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【30分で完了!】生成AIx3rd Partyデータを活用した新規ユーザー分析

佐藤 亮太
著者について

はじめに:新規ユーザー像分析になぜ3rd Partyデータも必要なのか?

「CV見込みのある新たなユーザー像を発見する」というテーマで、1st Partyデータを使って分析するケースをよく見かけます。1st Partyデータを活用した分析自体は非常に重要ではあるものの、1st Partyデータの分析から”新たなユーザー像”というのは発見する事が出来なかった経験のある方がほとんどではないでしょうか?

というのも、そもそも施策方針はCVしたユーザーの情報を元に決定するプロセスを採用しているケースがほとんどだと思います。そうなると施策によってCVするユーザーも、既にCVしたことがあるユーザーと特徴が似てくるので、分析からこれまでと異なるユーザー像を導き出すのが非常に困難であることが想像できます。

そうなると、本当に理解を深めないといけない対象はCVしたユーザーではなく、「サイトに訪れたがCVしなかったユーザー」です。 例えば今のCVRが3%だとすると97%のユーザーはCVしないユーザーになるので、このユーザー像をしっかりと理解し、アプローチをするための施策を改善することによって、インパクトの大きな改善を実現する事が出来ます。

しかし、この「CVしなかった97%のユーザー」を分析しようとすると、大きな問題が発生します。それは、 「ユーザー像を理解するための分析のデータが無い」という問題です。

1st Partyデータとして保有しているデータは、自社Webサイトへのアクセスログのみで、それ以外のデータはほとんど無いと思います。そしてこのアクセスログからユーザー像を理解し、施策に落とし込もうとするのは非常に難易度が高いです。

そこで活躍するのが「1st Partyデータ + 3rd Partyデータ」を使った分析です。来訪してきたユーザー(1st Partyデータ)が、外部サイトでどういったものに興味関心があるのか(3rd Partyデータ)というデータを活用することで、CVしなかった97%がどういうユーザーなのかを理解し、施策実行まで落とし込むための分析をすることが出来ます。

本記事では「1st Partyデータ + 3rd Partyデータ」と生成AIを使ってどのような分析ができるのかを実際の作業と併せて解説していきます。

まずはどういう「1st Partyデータ + 3rd Partyデータ」を生成AIにアップロードして分析するのかを説明します。今回はIMデジタルマーケティングニュース(https://dmp.intimatemerger.com/media/)に来訪したユーザーを分析するために、IM-DMPから抽出したデータを使って分析を進めていこうと思います。

用意したデータのそれぞれの内容は以下の通りです。

im-uid:IM-DMPに保存しているポストCookieに対応したユーザーの識別子
page:im-uid(ユーザー)が来訪した自社Webサイトのページ
keywords:外部サイトの閲覧傾向をもとに、ユーザーがどういったキーワード情報に興味関心があるかという情報
demographic:外部サイトの閲覧傾向をもとに付与したユーザーのデモグラフィック情報
topic:外部サイトの閲覧傾向をもとに付与したユーザーの興味関心のあるトピック情報
persona:トピック情報をさらに深堀った興味関心情報
※topic、personaはGoogleのTopic-APIを使って関心のカテゴリーをユーザー単位で付与しています。

次に、このデータのファイルを生成AIのDeep Researchにアップロードした上で、プロンプトを書いて分析をします。

今回はGoogleのGeminiを使用しつつ、例として以下のようなプロンプトを書いてみます。

このデータは自社オウンドメディア(https://dmp.intimatemerger.com/media/)に来訪したユーザーの特徴になります。

このデータをもとに以下について分析してください。

・どんな客層が来ていているかのデモグラや興味関心を教えてください。デモグラフィックス、年齢構成、性別・ステータス、サイコグラフィックス、情熱と優先順位のマッピングもあると良いです。

・このサイトに来ている人の情報を基にこのサイトの営業戦略を考えてみてください。戦略的メディアパートナーシップ等の情報があると良いです。

・その際にターゲットのUU想定等詳しく教えてください。

・セグメント毎の違いについて分析をしてください。

・各セグメント毎にCRM施策としてメルマガを打つならどういうコンテンツや訴求が好ましいかも分析し、情報をたくさんください。

・世の中に様々なマーケティング施策があると思いますが、どの施策がどのセグメントとの親和性が高いかも分析してください。

リサーチを開始してしばらく待つと、以下のような情報のアウトプットが出てきました 。

例えば、デモグラフィックの分析の章を見てみると、生成AIはユーザー単位でのデモグラフィックをしっかりと分析したうえで、全体の分析がされていることが分かりますね。

上記キャプチャから一部抜粋しますが、以下のような分析をAIが自動でしてくれるというのはかなりクオリティが高いと言えるのではないでしょうか?

