データクリーンルームとプライバシーテックで広告効果を最大化する方法
本セミナーでは、株式会社インティメート・マージャー代表取締役の簗島亮次氏と、株式会社Acompany取締役COOの佐藤礼司氏のお二人に、ポストクッキー時代のデータ活用と広告戦略について議論していただきました。
クッキー規制の現状とデータ活用の課題
簗島氏によると、クロームのサードパーティークッキー規制が始まり、iPhoneユーザーが多い日本ではその影響を感じる機会が増えているとのこと。アドテク系の会社の決算でも影響が出ており、CPA(顧客獲得単価)が悪化している企業もあるそうです。
データ活用における課題は、
今までできていたことの代替手段をどう見つけるか
だと簗島氏は指摘します。共通IDソリューションや確定ID、分析ツール、データクリーンルームなど、様々な選択肢がある中で、どれを選ぶべきか悩む企業が多いようです。
プライバシーを考慮した効果的なデータ活用と広告戦略
佐藤氏は、自社のファーストパーティーデータだけでは限界があるため、セカンドパーティーやサードパーティーのデータも活用する必要があると述べています。
ただし、プライバシー保護の観点から、ワントゥーワンのマーケティングは難しくなってきているため、プライバシーテックを用いてデータを加工し、機械学習モデルや統計データとして活用することが重要だと指摘します。
具体的には、データクリーンルームを使って複数企業のデータを安全に連携させ、プライバシーを保護しながらデータ活用を進めることが有効だと佐藤氏は提案しています。
自社のファーストパーティーデータとパートナーとかあるいは第三者のデータっていうのを、どうやってうまく新しい広告配信等のビジネスに使っていけるのか、その時にデータクリーンルームをどう活用するのかというところで、ご相談いただくケースが増えています。(佐藤氏)
ポストクッキー時代のデータ活用の未来
簗島氏は、ポストクッキー時代には様々なデータを掛け合わせて広告配信を行うことが重要になると予想しています。ターゲティング広告では、自社の共通IDだけでなく、他社のIDや属性情報も組み合わせて活用することが求められます。また、属性に合わせたクリエイティブを自動生成するなど、データドリブンなアプローチも必要だと指摘します。
佐藤氏は、国内の大手企業が自社のデータを活用して新しいエコシステムを作る動きが加速すると予想しています。データクリーンルームを活用することで、自社だけでは実現できないデータ活用が可能になるとのことです。
また、リアル店舗の来店データとオンラインデータを連携させるなど、オフラインデータの活用も進むと簗島氏は予想しています。顔認証などの技術を使って、店舗に来た顧客の属性を分析し、マーケティングに役立てることができるようになるかもしれません。
まとめ
ポストクッキー時代を迎え、企業はプライバシーに配慮しながらデータ活用と広告戦略を見直す必要に迫られています。自社のファーストパーティーデータだけでなく、セカンドパーティーやサードパーティーのデータも活用し、データクリーンルームなどのプライバシーテックを用いてデータを安全に連携させることが重要です。
また、ワントゥーワンのパーソナライズされたマーケティング手法、一人一人の顧客に合わせて最適化されたアプローチを行うマーケティングが難しくなる中、機械学習や統計データを活用した新しいアプローチも必要とされています。オンラインデータとオフラインデータを連携させるなど、データ活用の幅を広げることも求められるでしょう。
企業は、プライバシー保護とデータ活用のバランスを取りながら、ポストクッキー時代に適した広告戦略を模索していく必要があります。本記事が、皆様の一助となれば幸いです。