Perplexityの広告事業拡大:AI検索における新たな収益化モデル
Perplexity AIは、AIを活用した検索エンジンとしての地位を確立し、月間2億3,000万件以上のクエリを処理し、世界中で月間2億3,000万人近くのユーザーに利用されています。 そして、2024年第4四半期に広告プラットフォームを立ち上げ、収益化を目指します。 この動きは、AI検索の人気が高まる中で、Perplexityが収益源を多様化し、持続的な成長を目指すための重要な戦略と言えます。
Perplexityの広告戦略は、大きく分けて以下の3つの柱で構成されています。
収益モデルと広告フォーマット
- CPMモデル: Perplexityは、広告料金にCPM(インプレッション単価)モデルを採用します。 これは、広告が1,000回表示されるごとに課金される仕組みです。PerplexityのCPM価格は50ドルを超えると予想されており、デスクトップディスプレイ広告の一般的なCPM(約2.50ドル)やモバイルビデオ広告(約11.10ドル)と比較すると、非常に高い設定となっています。 この高CPMは、Perplexityがターゲットとするユーザー層の質の高さを反映していると考えられます。
- 広告フォーマット: 広告主は、検索結果の下にある「関連する質問」をスポンサーとして掲載したり、Perplexityが生成した回答の右側にディスプレイ広告を掲載したりすることができます。 モバイル版では関連質問の上部に、デスクトップ版ではサイドスクリーンに表示され、広告には製品を強調するテキストが添えられます。
ターゲット層への訴求
- Perplexityは、高学歴で高収入のユーザー層をターゲットとしています。
- Perplexityユーザーの80%以上が学士号を取得
- 30%が上級管理職に就いており
- 65%が医療、法律、ソフトウェアエンジニアリングなどの「高所得ホワイトカラー職業」に従事
- Perplexityは、この属性を活かして、関連性の高い広告を配信することで、広告効果の最大化を目指します。
パブリッシャーとの連携
- Perplexityは、2024年7月に「パブリッシャー収益分配プログラム」を発表しました。
- このプログラムは、Perplexityの検索プラットフォームを通じて、パブリッシャーに収益獲得の機会を提供するものです。
- ユーザーが質問をし、Perplexityがその回答の中でパブリッシャーの記事を引用することで広告収入が発生した場合、Perplexityはその収益の一部をパブリッシャーと分配します。
- 既にFortune、Time、Entrepreneur、The Texas Tribune、Der Spiegel、WordPressなどのメディアやコンテンツプラットフォームがこのプログラムに参加しています。
まとめ
Perplexityの広告事業への参入は、AIを活用した検索の人気が高まる中で、Googleなどの既存の検索エンジン企業にとって大きな脅威となる可能性があります。
Perplexityは、高精度な回答を効率的に提供することで、ユーザーの検索行動に変化をもたらし、広告市場における勢力図を塗り替える可能性を秘めていると言えるでしょう。
加えて、Perplexityは、2024年4月にNvidiaやY CombinatorのCEOであるGarry Tan、Altimeter Capitalの創業者兼CEOであるBrad Gerstnerなどから6,270万ドルを調達し、企業価値は3か月前の2倍となる10億ドルを超えました。 この資金調達は、Perplexityの広告事業を含む今後の成長戦略を支える重要な役割を果たすと考えられています。
しかしながら、Perplexityは、過去にコンテンツの盗用疑惑が報じられており、ForbesやWiredなどのメディアがPerplexityが自社のストーリーを盗用した証拠を発見したと報告しています。
Perplexityは、これらの疑惑を受けて、Pages機能における引用元表記の方法を変更し、生成される文章内で引用元を適切に引用するようにアップデートを行ったと述べています。
今後の広告事業展開においても、Perplexityは、著作権や引用元表記に関する問題に適切に対処していく必要があるでしょう。
株式会社インティメート・マージャー代表取締役社長。
インティメート・マージャーでアドテクノロジーの事業領域で収集したオルタナティブデータを他の事業領域でも活用していく取り組みにトライしています。
この記事の中ではオルタナティブデータのセールステック領域での活用(インテントデータ)、小売領域での活用(リテールデータ)、金融領域での活用(クレジットスコア)、リサーチ用のデータ(インサイトデータ)などでの活用事例や海外での事例をご紹介させていただいています。
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