タレントジャーニー:従業員エンゲージメントを高めるための戦略
現代の競争の激しいビジネス環境において、優秀な人材の確保と維持は企業の最重要課題の一つとなっています。従業員のエンゲージメントを高め、定着率を向上させるためには、従来の人事戦略を見直し、従業員一人ひとりのニーズに合わせた、よりきめ細やかなアプローチが求められます。そこで注目されているのが、「タレントジャーニー」という考え方です。
タレントジャーニーとは?
タレントジャーニーとは、従業員が入社してから退職するまでの間における、企業とのあらゆる接点を旅になぞらえ、従業員体験(Employee Experience)を向上させるための戦略です。顧客満足度を高めるための概念である「カスタマージャーニー」と同様に、従業員一人ひとりの行動や感情、ニーズを深く理解し、それぞれの段階に応じた最適な施策を講じることで、従業員のエンゲージメント、モチベーション、パフォーマンスの向上を目指します。
タレントジャーニーの各段階と具体的な取り組み
タレントジャーニーは、大きく「採用」「オンボーディング」「活躍」「退職」の4つの段階に分けられます。
採用段階
- 認知・興味関心の向上: 求職者に対して、企業理念やビジョン、働き方、待遇などを魅力的に伝え、興味関心を高めることが重要です。 企業ウェブサイトや求人情報サイト、SNSなどを活用した効果的な情報発信が求められます。
- 応募・選考: 応募プロセスを簡素化し、応募者とのコミュニケーションを密にすることで、応募者の不安や疑問を解消し、スムーズな選考プロセスを実現することが重要です。 オンライン面接システムやチャットボットなどを導入することで、応募者の負担を軽減し、選考期間の短縮を図ることも有効です。
- 内定承諾: 内定承諾後から入社までの間に、企業や仕事内容への理解を深めるための取り組みが重要です。 内定者向けの懇親会やオフィス訪問、メンター制度などを実施することで、入社後の不安を解消し、早期に活躍できるよう支援します。
オンボーディング段階
- スムーズな職場への統合: 新入社員がスムーズに職場環境に適応し、早期に活躍できるよう、体系的な研修プログラムやメンター制度、OJTなどを実施することが重要です。
- 企業文化への理解と浸透: 企業理念やビジョン、行動指針などを共有し、新入社員が企業文化を理解し、共感できるよう促すことが重要です。
- 早期の活躍とエンゲージメントの向上: 新入社員の意見やアイデアを積極的に吸い上げ、チャレンジを促す風土を築くことで、早期の活躍とエンゲージメントの向上に繋げます。
活躍段階
- 従業員の成長とキャリア開発: 従業員の能力開発やキャリアアップを支援する制度を整え、従業員の成長意欲を高めるとともに、企業の成長に貢献できる人材育成を進めることが重要です。
- 適切な評価とフィードバック: 従業員のパフォーマンスを適切に評価し、フィードバックすることで、従業員のモチベーションを維持し、さらなる成長を促します。
- 働きがいのある職場環境の整備: 柔軟な働き方やワークライフバランスを支援する制度、多様な働き方を許容する風土を築くことで、従業員が最大限に能力を発揮できる環境を整えます。
- 従業員エンゲージメントと定着率の向上: 従業員満足度調査などを定期的に実施し、従業員の意見や要望を把握することで、従業員エンゲージメントと定着率の向上を図ります。
タレントジャーニーマップの作成
タレントジャーニーを可視化するために、タレントジャーニーマップを作成することが有効です。タレントジャーニーマップは、従業員一人ひとりの行動や感情、ニーズを時系列で可視化することで、従業員体験の全体像を把握し、改善点を明確にすることができます。
タレントジャーニーマップの作成には、以下のような手順を踏みます。
- ペルソナ設定: どのような従業員を対象とするかを明確化します。
- ジャーニーの可視化: 採用から退職までの各段階における従業員の行動、感情、タッチポイントを時系列でマッピングします。
- 課題と改善点の洗い出し: 各タッチポイントにおける従業員体験の課題や改善点を洗い出します。
- 具体的な施策の検討: 課題や改善点に基づき、具体的な施策を検討します。
- 効果測定: 施策の効果を測定し、必要に応じて改善を加えます。
まとめ
タレントジャーニーは、従業員エンゲージメントを高め、企業の成長を促進するための重要な戦略です。従業員一人ひとりのニーズを深く理解し、それぞれの段階に応じた最適な施策を講じることで、従業員が最大限に能力を発揮できる環境を築き、企業の競争力を高めていきましょう。
株式会社インティメート・マージャー代表取締役社長。
インティメート・マージャーでアドテクノロジーの事業領域で収集したオルタナティブデータを他の事業領域でも活用していく取り組みにトライしています。
この記事の中ではオルタナティブデータのセールステック領域での活用(インテントデータ)、小売領域での活用(リテールデータ)、金融領域での活用(クレジットスコア)、リサーチ用のデータ(インサイトデータ)などでの活用事例や海外での事例をご紹介させていただいています。
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