リアル店舗分析の最新手法と実践事例 – データ活用で変わるリテールの未来
本記事では、株式会社インティメート・マージャー代表取締役の簗島亮次氏と、ゴウリカマーケテイング株式会社コンサルタントの羽田貴明氏による対談形式のセミナーの内容をお届けします。リアル店舗でのデータ活用の最前線に迫ります。
登壇者紹介
簗島亮次氏(株式会社インティメート・マージャー代表取締役)
簗島氏は、データを活用した様々な取り組みに挑戦してきた経歴をお持ちです。大学時代には人工知能、脳科学の研究に従事され、ディープラーニングのアルゴリズムコンテストで入賞された経験があります。現在はインティメート・マージャーの代表取締役として、データドリブンなマーケティングソリューションを提供されています。
「データが使えるか分からないようなところでも、データを使って課題解決していくのがすごく得意です。」(簗島氏)
羽田貴明氏(ゴウリカマーケテイング株式会社コンサルタント)
羽田氏は、ゴウリカマーケティング株式会社のコンサルタントとして、店舗に設置したカメラで取得した行動データを活用し、リアル店舗の課題解決に取り組まれています。POSデータとの連携により、購買データと行動データを組み合わせた分析を得意とされています。
「カメラのデータでお客さんの素の行動を取っていくことで、どんな商品を即買いしたのか、比較検討したのかといったことが分かります。」(羽田氏)
リアル店舗分析に必要な顧客インサイトとは
マーケティングの領域で重要とされる顧客インサイトですが、その捉え方は企業によって様々です。アンケートによるN数の担保を重視する企業もあれば、ID-POSの分析を深く行い、商品と顧客属性の関係性を重視する企業もあります。
「顧客インサイトは何に使うのかという前提を置いておく必要があります。商品開発に使うのか、マーケティング施策に使うのかで、必要なデータは変わってきます。」(簗島氏)
店舗に設置したカメラで取得した行動データからは、商品に触れたが買わなかった顧客の情報も得られる。この「非購買者」のインサイトを掴むことで、新たな商品開発やマーケティング施策のヒントが得られるかもしれない。
データ分析の変化と個人情報保護の課題
近年、小売企業がデータを共有・活用する動きが活発化している。データの共同利用により、メーカーと小売の両者にとって合理的な意思決定が可能になりつつある。一方で、個人情報保護の観点から、データ活用には一定の制約がある。
「プラスチックカードの会員データは、定期的に利用規約を見直す必要があります。取りたい情報や使い道をアップデートする際に、一定のデータを捨てざるを得ないケースもあります。」(簗島氏)
データ活用と個人情報保護のバランスを取るためには、データを提供する顧客の同意の取得状況に合わせて、提供する情報の内容を変えていく工夫が求められます。
DMPとゴウインサイトが変えるリテールメディアの未来
簗島氏は、オンラインとオフラインのデータを連携させることで、店舗内の顧客体験をより良いものにしていくことができると指摘すします。
「今後は、データを活用して店舗内の顧客体験を高度化していくことが重要です。例えば、店舗ごとに来店客の属性を分析し、最適な広告やクーポンを出すことができるようになります。」(簗島氏)
羽田氏も、カメラで取得した行動データと属性情報を組み合わせることで、リテールメディアの可能性が広がると述べます。
「商品を手に取った人の性別・年代といった情報が分かれば、よりターゲットに刺さるリテールメディアを実現できます。例えば、冷凍食品売り場では子育て世代の女性に向けた広告を出すなど、きめ細かいアプローチが可能になります。」(羽田氏)
DMPとゴウインサイトを掛け合わせることで、リアルの店舗でもECサイトのようなパーソナライズされた顧客体験の提供が可能になるかもしれないです。オンラインとオフラインの垣根を越えたデータ活用が、リテールの未来を大きく変えていくに違いないです。
まとめ
リアル店舗分析の最前線では、カメラで取得した行動データとPOSデータを組み合わせることで、これまで見えなかった顧客インサイトが明らかになりつつあります。データ活用と個人情報保護のバランスを取りながら、リテールメディアの可能性を追求していくことが求められます。オンラインとオフラインのデータを統合し、店舗内の顧客体験を高度化していくことが、データドリブンなリテールの未来を切り拓くカギとなるります。