クッキー規制後のECサイトのマーケティング戦略 – データドリブンで顧客理解を深める
本記事では、株式会社インティメート・マージャー代表取締役の簗島亮次氏と、株式会社シナブル執行役員の曽川雅史氏の対談形式で、クッキー規制後のECサイトのマーケティング戦略について議論します。
登壇者紹介
簗島亮次氏は、アルゴリズムのコンテストで過去に世界3位の実績を持ち、データを活用した課題解決を得意としています。最近ではGPTを用いた業務効率化にも取り組んでいます。
曽川雅史氏は、ECサイト向けのカスタマーエクスペリエンス(CX)プラットフォーム「シナブル」を提供する株式会社シナブルで執行役員を務めています。ECサイトの顧客体験の改善に関する豊富な知見を持っています。
クッキー規制がマーケティングに与える影響
簗島氏によると、
クッキー規制の影響で、リターゲティング広告の効果が下がったり、ボリュームが出なくなったりしているという実感を持つ企業が増えている
とのこと。特にiPhoneやPCブラウザでのサードパーティクッキーの取得が難しくなっており、売上の3分の2を占めるこれらのブラウザへのアプローチが課題になっているようです。
一方、曽川氏は、
ファーストパーティクッキーを使ったCRMの施策に関しては、iPhoneのSafariで7日間の制限があるものの、カゴ落ちメールなどは送信できているため、そこまで大きな影響は出ていない
という見方を示しました。
ファーストパーティデータの重要性
クッキー規制の影響で、自社で収集したファーストパーティデータの重要性が高まっています。曽川氏は、
ECサイトにおいては、まずは購入してもらい、会員登録をしてもらうことでデータ収集をスタートさせることが肝要
だと指摘。購入率を上げるためのサイト改善に注力し、LINEやSNSでの情報発信を通じて顧客との接点を増やすことが大切だと述べました。
簗島氏も、
個人情報保護法の改正によって、適切な方法でデータを収集すれば、ファーストパーティデータとサードパーティデータを組み合わせた施策も可能になってきている
と説明。会員登録の際のフォームの最適化など、データ収集の工夫をしている企業が増えているようです。
コンテンツマーケティングとパーソナライゼーション
簗島氏は、
ECサイトが持つ商品データを活用し、生成AIを用いてコンテンツを作成することで、コンテンツマーケティングを強化できる
と提案しました。商品の特徴やランキングに関する記事を自動生成し、SEOを強化することで、広告以外の集客経路を増やせるというのです。
また、パーソナライゼーションに関しても、ユーザーの興味関心に合わせて、商品説明文や訴求画像を最適化するなど、生成AIを活用した施策が有効だと指摘。ECサイト運営者にとって、手間をかけずにパーソナライズされたコンテンツを提供できるようになるでしょう。
まとめ
クッキー規制によってデータ収集が難しくなる中、ECサイトはファーストパーティデータの活用や顧客コミュニティの形成など、新たな施策にチャレンジしていく必要があります。
生成AIを活用したコンテンツ作成やパーソナライゼーションも、マーケティング効率を高める手段の一つとして期待できるでしょう。変化の激しい環境下で、データドリブンなアプローチを追求し、顧客理解を深めていくことが、ECサイトの成長につながるはずです。