2024年CPA高騰時代の生き残り戦略とよくある落とし穴

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2024年CPA高騰時代の生き残り戦略とよくある落とし穴

インターネット広告業界では、近年CPA(顧客獲得単価)の高騰が大きな課題となっています。この背景には、競合他社の増加や広告表現の規制強化、そしてクッキー規制によるターゲティング精度の低下などが挙げられます。

そんな中、2024年のポストクッキー時代を見据えた広告運用戦略について、REHATCH株式会社COO山崎源氏と株式会社インティメート・マージャー代表取締役簗島亮次氏にお話を伺いました。

登壇者紹介

山崎源氏(REHATCH株式会社COO)

元サイバーエージェント社員。独立後、2019年にREHATCH株式会社を創業。広告の媒体データとCRMやSFAなどの基盤データを統合可視化するBIツール「ONE」の開発・提供や、マーケティングコンサルティングを手掛ける。

簗島亮次氏(株式会社インティメート・マージャー代表取締役)

データを活用した最適化基盤サービスの提供・運用・開発を行う株式会社インティメート・マージャーの代表取締役。大学時代は脳科学の研究に従事し、アルゴリズムコンテストで世界3位入賞の実績を持つ。近年はAIやデータ活用の第一人者としてメディアにも多数登場。

 

CPA高騰の背景と要因

山崎氏は、CPA高騰の主な要因として以下の2点を挙げました。

CPA高騰に一番インパクトを与えている変数は、最適化の精度低下とターゲティングの精度低下だと考えています。サードパーティクッキーの規制により、リターゲティングのボリュームが減り、効果も悪化しているのが実情です。

 

簗島氏も、クッキー規制の影響について言及しました。

iOSやWindowsのブラウザでは既にサードパーティクッキーが使えなくなっており、世界的に見ても使えるブラウザの割合は40%程度まで減少しています。これにより、リターゲティングのリーチ数や効果が大きく低下しているのです。

 

LTV最大化による広告効果改善

CPA高騰への対策として、山崎氏はLTV(顧客生涯価値)の最大化を提案します。

CPAを下げるのは容易ではありませんが、獲得後のユーザーのLTVを上げることで広告効果は改善できます。そのためには、まずLTVを可視化し、高いLTVが見込めるセグメントに予算を集中投下することが重要です。加えて、CRMによる顧客育成施策も欠かせません。

 

簗島氏も、ユーザーの質にフォーカスする必要性を指摘しました。

CPAは全てのユーザーが同じ金額を払うことを前提としていますが、実際はそうではありません。LTVの高いユーザーを獲得するためには、ユーザーの属性や行動を分析し、ターゲティングに活かしていく必要があります。

 

これからの広告運用戦略のあり方

簗島氏は、今後の広告運用において試行の視野を広げることの重要性を説きます。

これまでの鉄板手法が通用しなくなる中、様々な施策にトライし、効果を検証していくことが求められます。また、CPAだけでなく売上などビジネス全体の指標にも目を向け、トータルでの最適化を図るべきでしょう。

 

山崎氏も、オフラインを含む多様なチャネルでの効果計測の必要性に言及しました。

テレビCMなどオフライン広告の効果を可視化し、ネット広告を含めトータルでのROIを評価する取り組みを進めています。ローワーファネルのCPAのみならず、ミドル〜アッパーファネルでの認知拡大が及ぼす効果にも着目すべき時代と言えるでしょう。

 

まとめ

ポストクッキー時代のCPA高騰に立ち向かうには、LTV最大化とオフラインを含む多様なチャネルでの効果計測、トータルでの最適化が鍵を握ります。変化の激しい時代だからこそ、従来の手法に囚われず、データを武器に柔軟に適応していくことが求められているのです。

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