔軟に対応しながら、データを活用した戦略的なアプローチが求められます。自社の強みを生かしつつ、新たな手法にもチャレンジしていくことが、成果の最大化につながるのではないでしょうか。
【注釈】
・データマネジメントプラットフォーム(DMP):企業が持つ顧客データと外部データを統合し、分析・活用するための基盤システムのこと。
・ETL:Extract(抽出)、Transform(変換)、Load(ロード)の略で、異なるシステム間でデータを転送・加工・統合するプロセスを指す。
・CPA:Cost Per Actionの略で、広告の成果(資料請求、申込など)1件あたりの単価のこと。
・リードナーチャリング:見込み客(リード)を育成し、購入意欲を高めていくための一連の施策のこと。