オルタナティブクレジットスコアは、クレジットカードやローンの返済履歴などの金融データのみに基づいていました。しかし、世界中で何百万人もの人々が正式な金融機関を利用できないため、従来の方法では信用スコアを算出できない場合があります。オルタナティブクレジットスコアリングは、より包括的で公平なシステムを作り出すために、従来のデータソースを超えて、個人の信用度を評価するための追加のパラメータを検討します。
では、オルタナティブクレジットスコアを作成するために使用されるデータの種類について見ていきましょう。
オルタナティブ金融データ
このカテゴリには、従来の信用報告書には必ずしも含まれていないものの、個人の財務管理に関する貴重な洞察を提供できるデータポイントが含まれます。
- 公共料金の支払い: 電気、ガス、水道、電話料金の支払い履歴は、個人の経済状況や支払い責任に関する示唆となります。これらの請求書を遅滞なく一貫して支払うことは、融資機関にプラスのシグナルを送ります。
- 賃貸料の支払い: 賃貸料の支払い履歴は、信用力を評価するための重要な代替データソースとなり得ます。時間通りに家賃を支払っている人は、財務上の義務を果たす可能性が高いことを示しています。
- サブスクリプションの支払い: ストリーミングサービス、オンラインメンバーシップ、定期購読ボックスなどの定期的なサブスクリプションの支払いは、個人の財務上のコミットメントや安定性を示すものとしてますます使用されています。
- 携帯電話の支払い: 携帯電話の請求書を時間通りに支払うことは、信用力を評価する上でプラスの要素となります。
金融機関は、これらの代替金融データを分析することで、個人の財務行動をより包括的に把握し、信用リスクをより正確に評価することができます。
アクセスログデータ
デジタル時代において、人々は膨大な量のデータをオンライン上に残しています。このデジタルフットプリントは、信用度を評価するための貴重な情報源となり得ます。
- ソーシャルメディアの活動: 一部の貸し手は、リスク行動と財務行動を評価するためにソーシャルメディアデータを検討していますが、この慣行はまだ議論の余地があります。 ただし、ソーシャルメディアデータの使用は、プライバシーの懸念や操作の可能性があるため、慎重に進める必要があります。
- オンラインショッピングの行動: オンラインショッピングの行動は、個人の支出習慣や財務上の責任についての洞察を提供することができます。 頻繁な高額な購入は、より高い収入や経済的な安定性を示唆している可能性があります。
- デバイス情報: スマートフォン、タブレット、コンピューターなどのデバイスから収集されたデータは、個人のアイデンティティや財務行動に関する洞察を提供することができます。 これは、従来の信用調査機関のデータが不足している、古い、または不正確な場合や、銀行取引を行っていない個人に役立ちます。
- 電子メールデータ: 電子メールアドレスは、そのアドレスが作成された日付、実際の所有者の名前、既知のニックネーム、登録状況など、ユーザーに関する情報を明らかにすることができます。
これらのデジタルフットプリントデータを分析することで、金融機関は従来の信用情報では捉えきれない側面から、個人の信用リスクを評価することができます。
その他の代替データソース
- 公共記録: 破産、税金の滞納、判決などの情報は、個人の経済状況を理解するのに役立ちます。
- 学歴や職歴: 教育レベルや職歴は、個人の収入ポテンシャルや安定性を示唆する可能性があります。
- 居住地の情報: 居住地の地域や居住期間は、個人の安定性やリスクプロファイルに影響を与える可能性があります。
オルタナティブクレジットスコアリングのメリット
- 金融包摂の促進: 従来の信用情報を持たない人々にも、信用を評価する機会を提供することができます。
- 信用リスク評価の精度向上: より多くのデータポイントを考慮することで、より正確で包括的な信用リスク評価が可能となります。
- 審査プロセスの迅速化: AIや機械学習を活用することで、迅速な信用リスク評価と融資審査が可能となります。
オルタナティブクレジットスコアリングの課題
- データの品質と正確性: 代替データは、従来の信用情報と比較して、品質や正確性にばらつきがある可能性があります。
- プライバシーとセキュリティ: 個人のプライバシーに関わる情報を適切に保護する必要があります。
- 規制遵守: 個人情報保護法や差別禁止法など、関連する法令を遵守する必要があります。
- 倫理的な配慮: 代替データの利用目的や方法について、顧客の理解と納得を得る必要があります。
オルタナティブクレジットスコアリングは、従来のクレジットスコアリングモデルの限界を克服し、より多くの人々に金融サービスへのアクセスを提供できる可能性を秘めています。 金融機関は、これらのメリットと課題を踏まえ、適切なデータ活用とリスク管理を行うことで、オルタナティブクレジットスコアリングを、顧客と社会全体にとって有益なものとしていくことが求められます。
株式会社インティメート・マージャー代表取締役社長。
インティメート・マージャーでアドテクノロジーの事業領域で収集したオルタナティブデータを他の事業領域でも活用していく取り組みにトライしています。
この記事の中ではオルタナティブデータのセールステック領域での活用(インテントデータ)、小売領域での活用(リテールデータ)、金融領域での活用(クレジットスコア)、リサーチ用のデータ(インサイトデータ)などでの活用事例や海外での事例をご紹介させていただいています。
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