デジタルマーケター必見:ポストCookie時代のデータ活用戦略 – 安全な連携で広告効果を最大化する方法

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進化するデジタル広告の潮流:ファーストパーティデータの重要性と課題

近年、プライバシー保護の意識の高まりとともに、サードパーティCookieの利用制限が進んでいます。Googleも当初計画していたChromeでのCookie廃止を延期しましたが、この大きな流れは不可逆的であり、デジタルマーケティングの担当者は新たなデータ活用戦略を模索する必要があります
このような状況下で注目を集めているのが、自社で収集した顧客データ、いわゆるファーストパーティデータです。ファーストパーティデータは、顧客との直接的な関係に基づいており、より正確で信頼性の高いインサイトをもたらす可能性を秘めています。しかし、その活用には課題も存在します。異なる企業間でデータを連携させる際には、プライバシーやセキュリティの確保が不可欠であり、煩雑な手続きや法規制への対応も求められます。

アドビの革新的なソリューション:Real-Time CDP Collaborationとは

このような課題を解決するために、アドビは新しいツール「Real-Time CDP Collaboration」を発表しました。このツールは、ブランド(広告主)とパブリッシャー(媒体社)がそれぞれの持つファーストパーティデータを安全に連携させ、より高度なマーケティング活動を展開するための環境を提供します
Real-Time CDP Collaborationの中核となるのは、クリーンルームと呼ばれるセキュアな環境です。この環境下では、顧客データを外部に公開したり移動させたりすることなく、ブランドは自社の顧客データとパブリッシャーのオーディエンスデータを照合し、共通の顧客セグメントを特定できます。これにより、プライバシーを保護しながら、より精度の高いターゲティング広告や、パーソナライズされたコンテンツ配信が可能になります
CDP(Customer Data Platform:顧客データプラットフォーム)とは、様々なソースから集められた顧客データを統合・管理し、分析やマーケティング活動に活用するための基盤となるシステムのことです。アドビのReal-Time CDP Collaborationは、このCDPの機能を拡張し、企業間の安全なデータ連携を実現するものです。

パイロット事例に見る導入効果:コカ・コーラやNBCユニバーサルでの実績

すでに、多くの大手企業がReal-Time CDP Collaborationのパイロットプログラムに参加し、その効果を実感しています。たとえば、コカ・コーラやGroupMのWavemakerなどが初期段階からこのツールを導入し、テスト運用を行ってきました
また、ローンチパートナーであるNBCユニバーサルとのベータテストでは、広告主は従来のオーディエンスオンボーディングと比較して、コンバージョン率が2倍効率化し、マッチ率が10倍向上、さらに90%のリーチ向上を達成しました。これらの実績は、Real-Time CDP Collaborationが広告効果の向上に大きく貢献する可能性を示唆しています。
最近では、大手メディア企業であるワーナー・ブラザース・ディスカバリーもこのプラットフォームとの連携を開始しました。同社の米国広告販売部門のプレジデントであるライアン・グールド氏は、「これらのダイナミックなツールを活用することで、広告主は当社のプレミアムコンテンツポートフォリオ全体でキャンペーンの成功を最大限に高め、プライバシーを重視し、コンテキストに関連性の高い方法で、厳選されたブランド体験を消費者に提供できるようになります」と述べています

データ連携のメリット:広告効果の向上と顧客体験の進化

Real-Time CDP Collaborationを活用したデータ連携は、広告主とパブリッシャー双方に多くのメリットをもたらします。
広告主にとっては、自社のファーストパーティデータとパブリッシャーのオーディエンスデータを組み合わせることで、より詳細な顧客像を把握し、よりターゲットを絞った広告配信が可能になります。これにより、広告予算の効率化やコンバージョン率の向上、顧客エンゲージメントの強化が期待できます。また、広告の効果測定をパブリッシャーと直接行うことができるため、キャンペーンの最適化を迅速に進めることができます
パブリッシャーにとっては、自社のオーディエンスデータを活用したより魅力的な広告商品を開発・提供できるようになります。広告主に対して、より質の高いオーディエンスへのリーチを提供することで、広告収益の向上につながる可能性があります。また、広告主との連携を強化することで、より長期的なパートナーシップを構築することも可能です。

広がる連携の輪:データパートナーとアイデンティティパートナー

Real-Time CDP Collaborationは、ブランドとパブリッシャー間の連携だけでなく、データパートナーアイデンティティパートナーとの連携も視野に入れています。現在、SnowflakeやAmazon Web Servicesなどのデータプラットフォーム、Acxiom、LiveRamp、TransUnion、The Trade Deskなどのアイデンティティソリューションプロバイダーとの連携が進められています
アイデンティティパートナーとは、異なるプラットフォームやデバイスに分散しているユーザーの情報を紐付け、統合的な顧客IDを提供する企業のことです。このようなパートナーとの連携により、ブランドは既存のデータやテクノロジー投資を最大限に活用しながら、Real-Time CDP Collaborationのメリットを享受することができます。

ポストCookie時代のマーケティング戦略:データ連携を新たな成長エンジンに

サードパーティCookieの利用が制限されるこれからのデジタルマーケティングにおいては、ファーストパーティデータの活用がますます重要になります。しかし、その活用にはプライバシー保護やセキュリティ対策が不可欠であり、企業間のデータ連携は複雑で手間がかかるものでした。
アドビのReal-Time CDP Collaborationは、このような課題を解決し、安全かつ効率的なデータ連携を実現する画期的なソリューションです。このツールを活用することで、デジタルマーケターは顧客理解を深め、よりパーソナライズされた広告体験を提供し、広告効果の向上につなげることができます。
今こそ、データ連携を新たなマーケティング戦略の柱として捉え、ポストCookie時代における競争優位性を確立していくべきでしょう。アドビのReal-Time CDP Collaborationは、そのための強力な武器となるはずです。

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