2024年デジタルマーケティング業界の展望 – クッキー規制とその対策
2024年、いよいよGoogleによるサードパーティクッキーの規制が本格化する。デジタルマーケティング業界はどのような影響を受け、どう対応していくべきなのか。株式会社インティメート・マージャー代表取締役の簗島亮次氏とプライムナンバーズ株式会社代表取締役の小林大輔氏に話を聞いた。
クッキー規制の現状と広告業界へのインパクト
簗島氏は、クッキー規制について次のように語る。
クッキー規制には法律面とブラウザの技術面の2つの側面があります。法律面では大きな変化はありませんが、ブラウザの技術面、特にGoogleのChromeでのサードパーティクッキーの規制が今年本格化します。
これにより、トラッキングやターゲティング広告の精度が下がる影響が出るでしょう。
小林氏も、すでにSafariなどで起きているクッキー規制の影響について言及した。
Safariではすでにサードパーティクッキーが取得できなくなっており、広告効果が下がっているのを実感している広告主は多いですね。Chromeでも同様の影響が出てくるのではないでしょうか。
ポストクッキー時代のターゲティングと広告効果測定
サードパーティクッキーに依存しないファーストパーティデータなどを活用した広告配信手法、いわゆるポストクッキーソリューションについて、簗島氏は次のように説明する。
弊社ではサードパーティクッキーが取得できないブラウザに対しても、独自のIDを付与してターゲティング広告を配信するソリューションを提供しています。
クッキーの代替となるIDの精度は9割程度。クッキーが使えないユーザーにもリーチできるので、広告配信量が増え、売上貢献度は高くなります。
一方、広告効果測定の難しさについて小林氏は懸念を示した。
コンバージョンの計測がしづらくなり、広告の効果がよくわからなくなるのが一番の問題ですね。これまでのようなシンプルな効果測定ではなく、もっと複雑で高度なアトリビューションが求められるようになるでしょう。
2024年に注力すべきデジタルマーケティング施策
簗島氏は、2024年のデジタルマーケティングのトレンドについて次のように予測する。
これまでのデジタル広告の常識が通用しなくなる一方で、新しい広告手法を編み出すチャンスでもあります。新しい広告メディアや運用施策にどんどんチャレンジしていくことが重要ですね。
また、生成AIを活用した大量のクリエイティブ制作・テストなども有望だと考えています。
小林氏も、クリエイティブの重要性を指摘しつつ、マーケターとAIの分業について言及した。
広告クリエイティブの大量生成・最適化にAIが活躍する一方で、戦略立案などはマーケターの仕事として残ります。ブラックボックス化が進む中で、AIがなぜその判断をしたのかを理解することも求められるでしょう。
マーケターは顧客理解を深めつつ、AIと協働していくことが大切です。
まとめ
2024年のクッキー規制本格化により、デジタル広告の効果測定やターゲティングは難しくなるが、新しい広告手法を編み出すチャンスでもある。ポストクッキーソリューションの活用、生成AIを駆使した広告クリエイティブ改善、マーケターとAIの協働など、変化の時代を乗り越えるヒントとなる指摘が得られた。