個別のデータポイントを統合すると、単なる属性の集合体以上の、より深い人物像が浮かび上がる。例えば、b.032e84a79172c5c0のユーザーは「経営者・役員」でありながら、「アパレル」や「メイクアップ・化粧品」といった消費者向けカテゴリに強い関心を示している。
また、b.137bf45bc37f2ab0のユーザーは「会社員(技術系)」でありながら、「旅行」に関心を持ち、「高級車購入者」としても識別されている 。これは、プロフェッショナルとしての成功が、彼らの豊かなライフスタイルを経済的に支えていることを示唆する。彼らの情報ニーズは仕事とプライベートで分断されておらず、業務上の意思決定と同様の、データに基づいた分析的な視点を個人の消費活動にも適用している。このオーディエンスは単なる「ビジネスパーソン」でも「消費者」でもなく、双方の特性を兼ね備えた「プロシューマー」なのである。

次に、このままだと視覚的に分析の内容が分かりにくいので、これからビジュアライズをしていこうと思います。今回使用しているGeminiにはインフォグラフィックという機能があり、これを使用すると分析結果を見やすい形に自動でビジュアライズしてくれます。

インフォグラフィックのボタンを押してしばらく待つとGeminiがHTML/CSS形式で先ほど分析した内容を整理してくれます。

出てきたアウトプットをコピペするなどして保存し、HTMLファイルとして開いてみましょう。 すると、先ほどの分析結果がとても見やすくビジュアライズされています。必要に応じてはこのビジュアライズの色使いや、見せ方などをGeminiに指示すると修正をしてくれますが、そのままでもかなりクオリティが高いので、ここでは一旦内容についての修正はせずに、ビジュアライズされた分析結果をそれぞれ見てみましょう 。

これが先ほど HTML ファイルで保存した中身になります。かなり見やすい形に整理されているのではないでしょうか?内容についてここから1つずつ触れていければと思いますが、まずはどんなユーザーが サイトに来ているのかの分析です。今回のアップロードしたファイルでは年齢や職種のデータもアップロードしているので、年齢構成・職種分析のアウトプットが出ています。また詳しく見たいところにマウスカーソルを合わせると、実数も表示されます。

次に、サイトに訪れたユーザーを3つのセグメントに分けてくれていたので、それぞれを見ていきましょう。A.経営戦略層・B.技術実践層・C.高感度プロシューマー層の3つに分けられるようです。それぞれの特徴と主なペルソナの情報が表示されていて非常に分かりやすいですね。

さらに先ほど分析した3つのセグメントごとの興味関心のマッピングも分析結果として出てきていました。特徴的な興味関心を指標に、それぞれのセグメント毎にどういったものに興味関心が高いかという情報をマッピングしてくれています。これも何か施策を打つ上で、ユーザー像を理解して仮説を立てるのに役立ちそうな分析情報ですね。

最後にセグメント毎にコンテンツ戦略、CRM施策、マーケティング施策実行を想定した分析です。各セグメントの特性に合わせたおすすめの施策と、訴求点やKPI指標などを分析した上で提案をしてくれています。今回ここで出ている分析結果は大枠の方針提案となっていますが、具体的に進めようと思ったらGeminiに具体的に相談することにより、もっと詳細な情報や具体例などを色々とアウトプットしてくれます。

何よりも、30分もあればこのクオリティのアウトプットを誰でも出せるというのは非常に魅力的ではないでしょうか?

このほかにも
・UTMパラメータからのアクセスログに絞り、広告に接触してサイト来訪した方がどういうユーザーかの分析
・テレビの視聴ログと掛け合わせたN1分析
・Webアクセスログと位置情報を掛け合わせた来店分析(OMO分析)
等々、自社で保有しているデータと外部データを掛け合わせることで、さらに色々な分析をする事が出来ます。

自社で眠っている貴重な1st Partyデータと、3rd Partyデータを活用し、今までよりも貴重なインサイトを発見してより高度なマーケティングが実現できるようにデータ活用を進めていきましょう。

インティメート・マージャーでは、皆さまがデータ活用のスペシャリストになれるご支援をしています。今回のようなデータ活用にもしご興味がありましたら、お気軽にご相談ください。

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佐藤 亮太
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