はじめに:
今日の競争の激しいビジネス環境において、企業は、ターゲットを絞った効果的なマーケティング活動を通じて、適切な顧客に適切なタイミングでリーチすることがこれまで以上に重要になっています。従来のマーケティング手法は、しばしば範囲が広く、費用対効果が低いものでした。そこで登場したのが、アカウントベースドマーケティング(ABM)です。ABMは、マーケティングと営業の取り組みを、定義済みの重要なアカウントに集中させることで、より的を絞った戦略的なアプローチを提供します。
インテントデータは、ABM戦略の有効性を大幅に向上させることができる重要な要素です。企業が購入する可能性のあるアカウントを特定し、優先順位を付け、エンゲージメントを高めることができます。この記事では、インテントデータを活用したABMの最新事例を紹介します。
インテントデータとは?
インテントデータとは、企業がオンラインで何を探しているか、何に興味を持っているかを示す行動の痕跡です。このデータは、Webサイトの閲覧履歴、ダウンロードしたコンテンツ、検索キーワード、ソーシャルメディアでの活動など、さまざまなソースから収集されます。
ABMにおけるインテントデータの活用事例:
1. Ceros社: インタラクティブコンテンツプラットフォームを提供するCeros社は、営業担当者1人当たり300~400件ものターゲットアカウントを抱えており、優先順位付けと効果的なエンゲージメントに課題を抱えていました。そこで、6senseのインテントデータとセグメンテーション機能を導入し、購買ステージが「意思決定」および「購入」段階にあるアカウントを特定して注力するようにしました。その結果、商談化率が72%増加、平均取引規模が22%増加、成約率が109%増加、案件数が118%増加しました。
2. SailPoint社: サイバーセキュリティソフトウェア企業のSailPoint社は、当初、広範囲なアカウントをターゲットとしたABM戦略を採用していましたが、エンゲージメントは高くても効果的なコンバージョンには至りませんでした。そこで6senseを導入し、インテントデータを使用して購入意欲の高いアカウントを特定し、優先順位付けを行うように戦略を転換しました。キーワードとトピックの両方で購入意欲を分析することで、一般的なキャンペーンから、よりパーソナライズされたエンゲージメントに移行することができました。
3. ZoomInfo社: ZoomInfo社は、顧客の購買意欲を示す実際のケースとして、ワシントン・コマンダーズを挙げています。2022年9月と10月、同チームはM&A関連のトピックを重点的に調査しており、その後の11月2日、チーム売却を発表しました。
インテントデータの種類:
- ファーストパーティデータ: 自社のWebサイト、CRM、MAP、カスタムアナリティクスなどの社内システムから取得した情報。
- サードパーティデータ: ブログ、ソーシャルネットワーク、レビューサイト、業界ソリューションプロバイダーなどの外部ソースから取得した情報。
インテントデータ活用のメリット:
- ターゲティングの精度向上: インテントデータは、購入する可能性の高いアカウントを特定するのに役立ちます。
- パーソナライズ化の強化: 顧客の興味やニーズに基づいた、より関連性の高いメッセージを作成できます。
- 営業活動の効率化: 営業チームは、購入意欲の高いアカウントを優先的に追跡することができます。
- マーケティングROIの向上: 成約率の高いアカウントに焦点を当てることで、費用対効果の高いマーケティング活動を実現できます。
インテントデータ活用のためのステップ:
- 目的の明確化: インテントデータを使用して何を達成したいかを定義します。
- データの種類の選択: ニーズに応じて、ファーストパーティデータとサードパーティデータのどちらを使用するかを決定します。
- プラットフォームの選択: インテントデータを効果的に収集・分析できるプラットフォームを選択します。
- 既存システムとの統合: プラットフォームをCRMやマーケティングオートメーションツールと統合します。
- チームへのトレーニング: 営業およびマーケティングチームに、インテントデータの解釈と活用方法を指導します。
- キャンペーンの実施: インテントデータの分析結果に基づいて、顧客の購買段階に応じたパーソナライズされたキャンペーンを実施します。
- 効果測定と改善: キャンペーンの効果を継続的に評価し、アプローチを改善します。
まとめ:
インテントデータは、ABM戦略を強化するための強力なツールです。企業が適切な顧客に適切なタイミングでリーチし、パーソナライズされたエクスペリエンスを提供し、成約率を高めることができます。ABMを成功させるには、インテントデータを効果的に活用することが必要です。
株式会社インティメート・マージャー代表取締役社長。
インティメート・マージャーでアドテクノロジーの事業領域で収集したオルタナティブデータを他の事業領域でも活用していく取り組みにトライしています。
この記事の中ではオルタナティブデータのセールステック領域での活用(インテントデータ)、小売領域での活用(リテールデータ)、金融領域での活用(クレジットスコア)、リサーチ用のデータ(インサイトデータ)などでの活用事例や海外での事例をご紹介させていただいています。
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